おはようございます

 

つかれたなあ・・・

 

とつぶやいた患者さんのお話です

 

 

この方は

悪性腫瘍ではなく

慢性呼吸器疾患

 

肺炎とか気胸とか

くりかえしながら

入院、退院をくりかえしていました

 

 

治療にも前向きで

ほぼ医療者の提案を

受け入れ、試してくださる

 

 

まあ結果的にうまくいかないときも

だれのせいにも

何のせいにもせず

 

私達がお会いしたのは

1回目の入院

呼吸困難感が強いので一緒に、と

相談をうけてから

それから入院されるときには

いつもお会いしていた

 

いくどめかの入院の時に

本当に呼吸が苦しくて

いや、この方が

苦しくて、って言うんだから

相当だったはず

 

少量のモルヒネで呼吸困難感を

和らげることができるよう

調整することを患者さんに提案

 

 

「そうしてもらえる?」

「いままでは、なんとかなったし

なるべくくすりは、なんて思ったりもしていた」

 

少量のモルヒネは

呼吸困難感を和らげます

 

モルヒネが最後の薬というわけではないけれど

当然抵抗はあると思う

 

私は心配なく使うことはできるし

心配ないように説明もできると思うけど

 

患者さんが心配だ、

ああモルヒネかって思うことは

どうしたって

なかなか

さけられないと思っている

 

けれど

不安を取り除いて

楽に過ごすためにはどうしていくか

それは説明するよ

 

皮下注射といって少量ずつ

機械で管理する方法を選択

 

 

数時間後に訪ねると

「少し楽になった」

「ああ、こんなことならもっと早く

お願いすればよかったな」

「話すのも楽だ」

 

よかった、と伝え

しばらくお部屋でゆっくりお話をした

 

これまでの病気のこと

家族のこと

これからどうしたい、と思っているか

 

「家族は病院を変われっていうんだ」

「だけど僕は主治医の先生達を信頼しなきゃだめだ

って言ったんだ」

「でも、家族は心配してると思う」

「家族にも説明してやってね」

「そりゃ色々思うことはあったよ。

でもさ、言ったってしかたがないよね」

「まな板の上のこいってやつだもの」

「でもさ、色々さ思ったこともあるわけよ」

 

そして

 

「つかれたなあ・・・」

 

とぽつり

 

その後は目を閉じられた

明日もくることを伝えて

退室した

 

 

 

つかれたなあ・・・

 

これが彼の全ての気持ちなのかもしれない

 

 

生活の大半を受診や入院に費やし

治ることはないとわかりつつ

治療をがんばり

 

それでも終わりがみえず

 

患者さんは結構我慢している

話すのも辛いくらい苦しくても

患者さんはなかなか言い出さないってこと

医療の内容に色々疑問があっても

話さない方が多いということ

だから医療者はこちらから積極的に

患者さんのことを知ろうとしないと

いけないこと

 

患者さんは自らつらさを話す事はすくないということ

 

医療者はよくこころえておかないといけないと

実感した時だった

 

 

その後

モルヒネは一時的に使用して終了した

一旦は外泊ができるようにもなったけど

やはり

身体は限界だった

 

再度呼吸が苦しくなり

モルヒネを再開

完全に苦しみが取り切れていたか

どうかはわからないが

看護師さんもケアを最大限行ってくださった

 

 

穏やかな最期だった

 

 

やはり人は

終わりを迎えるんだ

 

 

もうだいぶ前のことになったなあ

こちらはコロナで今右往左往しています

どうぞ見守っていてくださいね