続きです

 

「そんなはずない、そんなはずない」

「だって、これまで副作用に耐えて、治療してきたんすよ」

「ありえない」

 

うーん

今の症状について、先生に質問したことはありますか?

 

「ないですよ。そんなこといったら効果がないじゃないって思われて

治療をしてもらえなくなっちゃうでしょ」

 

転移のこととか?

 

「?そんなこときいてません」

「ありえないありえない。そんなことおきないもん」

 

お腹も張っていて

ご飯も食べられていないしなあ

 

何とか治して欲しい、元気になりたい

もう一度治療をしたい

 

その思いが

本人の意思とは無関係に心を閉ざしてしまった

 

否認

 

否認という心を守る手段

 

わざとではない

 

このときによく、理解が悪いとか、理解しない患者とかと

言われる

 

これまで治ると信じて

少しでも長く生きるために行ってきた治療

 

それが急に効果がないと言われ、

脳転移があるだの

腹膜播種があるだの

 

色々なことをいっぺんに言われ

そりゃあだれだって辛いよね

 

頭まっしろってやつです

 

 

前にも書いたことあるけど

 

こういうつらいお話のあとに通常の思考回路がもどってくるのに

2週間くらいかかる

 

 

だから

 

この患者さんも

 

ゆっくり考えられるようになるまで

少し時間をおくことにしました

 

どうしても辛いときのための痛み止めをちょっとお渡しして

2週間後の診察を予定しました

 

 

「別にこなくたっていいけどね」

「まあでもそんなにいうなら、きますよ」

 

とにかく来て下さいね

 

「はいはい」

 

そう言って帰られました

 

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よくある防衛機制は4つと私達は考えます

 

否認:あたかも病気が存在しないかのような言動

置き換え:やりばのない怒りを様々なかたちで他者にむける

投影:実際には自分が不安なのだけど家族が不安そうだから受診したい、というなど

退行:つらさを回避するために子ども返りなどで問題を表面化させないようにする、など

 

これらを医療者は理解している必要があるよね、と思う

 

防衛機制は無意識の反応

危機的な状況のもとでうまれるうけいれがたい感情や体験を

 

ありのままに感じたり、直面することをさけることで

 

こころの平静をたもとうとする働き

時々ご家族からも

 

“心がよわいからですよね?”と質問を受けることがあります

違います

 

あなたが弱いからではない

患者さんが弱いからじゃない!!

まして理解がわるいわけじゃない

自分を守らないとやっていけないくらいの状態だから

心がそうしちゃうだけ

 

頼みますよ、お医者さん

って思います

 

               黒猫しっぽ黒猫からだ黒猫からだ黒猫からだ黒猫からだ黒猫からだ黒猫からだ黒猫からだ黒猫からだ黒猫あたま

 

仁をみています

 

なすべきことを

自分の信じた道を進む

だれも歩いたことのない道を進む

 

私もそうします

 

コメントくださった方ありがとうございます

私は有名でもなく

いわゆる業績をあげるような医師ではないけれど

心はだれよりも熱い

それはだれにも理解されなくても

このブログを訪れて下さる方の中に

あたたかいコメントを下さる方があって

 

頑張れるような気がしてきました

 

ありがとうございます!!