続きです。
化学療法の副作用からようやく回復した時
つぎの化学療法が提案されました。
患者さん家族と相談し、再度治療開始しました。
なんとかなんとかやり過ごしましたが
日常生活は奪われていきました。
消化器内科の主治医も緩和ケアチームも
化学療法の限界を伝えて、やりたいことのできる
最後の時を、と思いました。
患者さんの妻は、何とか化学療法を、と
頼みました。そして、もう一つ
決してこれからの時間に限りがあることを
いわないでほしい、とも頼みました。
なぜか?
患者さんの実父が同じ胃癌で亡くなっていること
とてもつらい最期だったこと
希望をもっていてほしいこと
本人が知りたがっているかも?と問いかけてみました。それでも?
医療者でも話し合いました。
患者さんの意見も確認すべきだけれど
妻の意見も大事。
迷い迷っていたある日
急変されました。
![あしあと](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/098.png)
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妻は泣き崩れました。
こんなにお別れが早いなら
もっと色々話したかった
希望ばかり、がんばればかり言ってしまった
やりたいこともやれなかった
治療したくないな、とも言っていたのに
私達はこのことをあとから聞きました
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家族にとっては予後を知らせないことが
本人へのいたわりであり、思いやりなんです。
だからこの患者さんの妻の考えも
優しさです。間違いなんかじゃない
いっぱい悩んで、苦しかったことでしょう
だからそれでいい
患者さんもわかってくれているはずだから。
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本人にとって、と、家族にとって、は
お互いがお互いを思いやる気持ちは同じ。
でも、残された時間に、違いがある
もし、何か、心残りとなりそうなことがあるなら
余命をつたえることより
やりたいことは早めにやった方がいいよ
その後に、また目標を作ればいい
私達はそう伝えます。大切な時間は取り返せない
これは医療者が責任をもって守るべきことと
私は考えます