1、がれき処理業務が専門26業務の仲間入りに?


 以前のブログでも書きましたが、厚労省の諮問機関である労働政策審議会の部会において、いわゆる専門26業務にがれき処理を加えることが検討されています。

 正確には、廃棄物処理、水道施設関連、非破壊検査関連などがその対象であり、処理が長引くことを念頭において、期間制限のない派遣のかたちでこれらの業務を推進していこう、というものです。

http://ameblo.jp/jinzai-saizensen/entry-11157931067.html


ちょうど明日25日、次の部会が開催されます。その内容に関しましては、別途ご報告させていただく予定です。


(議題は「1.労働者派遣事業における専門的な知識等を必要とする業務について(公開)」となっていますが、討議が予定されているのは、もっぱら、先のがれき処理の件についてであり、派遣一般についてやいわゆる適正化プランに関して議論されるわけではなさそうです。念のため)



2、受動喫煙についての防止策に関し、義務化は見送りで努力義務に後退?


 今般の労働安全衛生法改正の論議では、メンタルヘルス分野の施策として、「精神的健康の状況把握のための検査の義務化」の項目が掲げられていますが、もうひとつの注目点として、受動喫煙防止策の義務化も話題にのぼっています。

 

 こちらに関しては、当初案は、禁煙、分煙対策を講ずるjことを事業者に義務付ける方向でしたが、事業者の負担が重いとの理由で(真相は、タバコ産業や飲食店の反対?)、与野党間で調整がつかず、政府与党としては、義務化までは盛り込まず、努力義務レベルに一歩引くかたちで成立を図る方向に舵を取ったようです。



現下の問題としては、派遣法改正に伴う下部法令等の整備、有期労働法制の今後の帰趨が非常に注目されていますが、上記のように、労働関係においては他にも関心あるテーマがたくさんあります。


追って、お知らせしてまいります。

「プロ」としての請負


1、請負の本質


改正派遣法が4月6日に公布されました。施行は秋になるでしょう。

この改正とのからみで、派遣で行なっている業務を請負化できないかという相談をよく受けるようになりました。


請負の定義については、基本的には民法という法律があり、「仕事の完成」ということが中核になっている契約であることがわかります。


ただ、これが派遣との対比における「請負」ということになるともう一つ重要なルールが出てきます。周知のとおり、昭和61年労働省告示第37号がそれであることほかなりません。
この告示37号によれば、もしも自分たちを「俺たちは請負業者だ」といいたいのであれば、自分の雇用するスタッフの労働力を自ら直接マネージメントすることと、請ける仕事自体も発注者に依存しないほどの独立性を有していることが必要とされています。


告示37号の規定は非常に読みにくいものですが、ざっとみていると一つのメッセージを感じます。
労働力の直接マネジメント、仕事の独立性、単なる肉体的労働力提供ではダメであり、業務処理に必要な機器を有していたり、業務自体が専門的ないし経験を要するものであること。。。

これらを通じて感ずるのは、どうも告示は、「請負業者」に対してプロフェッショナルとしての自己完結性を求めているように思われるわけです。


プロなんだから、仕事にやり方に関しては発注者の指図なんか受けない。
プロなんだから、スタッフの配置も自分たちで決定する。
プロなんだから、仕事自体があくまでも自分たちの仕事であって発注者には依存しない。
プロなんだから、資金調達も自前で行なうし、仕事に必要な機器も自己調達する。
プロなんだから、仕事は専門性があり、経験を要したりする。


細かい解釈やその根拠は別として、少なくとも「プロ」としての能力を要求されていることは間違いありません。

請負にまつわる諸問題を考える際には、まずは大きく、「プロだったらどうするだろう?」「こういうことをしててプロといえるんだろうか?」と自問してみてください。


2、機器の自己調達と賃貸借の論点にみる「プロ」性


告示37号の一要件として、自己調達した機器によって業務遂行することが求められている局面があります(常に必須であるわけではありませんが)。

しかしなから、機器をすべて自前でそろえるのはなかなかたいへんですし、相手方の構内で請負を行なう場合などはそこに必要な機器があることも多いため、それを借りることができれば合理的です。

そこで、告示の解釈としても、機器はすべて自分で買う必要があるわけではなく、相手方から借りてもいいよ、としています。ただし、借りる場合には、ちゃんとお金を払って借りてね、と念押ししています。お金を払って借りる、つまり双務契約たる賃貸借契約を別途に結んでくれ、というわけです。


これは要するに、
「請負業者なんだから仕事に必要な機器は自前調達がほんらいだろう」
「でも、全部買えというのも酷だし、そこにあるのならそれを借りても良しとしよう」
「ただ、本来は自分で資金を用意して調達すべきなんだから、借りるんならそれなりの対価を払えよ」
「それがプロというものだ」
というロジックなんだと思います。


3、賃貸借契約が必要な場合


(1)どんな場合にまで、この賃貸借契約を結ぶ必要があるのかは必ずしも明らかではありません。たとえば、請負を行なう作業場所についてはどうでしょう?

この点、参考になるのが、厚労省が出している「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関するQ&A(以下Q&A集と略します)」です。この解説をもとにして、先述の「プロ」性との関係を考えてみましょう。


(2)以前は、作業スペースを供与してもらう点に関しても双務契約、すなわち賃貸借契約を結ぶべきとするような行政指導がなされていたような記憶があります。
この点、Q&A集では、その13番において異なった解説がなされています。
つまり、請負業務に関して直接必要なものに関しては、相手方から借りる場合には賃貸借契約が必要だが、間接的に必要なレベルのものであれば別個の賃貸借契約は不要としており、その例として、請負業務を行う場所をあげているのです。

要は、直接必要か間接的に必要なレベルにとどまるかが分水嶺になるわけです。


(3)では、どこまでが「直接必要」であり、どこからが「間接的に必要」なのでしょう? このあたりは一概に定かとはいえない感じです。

たとえば先の作業場所ですが、仕事をするのに作業場所はほとんど必須ですので、なにかしら作業場所も「直接必要」のように思えます。

しかし、もしそのように考えてしまうと、空中に浮かんで仕事をするのでない限り、常に作業場所は「直接必要」になってしまいます。Q&A集の結論とは異なってしまいます。


ここで一つのメルクマールになるのが、「プロ」性だと考えます。


通常の場合、宙に浮いて仕事するわけにはいきませんから、誰がやろうがいくばくかの作業スペースが必要になってきます。それを相手方から供与してもらったからと言って、それは誰にしたってそうならざるを得ないことであるわけです。
言い換えれば、通常の作業スペースレベルであれば、たとえそれを貸してもらったところでプロの沽券に関わる問題ではないと思われるのです。
したがって、そのような場合であれば、別個の賃貸借契約までは不要ということになる、というのがQ&A集を敷衍したロジックになります。


(4)基準として重要なのは、あくまでも「直接必要か間接的に必要なレベルなのか」ということです。したがって、「作業場所」であればすべての場合において別個の賃貸借契約が不要となるわけではありません。「直接必要か間接的に必要なレベルなのか」がポイントであって、その実質を考える際に「プロ」性が参考になるわけです。

セミナー等でよく挙げる例を再掲しましょう。
たとえば精密作業に必要なクリーンルームだとか車の走行試験に必要な周回サーキットなどは、「作業場所」ではあるけれども、請負業務に必要不可欠です。請負業務をプロとして遂行するためにの核心といえるものです。こういうのは「直接必要」なものだと考えます。

要は、専門業者としてプロの仕事を行なうのが請負業者なのであるから、プロの仕事を行なうだけの能力や設備は用意しておけ、というのがルールの趣旨なのです。


半製品に作業を行なって完成させる際の半製品を双務契約にて購入する必要があるか、機密の問題等から相手方のPCに組み込む必要があるソフト開発を請ける場合にそのPCを賃貸借契約にて借りる必要があるか、など、ひとつの応用問題として考えてみてください(前者はQ&A集にも解説があります)。

今回のテーマ:「マージン率公開を考える」




1、はじめに


去る3月28日に成立した派遣法改正。すでに旧聞に属するかもしれませんが、厚労省が一覧で表記したまとまった資料が出ていますのでご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/roudou_haken0329.pdf


登録型派遣禁止、製造業派遣禁止などのKOパンチ級の項目は盛り込まれませんでしたので、その意味では安堵されている皆様も多いと思いますが、ぬかりは禁物。くせものがけっこう存在します。


その一つがテーマに掲げた「マージン率公開」です。


2、マージン率の公開とは?


要するに、どの程度の利益があがっているのか明確にしなさい、というものですが、性悪説に立脚してもっと雑駁にいうと、「おまえら派遣で儲けてんだろ? やっていることはピンハネだろうが? 抜きのビジネスしやがって。 その分だけ派遣スタッフにしわ寄せがきてんだぞ。どんだけはねてんのか、報告しろ!」っとまあ、こんな感じでしょうか?


ピンハネとおっしゃられるなら、「ハイ、そのとおり」と言わざるをえませんが、それが派遣ビジネスの根幹である以上、そのこと自体に問題はないはずです。これを否定したら、あらゆるビジネスが存在意義に?がついてしまいます。


いつまでも怒っててもしょうがありません。改正法に盛り込まれたのですから、ビジネスのありようにも影響を与えます。少し硬くなりますが、条文にふれてみましょう。
こんな風になっています。

第二十三条に次の一項を加える。
5 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。


簡単にポイントをあげましょう。


(1)情報提供の基となる単位は企業ごとか事業所ごとか?
これに関しては、最初のほうにある「労働者派遣事業を行う事業所ごとの~」の文章がどこまでかかってくるのかに関わりますが、その直後の「当該事業に係る派遣労働者の数、」だけでなく、それ以降にもかかるとされていますので、結果的には、事業所ごとのマージン率を出す必要があることになります。


(2)情報提供の中身は?
ア)「労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合」となっていて読みにくいですが、簡単に言えば、以下の算式になります。

(派遣料金-派遣労働者の賃金)÷派遣料金=マージン率

イ)賃金とはなにか?
時間給か日給か月給か定かではありませんが、今後、省令で定められるようです。

ウ)賃金には社会保険等の法定福利も含むのか?
「賃金」と書かれている以上、社保は含まないようです。
賞与はどうなんでしょうねぇ。。。単純に派遣料金との差額を見たいのであれば含まないということになるでしょうが、マクロで見て結果的にどの程度の利幅なのかを知りたいということであれば、毎月積み立ていることでもありますから、含んでもよさそうですね。ちなみに労基法上の「賃金」の定義では、労働の対償である以上、賞与も含んだ概念ということになっています。


(3)誰に情報公開するのか?
ア)各労働局への事業報告を行なうことがまず想定されますが、それ以外はどうでしょうか?

イ)まず、個々の派遣スタッフですが、こちらについては、第三十四条の二という規定が新設され、「派遣元事業主は、(中略)労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に係る労働者派遣に関する料金の額として厚生労働省令で定める額を明示しなければならない。」とされていますので、派遣スタッフに派遣金額を明示することにより、結果としてマージン率についても情報提供がなされることになります。

ウ)それだけでしょうか?厚労省に問い合わせましたら、どうもホームページ等で一般的に知らしめることも射程に入れているようです。委細は省令で決まるのでしょう。


3、高ければ問題?低くても問題?


マージン率が異様に高ければ、「ピンハネ」「抜きビジネス」とたたかれるでしょう。でも低ければいいのかというと、「この派遣会社、利益がぜんぜん出てなくてあぶなくない?(いまふう女子のように語尾の「ぶ」から高めに)」などと噂されて、派遣スタッフ離れがおきてしまうかも知れません。


そもそもなんで派遣会社だけこのような義務を課されるのか? 憲法の保障する営業活動の自由や法の下の平等原則に反するのではないかとさえ思います。


たしかにビジネスモデルとしてピンハネ的構造があるのは事実ですし、中間搾取を禁じている労基法の精神からも一定の意義は感じますが、先の営業活動の自由との関係では、各企業ごとの(HP等での)一般公開までは行き過ぎのような気がします。

「個別企業に対して一般公開を義務付けるのはやめる」

「情報提供は当局への報告までにとどめ、それを統計的にまとめたマクロの数字を当局が発表する」

「あまりに高マージンをとっている企業に対しては個別に対処する」


こんな方法でも、過度のピンハネの禁止による労働者保護と派遣業者の営業活動の自由が調和的に達成できるのではないかと考えるしだいです。


皆様のご意見はいかがでしょうか? 質問等もあわせ、なにかございましたら下記までアクセスください。

kawase@imiw.jp 担当:川瀬

それではまたお会いいたしましょう!