患者さんもご家族も
緩和ケア病棟を
死にゆく場所として、忌み嫌う方と
死にゆく場所として、選択する方と
ふたてにわかれます

高齢になればなるほど
緩和ケア病棟にお見舞いに行ったことが
ある、とか
家族を看取ったことがある、とか
体験されている方も増えます


そのときの経験にもよるのか

自分も最期はそこで、と
感じる方と、
自分はいやだ、と
感じる方に
分かれるように思います



もちろんそこに
信仰心や死生観、家族背景はあると
思いますが


肺がんの患者さんでした
89歳
抗がん剤治療や放射線治療は
おこなわない
発見時から半年


「緩和ケア病棟に行った知り合いは
みんな死んだ」
「そのとき、みんないい顔をしていたんだ」
「自分も最期はそこにいきたい」

「でも最期ってのはいつだ?」


そうだねぇ
人生の最終段階かな、と
伝えてみた


「そうか」
「みんなこんな風だったのかなぁ」
「頑張れよって言ってきた」

「がんばれないんだなぁ」

「ひどいこと言ってきたなぁ」

こんなにだるいとは、と
目を閉じた


「がんばれって言わない?」

私?

「ちがう。緩和ケア病棟」


多分。言わない


「緩和ケア病棟いくわ」
「死ににいくことになるけど、
まぁ頼むよ」



イメージは
人によってことなる


慰めや同情でもなく
励ましでもなく

ただその人がその人らしく
生きるを支えるんだ
どんな苦しみからも
目を背けない覚悟は
私達にはあるんだよ




どうだい?
あなたはどうあっても
あなたなんだから

ジロウもいつでもジロウだよ