この惑星に私が住むようになってから54年になるが、仕事の邪魔をされたのはたった3回だった
1度目は22年前。いったいどこから来たのか、コガネムシが落っこちてきた
それがとんでもない音を立てて飛び回ったので、私は4回も足し算を間違えた
2度目は11年前にリウマチがひどくなった時だ
運動不足だったんだな。散歩する時間もなかった。私は重要人物だからな
3度目は…今だ!どこまで行ったかと言うと5億…
5億の何?
ビジネスマンはちゃんと返事をするまで解放される望みはないことにようやく気づいた
5億のほら、時々空にチラチラ見えるものだよ
ハエ?
違うな。小さくてキラキラするもの
ハチ?
いや違う。怠け者どもに勝手な夢を見させる金色のちっちゃなものだよ
だか、重要人物だからな。私には夢なんか見ている暇はない
ああ星のこと?それだよ星だ
5億の星をどうするの?
5億162万2731。私は重要人物だから、計算も緻密でなくてはならない
星をどうするの?
どうするか、だと?
うん
どうもしない。所有しているだけだ
じゃあ星はあなたのものなの
そうだ
でも前にあった王様が星を…
王様は星を所有しない。君臨するだけだ。全然違うことだよ
何のために星を所有するの?
金持ちになれる
何のために金持ちになるの?
もっと星を買える。新しいものが見つかった時に
この人の理屈はあの酔っ払いにちょっと似ているなと王子様は思った