いたいね
つらいね
苦しいね
って、
その痛みを
苦しみを
葛藤を
まるっと全部抱きしめながら
一晩腰をさすりながら
陣痛の合間に一瞬一緒にうたた寝してしまう
でも、絶対に手は離さない
ぬくもりは離さない
新しい世界に向かうために
命を懸けて
痛みと向き合っている
あなたを一人にしないために。
そうやって仕事をしてきた
助産師の頃と
カタチは変わっても
今していることは
何一つ変わってないのだなぁと。
精神科
心療内科
カウンセラー
自助グループ
他の所に行って
つらいんですと
それでも来てくれるのは、
自死遺族だからでも
カウンセラーだからでも
なくて、
自分のことが許せなくて
責めて責めて責めて
ズタズタにしてしまっているくらい
嘆きの渦に巻き込まれて
嘆き悲しんでいる
自分のことが許せないあなたを
つらすぎて
カラカラに干上がってしまっているようなあなたを
それでもあなたが大事なんだよと
あなたは大切にされていいんだよと
ひとりで孤独で
よく頑張ってきたねと。
言葉で言わない代わりに
言葉と声と顔で抱きしめる
それがあって
次の世界に進めるのではないかと思うから。
かつて
ズタズタの世界で
カラカラに干上がりながら
血の涙を流し
十字架を背負って生きた
そんな20代があったからこそ
分かる感覚を与えてくれた
2号息子が与えてくれたギフト
だったのだと。
あなたが命をかけて
またひとつ
私の命を豊かにしてくれている
種を仕掛けてくれていたことに
気づくのがかなり遅いのだけれど
だからわかる。
絶望に突き落とされたからこそ
痛くて痛くてたまらない
だからこそ
渇望するのは
いたらなすぎる
自分への
愛で
許しで
痛烈に欲しいのは
心が通う温かさ
人のやさしさやぬくもり
今の世界で
触れるのを恐れて拒絶してしまっているもの。
自死の波の飲み込まれて
悲しみの渦にとらわれて
小さく小さく小さく
しぼんで
委縮してしまったあなたに
届きますように
毎日祈りをこめながら
あなたという命と真摯に向き合っているのです。
だから私は
胸を張って
ただの自死遺族でも
ただのカウンセラーでもなく
大事な命を守れなかった
あの日から
断罪のように
罪の十字架を背負い続け
もう背負うのやーめたと
放り出して
軽やかに生きられるようになった
私にしか出来ないことで
力になるのだと。
弱った命が切に求めるのは
命の力で
血の気がなく
固まった顔が
うっすらと赤みを帯びて
柔らかく微笑む
良かったね
まだ笑えるね。
大丈夫
大丈夫
その瞬間を見るのはとても好きで
自死から120日
私はもう
今それを与えてもらう
必要はなくなったからこそ
こういう形であなたに向き合えることを
誇らしく
今日も話に耳を傾けるのです。
