なぜ部下を教育すべきなのか

 私はネットスケープで働いていたときに、スタートアップが社員を教育すべき理由を学んだ。マクドナルドの従業員がそれぞれの仕事のための教育を受けているのに、それよりはるかに複雑な仕事をする人たちが教育を受けないのはおかしい。マクドナルドへ行き、訓練されていない店員の列に並びたいだろうか?プログラム全体が何をするか教えられたことのないエンジニアの書いたソフトウェアを、あなたは使いたいと思うだろうか?多くの会社が、社員は優秀なので教育は必要ないと考えている。ばかげた話だ。

 私は初めてマネジャーになったとき、教育について複雑な感情を抱いていた。論理的には、ハイテク企業のための教育には意味がある。しかし、かつて自分が受けた社員教育はちっとも面白くなかった。講義は会社のビジネスを理解していない業者によって教えられ、見当外れな内容ばかりだった。そして私は、アンディー・グローブの古典的経営書「インテル経営の秘密」(早川書房)の第16章「なぜ教育はボスの仕事なのか」を読み、この本が私のキャリアを変えた。「多くのマネジャーは、社員教育を他人の仕事と考えているふしがある。しかし私は、マネジャー自身が教育すべきだと固く信じている」とグローブは書いている。

 ネットスケープの製品管理部長だった私は、ほとんどの製品マネジャーがビジネスに付加価値を付けていないことに、いら立ちを覚えていた。
 アンディーの指針に基づき、私は後述する「良いマネジャー、悪いマネジャー」と題した短い文書をつくり、私の基本的な前提をチームに教え込むために使った。その後」、チームの業績がたちどころに改善されたことに私は驚いた。私が使い物にならないと見限っていた製品マネジャーたちが力を発揮し始めた。間もなく私は、会社でもっとも業績の良いチームを率いていた。

 この体験に基づき、ラウドクラウドを立ち上げて以来、私は教育に多大な投資をしてきた。あの投資のおかげで、階差の最終的な成功があったと私は考えている。そして、その全ての始まりは、自分の部下を教育するというありふれた決断と、さらにありふれた教材だった。そこで今私は、アンディ・グローブから得られた知識を次の世代に返すべく、なぜ、何を、どう、あなたの会社でやるべきかを説明しようと思う。


“HARD THINGS” ….. 第5章 人、製品、利益を大切にする------この順番で ……..より