具合がよくないので入院したけれど
体調が今一つ回復しないAさん
70代の男性
抗がん剤治療を試してはみたものの
副作用のつらさに耐えかねて断念
もともととても元気な方で
仕事を退職してからは
地域のこと、子ども会のこと
ボランティアなど様々に行ってきた
緩和ケア病棟の個室を気に入って下さって
しばらくは入院と退院を繰り返した
だんだん家での生活が難しくなってきた
がんの場合
腫瘍マーカーや採血の値
CTをどうしても気にされてしまうのだけれど
そうでもない
それらは参考資料
参考所見
もちろん今後の予測を客観的に分析するためには
とても有用
痛みや苦痛の出現の予測もできるから
緩和ケアだとてこれらのことは必要不可欠
でも
それ以上に大切なのは
部屋の中で動けているか
食事はとれているか
浮腫はないか
うごくときにはあはあと息が苦しくならないか
だいたいこれらのことが
以前よりスムースにできなくなってくると
そろそろ入院?
もしくは病院に通うの大変だから
往診や訪問看護をお願いする?
となる
人も生き物だから
だんだんごはんが食べられなくなる
食べたいのに、食べなきゃいけないのに
食べられない
このタイミングで入院していると
「病院の食事がまずいからだ」
「家ならたべられる」
と、考えられる患者さんも多い
実際、そうであることも多い(病院食は決しておいしくない
健康的ではあるが、口に合わない方はあわない)
慣れ親しんだ味とは違うから
体力的にはかなりAさんもよわっていて
足も浮腫み
少し歩くと息切れ
それでも退院する、といってきかない
妻も心配され
「外出くらいにしておこうよ。むりだよ」
本人
「病院にいるから動けなくなるんだ!家に帰る!退院する!!!」
みんなで話し合った
スタッフの多くはは外出、外泊なんてとても無理、そんなことをしたら
倒れてしまうし、妻の負担も大きい
何もできないことを感じてしまって余計に
落ち込んでしまうのではないか
と考えた
でも
「一度やってみることも大事だし
自分のできないことを自覚することも
これからのために大事だと思う」
という意見も
みなさんはどちらと思いますか?
-------------------------------
私は
こんなはずじゃなかった!が最小限であるなら
患者さんの希望に沿うことが大事だと思っています
ただ
思い通りにならなかったとしても
あなたがそうきめたんでしょ?
だから
しかたがないよね
ではないと思う
思い通りにならなかった
それは残念なことかもしれないけれど
次に進むための
一つの考え方の指標
ととらえられるように
支援すべきだ、と思っています
Aさんは家族に頼み込んで
一泊の外泊を試すことになりました
私達はドキドキしながら
いつでも帰ってきていいよ、と妻に伝え
見送りました
ドキドキするのよね、
こういうとき
ドキドキしていないようにみせるようには
できるようになったけどね