胃がんの術後

抗がん剤の治療を始めようと体調回復をまっていたけど、なかなか体調はよくならない

そうこうしているうちに
体力がなくなってきて
抗がん剤が難しく
なってしまった

家族はなんとしてでも
抗がん剤を、と願ったけれど
主治医も
どうにか
抗がん剤を、と願ったけれど


なんとかやってやれないことは
ない、と主治医も迷った


患者さんが
口を開いた

「手術をしてもらっただけでありがたい」
「あとは自然に」
「自然でいいんです」
「緩和ケア病棟で最期を
過ごさせてください」


と、おっしゃってるので、と
緩和ケア外来に
みえた

診察室に入るや否や

妻は泣きくずれた

「わたしはまだ納得していません!」
「緩和ケアなんていや。うけいれませんよ」
「緩和ケア病棟では
みてるだけですよね」
「ただ、死んでいくのを
みているだけの病棟ですよね」

「横にならせてもらっていいかな」
「妻はわたしが亡くなるのが
つらくて、あたるんです」


だれも悪くないの
わかってる

この言葉は
胸にささる

なんか
一生懸命やっていても
誤解ってわかっていても
つらいなぁ
そんな印象あたえちゃうんだな
と思うと

申し訳なくなる

ひととおり
説明した

だけど
言い訳みたい

病院なんだから
みてるだけのはずがない

必要な医療を考えるよ
つらくなく過ごせるように
考えるよ

それだけなのに

つらい思いをさせちゃった?

べつに緩和ケア病棟じゃなくても
大丈夫よ、と
伝えた

妻は厳しい表情をくずさない





重い沈黙の時間が流れた




ひとまず
二週間後に予約をとりますね


重い空気


二週間たって何がかわるんだろう?

時々訪れるこの空気

だれも悪くないはずだけど
私達が
何か
もっと
がんばらないと、と思う

あせる

死生観

悲しみ

ひとそれぞれ

でもさ
病院なんだからさ
ほうっておくこと
ないよね

どんな場所なんだ?
緩和ケア病棟って