ここにくると涙がでる
おかしいなぁ
家でも泣かないのに
そう話す患者さん
私はおそるおそる聞いた
“緩和がいや?”
“悲しくなっちゃう?”
「ちがうちがう」
「本音を出していいとおもうからかな」
「ほっとするの」
ごめん、とまた涙
「なんでもないふりをして
暮らすのに疲れたのかな」
「今朝は町内の私より年配のかたに
やせたねぇ、病院いかないとって」
「そうね。っていうのが精一杯だったの」
うわーん
色々なひとがいるねぇ
きになるよねぇ
嫌だなって思っていいよねぇ
うんうんとうなずきながら
涙をぬぐう
「悔しくてね」
「なんで私ばっかりっておもうの」
なみだがとまらない
言葉は刃になる
基本的には
相手を傷つけようなんて
考えていない
でも
ちょっとしたひとことが
むねをえぐる
親しき仲にも礼儀あり
難しいね
「まあ、でもわざと言ったわけじゃなくて
わたしのこと、心配してくれたんだものね」
「ありがたく思えばいいね」
話すとスッキリするねぇ
ありがとう
また来週ね、と
少しだけ目元をうるませながら
帰られた
涙のスイッチ
ときには必要
家族にもだれにもいえないとき
1人でかかえないで
それが治療を長く続けるコツ
緩和柱
手術柱
放射線柱
化学療法柱
これが集まって
力を発揮する
病殺隊の4本柱
全集中!
緩和の呼吸!
ジロウの寝姿
笑うジロウ
犬も笑う🐕んだよ