続きです。

化学療法の副作用からようやく回復した時
つぎの化学療法が提案されました。
患者さん家族と相談し、再度治療開始しました。

なんとかなんとかやり過ごしましたが
日常生活は奪われていきました。

消化器内科の主治医も緩和ケアチームも
化学療法の限界を伝えて、やりたいことのできる
最後の時を、と思いました。

患者さんの妻は、何とか化学療法を、と
頼みました。そして、もう一つ

決してこれからの時間に限りがあることを
いわないでほしい、とも頼みました。

なぜか?
患者さんの実父が同じ胃癌で亡くなっていること
とてもつらい最期だったこと
希望をもっていてほしいこと

本人が知りたがっているかも?と問いかけてみました。それでも?

医療者でも話し合いました。
患者さんの意見も確認すべきだけれど
妻の意見も大事。

迷い迷っていたある日

急変されました。

あしあとあしあとあしあと

妻は泣き崩れました。
こんなにお別れが早いなら
もっと色々話したかった
希望ばかり、がんばればかり言ってしまった

やりたいこともやれなかった
治療したくないな、とも言っていたのに

私達はこのことをあとから聞きました

あしあとあしあとあしあと

家族にとっては予後を知らせないことが
本人へのいたわりであり、思いやりなんです。
だからこの患者さんの妻の考えも
優しさです。間違いなんかじゃない

いっぱい悩んで、苦しかったことでしょう
だからそれでいい
患者さんもわかってくれているはずだから。

あしあとあしあとあしあと

本人にとって、と、家族にとって、は
お互いがお互いを思いやる気持ちは同じ。
でも、残された時間に、違いがある

もし、何か、心残りとなりそうなことがあるなら
余命をつたえることより
やりたいことは早めにやった方がいいよ
その後に、また目標を作ればいい

私達はそう伝えます。大切な時間は取り返せない
これは医療者が責任をもって守るべきことと
私は考えます

 絵をかいてみました