怒りがおさまらないことがある

これは医師教育の問題か?
人間としての問題か?
わたしが神経質なのか?


胃がんを手術した
70代の患者さん
抗がん剤治療を行うも
副作用で生活ができないので
抗がん剤治療をしない、という
判断をした

家族は反対した。
まだ元気だし、体力もあるし
だからこそ治療してほしい
孫が結婚するまで生きて。


本人は
夫を肺がんて見送った経験もあり
根治でない化学療法に
意味がない、と感じたらしい

そのために
「最後の頼みだから。自由にさせて」
「そのときはそのときよ」

家族からも医療者からも
治療については
何度も相談し、やはり意思は変わらなかった



いずれは緩和ケア病棟に、と
わたしたちに紹介された


胸水に対して
穿刺して除水した後だった


緩和ケアチームです、とご挨拶

かたい表情…

また、いつものやつ、か?

あーどうしよう…

やっぱり緩和ケアチームは嫌われる…

と、

「あー、よかった」
「やっと会えたわ」

「きいてちょうだい」
「胸水をぬいたんだけど」
「そのときの先生が、“初めてだからなぁ”
“やったことないんですよ”、そういいながら
やるのよ」
「不安になるでしょう?」
「実験台じゃないのよ!」

ふぅ、と息をつく

「私達からみたら、お医者さんは
お医者さん」
「経験がないのもわかるけど」
「いい方ってのがあるでしょ?」

「腹が立っちゃってね」
「やったことなくてもいい。だけど
態度ってのがある!」

「この病院がきらいになりそう」
「でも、いまさらかわれない」


「患者をなめてるわ」

「これまでもね…」

とまらない
涙もとまらない

どれだけ我慢させていたんだろう

どれだけつらかったか

いいたいことを言えず
いいたいことを言うこともできず


そういう患者さんが
大半ではないだろうか

ようやく意を決して
質問しても

「さぁねぇ」
「まあ、でも」
みたいに鼻で笑うとか

「だーかーらー、言ったでしょ?」
とイライラするとか


だめ!

絶対だめ!



それが苦手なら
他の人も交えて

チーム医療

みんなで支えていく



患者さんは実験台じゃない!


はじめてが、
医師にもある

それは否めない


でも

誠意をもって医療を行う気持ち


忘れちゃだめだよ



こまちは
いつも真剣よ!
あそぶときも寝るときも食べるときも
真面目に!