奨学金という言葉はとても便利で綺麗な言葉だと思います。そして、最近は抵抗がなくなってきているように感じます。周囲も「奨学金を借りて学校に行っている」と言ったところで、「そういう人多いよね」といった軽い反応であることが多いです。
  ですが自分は、「借金をしてしまった」と、重く受け止めていました。
  もともと貧困な家庭に生まれ育ったため、借金をしてまで進学する必要があるのか、また、貧困を理由にして進学を諦めてもいいものか等、散々悩みました。悩みぬいた結果、「貧乏は教育で断つ」理論を展開した北野さきさんを信じて、奨学金を借りて進学することにしました。
  もともと楽観的で、嫌なことがあっても一晩寝たら忘れるような性格でした。しかし、奨学金を借りた頃から徐々に返済に対するストレスを感じるようになったような気がします。奨学金を借りるまでは、アルバイトを一生懸命やり、一定金額を貯金したら残りは好きなことに費やしていました。本や漫画を買い漁り、暇さえあれば舞台やライブを観に行きました。
  奨学金を借りてからは、「借金をしている」という意識が強く、お金を遣うことを躊躇するようになりました。そして、いつでも返済出来るように、出来るだけ貯金しようと、お金のかかる娯楽を制限し、本や漫画、CDは買わなくなったどころか古本屋に売り、デビューから応援していたアーティストのファンクラブも辞めてしまいました。友人と飲みに行ってもお金を気にしてあまり楽しめなくなりました。何をしていても、お金を遣うことのストレスを感じるようになりました。
  もしかしたら、この頃からうまくストレス発散が出来なくなってしまっていたのかもしれません。 ストレス発散がうまくできなかったことが、後の「うつ発症」の要因の一つなのではないかと考えるようになりました。
  今考えると、奨学金は借金であるかもしれないけれど、闇金みたいに取り立てられるわけではないのだから、もっと肩の力を抜いて、お金を遣うことにいちいち罪悪感を持たなくてもよかったのではないかと思います。