第1章 「アホウドリは本当にアホなのか?」


                      ※ 本章は、30節で構成されています。1日1節のペースで30~40日かけて

                        考えながら、ゆっくり読み進むことをおススメします。(筆者)

 

 

 木の上でゆっくりと、動物さんがいて、


 その動物さんのことを―― !!

 

 ぼくたちはなぜか 「ナノ」 と呼び捨てにしています。 ゲッソリガーン 叫び叫び叫び

 

 でも…その動物さんたちは、別に「なまけて」いるわけではないのです。えーん

 

 人間から見たら…「ゆっくり」に映(うつ)るスピードが、

 

 あの動物さんたちにとっては、ちょうどよいのだそうです。

 

 自然界の…人間から見てちょっと動作が遅いからという理由で

 

 「ナノ」 だなんて… 笑い泣き あせるあせるあせる

 

 ずいぶんと自己チューなネーミングだと思いませんか――?

 

 キラキラ雷をつけてあげたいなぁ――と、ぼくは思います(注1)

 

                           (注1) きみなら、あの木の上の動物さんに、「ナマケモノ」に代わる

                                どんな素敵な名前をつけてあげますか?

 「ナマケモノ」 さんたちの名前もそうですが…、コアラあせるあせる


 「アリ」って…あれも、ひどいネーミングです――。鳥アセアセアセアセ

 

 さんたちは、本当にアホなのでしょうか?

 

 たとえば…文部科学省のおエライさんたちが、全国学力テストのようなものを

 「ドリ」さんたちにもずっと実施していて、その結果、

 

       「モ~どうにもこうにもしょうがないほどに、

           この鳥たちは動物界において おバカさんだ」

 

 ということで…こんなひどい名前がつけられたのなら、まだわかりますが…。

 

   (もしそうだとしても「アホウドリ」という名前は、とんでもない“人権侵害”だと、

    ぼくは思います。ひどい名前を改めろ…と、ドウシテ…声があがらないのでしょう?

    ふつうの人間ならともかく…心やさしい鳥類愛好家の人たちもいると思うのですが…。

    トリさんたちに“人権”は無いノデショウカ?) (注2)

 

                  (注2) 「ライオンさんたちに“人権”はあるのか?」――このことを、ぼくは第7章で

                       考えています。もし――ライオンさんに人権(ライオン権?)があるなら、

                       アホウドリさんたちにも“人権”を認めてあげてもいいですよね…。

 

 あのトリさんたち、

 聞くところによると、

 

 ひぃ~おじいちゃんも、その娘のおばぁ~ちゃんも、その次のおと~さん世代も、

 

 とにかく代々(だいだい)、動物界では危険な品種として毛ぎらいされて来た人間に対して、

とてもフレンドリーに接して来てくれたそうなのです(ありがたいことです)。

 

 ところが、そうやって友愛の精神で接してくれるトリさんたちに対して、

 人間はニコニコしながら近づくと、

 隠し持った棒(ぼう)で、いきなりナグリ殺しては、羽根をむしっていました。

 

 そのトリさんたちの…あまりの(ニンゲンに対する)気やすさから 人間たちは…

 

 「こは、 ということで、

 

 「アホウドリ」と名づけられたと聞いたことがあります。

 

 でも……

 

 ぼくたち人間のことを疑わず、

 純朴(じゅんぼく)でフレンドリーなトリさんたちのことを「アホウドリ」とは…、

 何とも ひどい仕打ちです。

 

 むしろ…そうやって、トリさんたちのことを騙(だま)して撲殺(ぼくさつ)し続け、

 種(しゅ)を絶滅寸前まで追い詰(つ)めて来たことを、

 ぼくたちは改めてトリさんたちに謝(あやま)らなくてはいけないと思います。

 ついでに、もう一つ…ぼくが 「?」 と、疑問に思っている言い方があります。

 

 それは――「人喰い鮫」「人喰い虎」「人喰い熊」…といった呼び方です。

 

 どの動物たちにせよ、

 

 かれらはぼくたちのことを

 

 「エライ&えらい…偉大(いだい)なニンゲンさま」 なんて、

 

 これっぽっちも思っていません。

 

 サメさんから見れば、

 海で泳いでいるアザラシさんもニンゲンさんも

 「えさ/食べもの」という点では同じです。

 

 多少の食べやすさとか、食感という点で、

 サメさんの間で好みは分かれるかもしれませんが、

 その程度のちがいです。

 

 それなのに、「人喰い○○」という言い方には、

 

     「なんと、何と…!

    このエライ人間サマを食べようとする、

    ふとどきな○○!」

 

 というニュアンスが感じられませんか?

 

プレゼント 「泳いでいる人間サマに襲いかかる、ふらちなサメ」
プレゼント 「鮭(さけ)だけではガマンできずに、ニンゲン様を襲(おそ)う…獰猛(どうもう)な熊」

 

 クマさんも、お腹がすけば、鮭だろうと人だろうと何でも食べるでしょう。

 ぼくたちだって、牛さんを食べることもあれば、ブタさんや魚さんも…何でも食べます。

 

 でも、自分たち人間のことは、わざわざ…

 

             牛 「ウシ喰い人間」


                  宇宙人くん 「ブタ喰い人間」


                       うお座 「ウオ喰い人間」

 

 …なんて言いません…。

 

 それをわざわざ…ほかの動物さんたちには「人喰い○○」なんて表現をつけて…

「人サマを喰う残忍きわまる動物」 という印象を

 ぼくたちに植えつけようとしている気がします。

 

 考え過ぎでしょうか――?

 (ちょう)と(が)でも、

 

 ぼくたちは態度(たいど)をすごく変えます。ポーン ガーン アセアセ

 

           も、羽のひらき方程度の違いなのに、

           「人から見て」きれいな模様(もよう)か、そうでないか…という視点で、

 

 チョウは「きれい」だけど 蛾は「きたない」といった見方をすることがあります。

 

 チョウ(蝶)がらの女性用Tシャツは売れそうですが、

 (蛾)をあしらったTシャツは何だか…売れ行きが悪そうです。

 

 

 同 じ 虫 な の に …。えーんアセアセ

 学校で掃除(そうじ)をしている時に、

 

ヒヨコ ツバメが巣を作っているのを見かけたら、きみたちはどうしますか?

   巣をそっとのぞき込んでみると、

   小さな雛(ひな)が「ピヨ、ピヨ…」なんて鳴いていたとします。

 

                 おそらく ―― そんな時は、みんなにも知らせてあげて…

                  と思います…。

 

バイキンくん それでは…校舎の片隅(かたすみ)でクモの巣を発見した時はどうでしょう?

 

          ツバメの巣と一緒(いっしょ)で、ぼくはそっとしておいてあげたいのですが、

          ところが…ふしぎなことに…いとも簡単に、その巣を

          オトナもいるのです。

 

      窓のさんにたまったホコリを掃(は)くのと同じ感じで、

      ほうきをひと振りして…クモの巣を取り去ってしまうので、

      ぼくはとっても悲しくなります。

 

               セキセイインコ青 …あの巣も ツバメさんの住まいと同様 に、

               バイキンくん クモさんが苦労して作った「自宅 兼(けん)仕事場」です。

 

 もし機会があったら、そのクモさんハウスをよく見てみてください。ソレハ それは精妙(せいみょう)で美しい作りをしています。ぼくたち人間は、オシリから、せいぜい茶色い粘土状のものしか出せないのに(あとは…せいぜい…ONARAぐらい)、クモさんは、その小さなオシリから、キラキラと光る細~い糸を出しながら、見事に「オフィスを兼(か)ねた住まい」を作っていくのです。

 

 ぼくにもそういう技術があったら、好きなところでお尻から糸を出して、自分専用のハンモックなんかを作るのになぁ…と、クモさんの巣を見上げながら、羨(うらや)ましく思っています。

 

 ツバメのヒナ鳥や校舎に迷い込んで来た子犬に、ぼくたちは「カワいい~!」なんて言って

 面倒(めんどう)をみたがりますが、――でも、クモの巣は簡単に撤去(てっきょ)します。

 

 これもある種の “ 差 別 ” なのではないでしょうか。

 

                 ある日、学校から家に帰って来たら、

                 別の生き物が無断(むだん)で

                 きみの家を

                 (ブルドーザーなどの)重機(じゅうき)で

                 グシャグシャと撤去(てっきょ)してしまっていたら、

 

                 きみは どんな気持ちになりますか ??