今日ご紹介するのは、2018年8月号のCin j Am Soc Nephrol7;13(8)1188-96から
『高齢者の透析導入の意思決定へのアポローチの特徴:腎臓専門医対象の質的研究』
を
実際は協和発酵キリンさんが発行しているJournal Topics18-10からご紹介します。
新たな人生の始まりである透析療法・移植療法を選択するには、
患者さんやご家族さんに決めてもうらよう補助する
『SDM:shared Dicision Making(共同的意思決定)』
を推奨するガイドラインがあるにも関わらず、高齢患者の腎代替療法の選択肢の一つとして『透析をしない』という選択について、腎臓専門医が取るアプローチは医師ごとに大きく異なっています。
医師の口の端々に感じるニュアンスで、じゃあそれで。っとなってしまうのをよく見まう。
医師もいろんな事情があり、背景も知識も違うわけなので、できれば一人の医師からだけれはなく、他の医師や看護師とじっくり話してみるのがいいですよ
多くの高齢患者さんは、透析導入が自ら選ぶ選択肢として認識しておらず
また
透析をしないという選択肢については十分な情報が得られていません。
そこで本研究では、腎臓専門医が重視する結果や治療の成功・不成功に関する認識が、彼らの取るアプローチの特徴を明らかにしました。
つまりこの医師の認識が、患者さんへの説明方法に大きくかかわっていそうだということです
方法は
性別・経験年数、施設、地域の情報をもとに合目的に抽出した腎臓内科専門医に対する半構造的インタビューを利用をした質的研究を行った。
インタビューは2016年6月から2017年5月まで実施され、意思決定に至るまでのアプローチを特徴づけるテーマに関する情報が十分に得られるまで行われた。
結果は
18施設にいる35名の腎臓専門医を対象としました。
うち20%が女性で、66%以上が10年以上の腎臓内科経験を有し、80%が教育医療機関に所属していた。
意思決定のための4種類の異なるアプローチ、
すなわち、
パターナリスト、
情報提供型(患者主導型)、
解説(ナビゲーター)、
組織尊重型 のアプローチが明らかとなった。
この4種類のアプローチの違いを特徴づける5つのテーマ。
すなわち、
①患者の自律性、
②患者の積極的参加と話しあい
(腎代替療法のあらゆる選択肢の提示、中立的な選択肢の提示、患者価値観の聞き出し、推奨する治療法の明確な提示)、
③児施設の標準的方針の影響、
④臨床転帰の重要性(生存、透析導入など)、
⑤医師の役割(患者教育、意思決定、積極的治療の追求、症状に対するマネジメント)が存在することが明らかになった。
パターナリストや組織尊重型は透析導入の指標を成功の指標とみなしたのに対し、解説型や情報提供型の腎臓専門医は患者の積極的関与・QOL・価値観を治療と調和させることに重点を置いた。
透析非導入を患者に提示したのは、今回の研究対象者のわずか3分の1であったが、全員が情報提供型または解説型アプローチを取っていた。
SDMの達成にもっとも適していたのは、解説型のアプローチであった。
結論
腎臓専門医による自信の役割、患者の自律性、成功の指標に関する認識の違いが、腎臓病患者の意思決定の多様性に寄与している。
以上でございます。
医師の経験・価値観は千差万別。
それに基ずく説明方法も本当に多種多様・・・。
血液透析を受けている方にアンケートしたところ、血液透析を開始する前に『腹膜透析』や『腎移植』についての選択肢の提示をされた記憶がない人が、なんと大半だったことがあります
説明されていても、『先生にお任せします』、とか医師のほうから『もうこの時点では治療はこれになるでしょうね。』とか言われちゃうと、もう頭には残りません。
そうすると、あとで色々ストレスがでてきます。
透析療法・移植療法はずっと続ける大切な治療です。
ご自身もご家族もしっかり聞いて、何回も聞いて、心にすとんと入ったら、その時点でまた医師・看護師相談し話を進めていくのがいいと思います。
『自分で決めた』という思いは、とても大切です。
つらい時、管理が悪くなったとき、自分を立ち上がらせ戒められるのは、直接的には自分しかいないんです。
ぜひ、『自分で決めた』としっかり心から思って新たな人生を始められるよう、しっかり腎代替療法の説明を受けてください。
一度といわず、2度3度と。
遠慮はいらないですよ
当院では、群馬県で唯一『腎代替療法選択外来』を行っています。
毎週月曜日・木曜日の午後
①腎臓内科医師30分:日本の腎代替療法の現状や、それぞれの治療の特徴、どれを選んだ際どんな生活となるか。など。
②腎臓チーム看護師30分:患者さんの腎機能を一緒に再確認し、今後予想される経過を考える。それぞれの腎代替療法の説明。どれを選んだらどんな生活となるか。など。
看護師のところでは、今日最初にお話ししたSDMに乗っ取って、皆さんが人生で大切にしていること、今後も続けいことを守るにはどの治療が合っていそうか。
それぞれの治療を選んだ際、どのような生活になるか、家庭の環境はどうか、家族の援助は得られそうかなどを一緒に考えますよ。
実際透析療法・移植療法が必要となる間際ではなく、eGFR30くらいに一度いらしてください。
先を知らないと怖いですよね。
それに知るとやる気が奮い立たされて、腎機能悪化速度が緩くなる方もいらっしゃいます。
まずはeGFR30.
その後腎機能が安定していればそれでよし
悪化してくるようなら15くらいにもう一度いらしてください。
その方に合った、より詳しいお話をしてまいります。
日高病院の腎代替療法選択外来は、
月曜・木曜午後
トータル1時間ですが、実際は1時間半~2時間くらい話している方もよくいらっしゃいます。
気軽に話にきてくだいさいね
『透析が始められた』
ではなく、『これが原因で透析が必要になった。自分は人生でこれを大切にしていきたいので、それをやりやすいこの治療を選んだ、だから、しっかり頑張ってやる』
このように考えられる方は、どちらの透析が開始となった後も、じっかり自己管理できます。
自分で選んだんものだし、それで頑張ろうと決めたから。
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日本腎臓病協会ホームページ https://j-ka.or.jp/ 腎臓netホームページ https://www.jinzou.net/JinzouTop/home.html
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