さて、日本とアメリカで認可されている人工甘味料は、現在では5種類あります。

 

前回までシェアさせて頂いたサッカリン。

 

ひょっとしたらあなたもすでに知っているかもしれないアスパルテーム。

 

これにアセスルファムカリウムと、比較的新しい人工甘味料と言えるスクラロースとネオテームがあります。

 

今回から数回は、あなたもすでに知っているかもしれないアスパルテームについての情報をシェアさせて頂きます。

 

なぜ、私がアスパルテームについて『あなたがすでに知っているかもしれない』と言うのか……

 

アスパルテームなんて単語、見たことも聞いたこともないぞ、とあなたは思うかもしれませんが、味の素、とくるとどうでしょうか?

 

これにさらに、パルスイート、という商品名ならば聞き覚えがないでしょうか。


アスパルテームは、実を言うと、食品添加物の歴史の中で最も広範囲にテストされてきた人工甘味料と言っても良いかもしれない品です。

 

え? じゃあ安全な人工甘味料なんじゃないの? と思われるかもしれませんが、残念ながらそうとは言い切れないのです。

 

このアスパルテームは健康に対して問題があるのではないか、と今でも議論されている品なのです。

 

アスパルテームは1965年に、アメリカのサール薬品の研究者たちが新しい胃潰傷の薬をつくる過程で発見された人工甘味料なんですが、その後、日本の味の素が大量生産の技術を開発したのです。

 

1973年にアメリカのG.D.サール社が、食品添加物としての発売許可をアメリカ食品医薬品局に申請し、1974年に乾燥食品として許可されました。

 

その後、1981年にアスパルテームはチューインガムとゼリー、それにプリンにシリアル、卓上甘味料への使用が、アメリカ食品医薬品局に承認されました。

 

2年後の1983年にはこれらに追加される形で炭酸飲料に、そして1996年にはすべての加工食品への使用が許可されたのです。

 

日本ではどうなの? と言うと、今から約30年前の、1983年に食品添加物として指定されています。
 

前回までは集中的に人工甘味料のサッカリンについての情報をあなたとシェアしましたが、その中で『カロリーゼロ』という言葉に反応した方も多いのではないでしょうか。

 

私がこのブログで『カロリーゼロ・低カロリーな食品』について情報をまとめて、あなたとシェアしようと思ったのは、単純に自分のウエストをシェイプアップするためです。

 

そう、摂取カロリーを抑えることが出来れば、体重を落とした結果、ウエストも締まるはず、と考えたのです。

 

結果から言えば、ウエストは86㎝あったのが、今は82㎝~84㎝なんで、一定の効果をおさめた訳ですが、この成果を得るには正しい知識が必須でした。

 

『カロリーゼロ』という言葉につられて、『カロリーゼロ』の食品ばかりを口にしていては、かえって健康に悪い、ということがあるからです。

 

私と同じように、あなたも健康への配慮、あるいはダイエット、あるいは憧れの異性を射止めるために痩せたいと願い、「カロリーゼロ」の飲食品を積極的に購入している方も多いのではないでしょうか。

 

ですが、実のところ、そうした「カロリーゼロ」飲食品は、カロリーや糖質が『完全にゼロ』でないばかりか、前回あなたとシェアしたサッカリンのように、含まれている人工甘味料が身体に害をおよぼすケースも有り得ます、

 

特に2000年代に商用で使われ始めたばかりの、比較的新しい人工甘味料については研究が進んでいないこともありますから人体への影響はわからないことが多いのが現状です。

 

一番歴史のある人工甘味料であるサッカリンですら、135年の歴史です。

 

135年の歴史でも、国や時代によって安全だ、いや発がん性がある、と主張が変わるくらいには安全性が担保できていない品なのです。

 

そう言う訳で、次回からは、サッカリン以外の人工甘味料にスポットを当てたいと思います。
 

サッカリンは日本では見かけないから大丈夫、とあなたは思っているかもしれませんが、サッカリンが海外や日本でも使用されているのは、これまであなたとシェアしてきた通りです。

 

サッカリンが危ない人工甘味料だと言うのはあなたとシェアした通りですが、しかし具体的にどう危険なのかはまだシェアしていなかったので、今日はそこを深堀しようと思います。

 

まず、サッカリンと言えば発がん性が怖い、というのはこれまであなたがこのブログを読んで頂ければわかっているかと思いますが、それ以外にもサッカリンには健康に悪影響を及ぼす恐れがあるのです。

 

まず、2008年にパデュー大学の研究者が出した論文で、サッカリン入りのヨーグルトをラットに食べさせて、経過を観察した実験があります。

 

結果、天然甘味料入りのヨーグルトを摂取したラットと比較して、サッカリン入りのヨーグルトを摂取したラットは、餌を食べ過ぎて太った、という報告があります。

 

さらに、ブラジルの研究者によると、サッカリンとアスパルテームという人工甘味料、そして砂糖をそれぞれ入れたヨーグルトを用意し、実験用のマウスに12週間、固形の餌と共に与えて経過を観察しました。

 

結果、サッカリン入りのヨーグルトと餌を食べたマウスたちと、アスパルテーム入りのヨーグルトと餌を食べたマウスたちは、砂糖を用いたヨーグルトと餌を食べたマウスたちに比べて、ほぼ同じカロリーを摂取しているにもかかわらず、体重が増えたと報告しています。

 

この実験の結果から考えると、心理的な要因というより、ホルモンや依存性、エネルギーのバランスの乱れに原因があるのではないかと考えられています。

 

さらに言うのであれば、1日の許容摂取量に達しなければ安全と国は言っていますが、他の食品添加物との組み合わせのテストは行われていませんし、世代を経てサッカリンが体内に蓄積されることも考えないといけませんが、そういった考慮もされていません。

 

こうしたことを考えると、いくらカロリーがゼロの甘味料だと言っても、サッカリンは避けた方が良い人工甘味料だと思います。

1895年の段階では、危険性で考慮するよりも、日本政府はサッカリンを海外から輸入するより、当時日本領であった台湾の製糖産業を育成するために、禁止した方が国益にかなった、という記事を前回あなたとシェアさせて頂きました。

 

それでは、それ以後はどうだったのでしょうか?

 

まず、大きな変化としては、第二次世界大戦があります。

 

この戦争によって、日本は深刻な砂糖不足に陥り、甘味料に関する状況が一変するのです。

 

第二次世界大戦までの、日本の砂糖生産量のピークは1939年の一人当たり16㎏という生産量です。

 

しかし、1944年には約3㎏まで砂糖の生産量は低下し、敗戦した都市である1945年には0.64㎏まで低下してしまいます。

 

加えて、日本は砂糖の生産地であった台湾と沖縄を失い、1946年の砂糖の生産量は一人当たり約0.2㎏と、ほぼゼロと言っても良いレベルまで落ち込みます。

 

こうなってくると人々は甘味料を欲しはじめ、1947年にサッカリンと、サッカリンを発見した5年後に発見された人工甘味料ズルチンの販売が閣議決定されます。

 

他にも、ダイナマイトの材料で狭心症の治療薬としても使われるニトログリセリンも、甘みがあるので甘味料として使われ、大勢の中毒者を出しています。

 

砂糖がほとんどない、当時の日本では安全性に何かしらの疑義があっても、人々は甘味料を欲していたのです。

 

ですが、1968年にズルチンが発ガン性と肝毒性のため、使用が禁止され、さらに当時使用されていた人工甘味料の一つであるチクロも使用が禁止されてしまいます。

 

1971年のアメリカでのサッカリンのGRAS(一般に安全と認められる物質指定)が解除されたことで、日本でも1973年に改正された食品衛生法で、サッカリンの食品への使用が全面的に禁止され、その年の11月から施行されました。

 

そのまま、現在までサッカリンは使用されなかった……という訳ではありません。

 

サッカリンを使わないと法律を施行して一カ月と少しのちに、なんとサッカリンの使用が制限つきではありますが復活するのです。

 

1975年に、日本で実施されたラットの長期毒性研究などから、サッカリンの膀胱ガンに対する発がん性は否定され、1日許容摂取量は5㎎/kgとし、現在もこの使用基準となっています。

 

発がん性があることでカナダで禁止されましたが、それを受けて日本でも一度は禁止されました。

 

しかし、その後にカナダと日本では、サッカリンの製造工程が違うという理由で再度使用が許可されています。

 

サッカリンは、このような歴史を経て、現在の日本においては各食品への使用量が制限されて、使用する際には商品の外装に、サッカリンが使用されていることと、その使用量が記載されています。

さて、アメリカでのサッカリンの歴史と危険性をこれまでシェアしてきましたが、日本ではどのように使われていたのかというと、はじまりは1853年、ペリーの黒船来航まで遡るそうです。

 

日本初上陸と考えられる清涼飲料水、レモネード(後のラムネ)が、サッカリンが日本にやってきた最初の品ではないかと考えられています。

 

このレモネードこと、ラムネが人々の間に流行したのは、1886年のコレラ流行に理由があるようです。

 

当時はコレラで10万人以上の方が亡くなる非常事態だったのですが、そんな状況下でとある新聞が、

 

『炭酸ガスを含んだ飲料を飲むことでコレラを撃退できる』という内容の文言を報道したことで、ラムネが爆発的に普及したようです。

 

今から100年以上前の情報源は、新聞が主なものだったでしょうから、新聞の情報を元に噂が口コミでどんどん広まったのではないかと考えられます。

 

ラムネが人々の間で広まるについて、安価なために企業にとってもメリットのあるサッカリンの利用も急増したのですが、実を言うと、1880年代には、サッカリンの安全性について、欧米諸国で複数の研究報告があったようです。

 

ようです、と言うのは、その頃の科学のレベルが低かったために、サッカリンが人体にとって無害なものなのか、あるいは有害なものなのか、それを確認するのが難しかったのです。

 

結論からシェアさせて貰うとと、日本では1901年、人工甘味料の食品への使用を人体に有害との理由で禁止しています。

 

当時の人工甘味料はまだサッカリンしかなかったため、糖尿病患者等には、治療上の目的でい使用するのは認められていたようです

 

もっとも、『人体に有害だから』という理由でサッカリンを使用を当時の日本政府は禁じましたが、先程もシェアしたように、当時の科学技術のレベルでは人体への有害性を立証するのは困難でした。

 

にもかかわらず当時の日本政府がサッカリンの使用を禁止したのは、当時の日本の砂糖の生産体制にあるようで、当時は沖縄を除くと日本のサトウキビ(砂糖の原料)の生産量が低下していました。

 

しかし、1895年に日本が日清戦争で勝利したことで、台湾が日本領になりました。

 

そういう事情もあって、サッカリンを海外から輸入するより、台湾で砂糖を生産することで、産業を興したいと当時の政府が考え、サッカリンの使用を抑えるべく禁じたのではないかと考えられます。