裏付けとなるファクトはないのだけど・・・。
コロナ自粛解禁後、飲食店の料金は、なんとなく、いや結構高くなったような気がする。
特にそれまで1人2万円+αくらいだった価格帯のお店。
2人で終わってみると、今までになかった請求額、6万円とか7万円などと書かれているのをみて、「あれ・・・」と思うこと、しばしば。
どこも苦しい事情なのは痛いほど分かるので、何も問わずににっこり笑って支払いはする。
けど、肌感覚で1・5~2割くらい値が上がった気がすると、さすがにすぐには再訪しようという気は失せる。
自腹でとなると、やっぱり費用対効果の良さを求めたくなる。
ことにフレンチではなかなか難しいのだが、この「マ・キュイジーヌ」という店を紹介されて、一筋の光明が差した。
六本木通りに面したビルの地下。
ダークな感じの店内は、カウンターがメインで、テーブル席が1つ。
奥の厨房には、いかにも旨いものを作りそうな体型と表情の店主。
この人、かの「 ラ・ピッチョリー・ド・ルル」のシェフをやっていた御仁。
渡仏経験もあり、高級店での経歴もあるようだが、自身のお店は豚料理が中心のビストロに定めたようだ。
西麻布という立地ながら、料理もワインもリーズナブルな価格設定。
これならちょいちょい通おうか、という気になる。
まずは突出し。辛味を利かせた、ほんのり温かいパテ。ビールも泡もすすむ君。
パンがユニーク。米粉を混ぜて、外はカリッカリに香ばしく焼き上げ、中はほんのり甘みを感じる仕上がり。
ワインのつまみパンとして、とても優秀。
ラタトゥーユに温玉をのせたもの。野菜ゴロゴロ派で、歯ごたえも残している。クタクタ派からの迫害を受けかねないが、温玉をのせた時点で、原理主義とは一線を画しているのだから見逃してあげてほしい。
グラタン・ドーフィノワ・ア・ラ・ミニッツ。わざわざ「ア・ラ・ミニッツ」との注釈入りだけあって、注文してから作り始める。
芋自体の歯触りと風味を楽しむには、このような「サッと煮」が良いのだろう。が、私はジャガイモを下煮して、じっくりオーブンで焼き上げて、グズグズになるやつの方が断然好きである。これまた、いわば宗派の違いにすぎないのだが。。。
お得意であろう、ブーダン・ノワール。香辛料が効いて、パンチのある味わい。付け合せの芋は、今度はどストライクで好み。
エゾ鹿のハツのロースト。とても新鮮なハツで、臭みゼロ。思った以上にあっさりしていて、鹿の心臓と言わなければ、万人が好む肉質。
メニュー上には通年あるようだが、売り切れの時が多そう。
特上豚ロースのカツレツ。
これは見ての通り。薄すぎず、厚すぎずで、脂もしっかりあり、とんかつとカツレツの合いの子のような感じ。
結構なポーションなので、注文する前に気合を入れる必要あり。
今は夜中まで営業しているよう。
場所柄、高級ワインを持ち込むニューリッチの人々が、テーブル席でウェイウェイしていたりもする。
そんな騒ぎが気にならないほど、気楽に美味い物を食わせてくれる佳店である。