女性の患者さん

 

痛み止めが処方されたけれど

 

いつのんでもいいよ、って言われたけれど

 

なかなか飲めない

 

主治医の先生と

看護師さんが相談して

 

緩和ケアチームに

紹介してくださった

 

弱オピオイドに分類される

トアラセットが処方されているのだけれど

お薬の説明のところに

 

色々なことが書いてあって

普段なら何も気にならないのに

飲めないと話される

 

どうして飲めないんだろ?

 

「なんとなく、怖いから、かな」

 

「それでも一日2回は飲んでいます」

「あと1回が、飲めない」

 

副作用の何かがきになるのかな?、と

かんがえていたら

 

「1日3回までって言われていてね」

「あと1回は、今よりもーっと

痛くなったら飲むんだとおもっていたら

こんな痛みで飲んだらだめだ、だめだ、と

思ううちに、1日2回でおわっちゃう」

「自分ではいまそう思いました」

 

「よく考えたら2回も3回もかわらないですねえ」

 

いたみが我慢できる範囲なら

無理に飲まなくてもいい、ことも伝えると

 

苦笑い

 

「痛いんですよ。今回それで入院してますから」

 

薬はあったのに、飲まずにいて

入院になっちゃった

 

「先生には痛みがコントロールできたら

退院だって聞いています」

 

 

なるほど!

外来で処方されていたけれども

のむのをためらっているうちに

激痛

そしてみかねた家族が

救急外来につれてきた、と

 

じゃあ退院早くしたいから

のみますか?

 

「そうします」

「どう飲むといいのでしょうか?」

 

副作用は特になさそう

 

おすすめとしては

ある程度血中濃度を保つと痛みがでにくいから

1日3回定期内服+痛い時追加

でしょうか、とお伝え

 

 

「3回のんでも、追加していいの?」

「わあい、それならいい。3回飲む飲む」

「もう後最後ないっておもってたから」

 

驚くかもしれないけど

合計8錠まではいまのあなたなら

追加できますよ、というと

 

「8回も!」

「それ、最初に知っていたら、入院

しなくてよかったかもですね」

「やっぱり専門家にきくと違うわ」

 

 

専門家、なんて言われたことないから

にやけそうになるくらい

嬉しかった

 

いや嬉しかったのは

患者さんから薬の抵抗がとれたこと

 

これ、これ

このために

緩和ケアチームが間にはいるってことが

大事なの

 

 

翌日訪室するとにこにこされている

 

「3回のみました。楽〜」

「あと1回は夜中におきて痛い時

のもうって思ってます。痛くても

のんでいいものがあるだけで

ほんと、安心」

 

まもなく退院です

 

外来で抗がん剤治療をつづけるためにも

生活を生き生きさせるためにも

身体や心の諸症状は取るべきなんです

 

 

緩和ケアって

ちょっとした工夫を提案する

一緒に考える

薬の使い方やそれにたいする

気持ちのことを

一緒に支える

 

そういうものです

 

心配なし!

楽になった、といわれると

単純に嬉しい

それが私の支えです

がんばるね!