肺がんの患者さん


治療も
育児もそつなくこなし

いつもだれの前でも
笑顔


むしろスタッフのことを
気遣ってくださる。


「大丈夫?」
「つかれてない?」
「無理しちゃだめだよ」


だれが誰に話しかけているか
声だけきいていたら
わからない




そんな元気印の彼女が
ある日

しゃべらない
目を合わせない

なんかおかしい…


いつも通りわたしはベッドサイドに


(おはよう)

「おはよ…」

声がいつもの10分の1くらい
しばらくそばにいて
くすりはいつもどおりでいい?
と声をかけると

「わたしってかわいそう?」

(なんかあった?)

「ママ友が、うちの子に
おかあさんかわいそうにって」
「こどもがさ、そう言われたって」
「わかし、かわいそう?」


(○○ちゃんはなんか言っていた?)

「ううん。でも、もしかしたら
わたしが子供達にきをつかわせてる
かも、って思えてきて」

えーん、とタオルで顔を覆う

今日タオル大きいね
泣く準備できてるじゃない、
と言うと

「またーそう言われる気がしたよ」

お、声が戻ってきた!


(あなたは病気とすごしていて
大変かもしれない
でもね
かわいそうじゃない
むしろ素敵だし
かっこいい)

きになるけど
気にしなさんな、と
つたえた

たくさん泣いて帰ってね、と


あしあとあしあとあしあとあしあとあしあと


がんはかわいそう?


それは違う


病気のひとつにすぎない


なおらない病気の
代名詞みたいに思われるけど
2人に1人がなる病気

治療法だってどんどん新しくなり
緩和医療だってすすむ


病気に重いも軽いもない
なんであれ心配

わたしは
がんも認知症も怖い

自分だったら患者さん達みたいに
がんばれないかも
しれないっていつも思うよ


患者さんのまわりのひと
患者さんの家族のまわりのひと


かわいそうというなら
なにか手助けを考えて

かわいそうなんかじゃない!
生きてるんだよ!


ってことです


行ってきまっす!


いい天気