痛いから今日中に診察を、と

緩和ケア外来に連絡がありました

 

断らない緩和ケア!をうたっているので

どうぞ、と

 

男性の70代の患者さん

膵臓癌の再発で痛みがある様子

 

かなりおつらそうで、車椅子にもすわっていられない

 

ベッドに横になっていただいて

少し楽にしていただくようにつたえた

 

「はあ・・・・」

「少し前に入院していて、その時も痛いって言ったんだけどね」

「薬がちょっとは効いていたけど、全然効き目はなかったんだ」

「麻薬でも覚醒剤でもなんでもいいから

痛いのを楽にしてほしい」

「何もできないよ」

「もう余命宣告は受けてる。最初に半年っていわれたのを

クリアしてるんだ。死にたくないけど、死んでもいい、と思うくらい

つらいよ」

「死ぬまで痛いのか」

 

入院をすすめてみたが

「入院はいや」

「さびしいもん」

「面会できないし」

 

そうだった・・・コロナのせいで

そうだった

妻はいう

「面会もそのうちにできるようになりますよ」

「一度入院させてもらったらどうですか」

本人

「いや」

「絶対いや」

 

医療用麻薬を皮下注射で調整して、そしたら

1週間くらいで色々に調整して

退院できると思う

 

「いやだ」

 

そうか

じゃあ外来で頑張ろう

 

医療用麻薬を使用すること

末期だからじゃないこと

癖にならないこと

あたまもおかしくならないこと

 

「ピエールみたいになる?」

 

ピエール?

看護師さんをみたら小声で(俳優ですよ。ほらピエール瀧)

 

ああ

 

ならないです。

癖にもならないし、効果が期待できます

 

「じゃあ、先生達を信じるよ」

「看護師さん、この先生を信じていいかね?」

 

にっこりしてうなずいてくれた

(マスクで、目元だけだけど、多分肯定の笑顔のはず)

 

妻が心配そうなので、細かく薬の使用方法を記載して

お渡しした

 

主の外来とは別に痛みの評価のために

もう一度来院していただくこともお願いした

 

「いいよ」

「やってみる」

 

私達もどきどきするけど、外来いつでも来てね

 

 

緩和の外来はだれもが落ち着けて

だれもが安全と思えて

何を言ってもいいよ、という場所にしておきたい

 

だれがなんと言おうとね

 

 

あとで相棒の看護師さんに聞いた

 

あの時わらってた?よね?

「もちろんですよ〜」と含み笑い

ホント頼りになります。

 

グッグッグッ

 

痛みが取れて、ゆっくりやすめてるといいな

ちなみに、膵臓癌の再発がすべて痛いわけではないです

個々に状態は違います。

でも、少しの痛みでも

生活に支障あるなら訴えて

もっともっともっと訴えていい