月9が凋落しているというネット民たちの批判をよそに、月9にハマっている。オールドファンが思わずニヤリとする小ネタが、あちこちにちりばめられているからだ。
1.昭和47年元旦
昭和47年元旦、我々子どもたちは「仮面ライダー」に喝采を送った。この日は、骨折で離脱していた「真っ黒ライダー」こと1号ライダー本郷猛(藤岡弘)が6カ月ぶりに復帰する日だった。仮面ライダーは前年4月にスタートし、7月に代役の2号ライダーこと一文字隼人に代わっていた。すると、変身ポーズが老若男女にウケて「変身ブーム」が巻き起こっていた。このとき以降、特撮ヒーロー、ヒロインは必ず「変身ポーズ」で変身するようになった。
そんな中、本郷猛が戻ってきた。一文字隼人とコンビの「ダブルライダー」編は、このクールに5回あり、そのたびに我々はテレビにかじりついた。そのスタートが昭和47年の元旦の日であった。敵の怪人はライダーキックをものともしない強力な怪人「スノーマン」。「本郷猛VSスノーマン」で昭和47年は始まったのであった。
その52年後、「海のはじまり」で「本郷猛VSスノーマン」が再現された。何も知らない若者たちはスノーマン推しだが、我々の世代は本郷猛こと、津野晴明を何となく応援してしまうのだった。
また、このドラマでは「夏」「水季」「海」の3人が夏をイメージした役名であるのに対して、相容れないものとして「弥生」「晴明(はるあき)」といった春や秋をイメージした役名で対比している。この「晴明」だが、やはり「安倍晴明」を連想してしまう。すなわち、本郷猛→津野晴明→安倍晴明→藤原道長→一文字隼人、最近の月9が得意としている大河ドラマとのコラボである。
2.わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい
前の月9では、大河ドラマ「どうする家康(2023)」からのコラボで、武田勝頼による徳川家康最愛の側室「愛姫(西郷局)」の調略作戦が展開された。調略が成功、ハッピーエンドで終わったところで「海のはじまり」がスタートした。
「海のはじまり」には徳川家康の正室2人が揃って登場する。「瀬名姫」と「旭姫」である。瀬名姫はちょうど1年前と同じく、望月千代女に苦しめられる。1年前は武田勝頼の命令により対面で調略を行った望月千代女であったが、今回は死んだ状態で瀬名姫を苦しめている。恐ろしい女だ。一方、望月千代女は回想シーンで旭姫とは気持ちが通じているようだった。これは望月が武田滅亡後に徳川に寝返って、当時の正室の旭姫は味方だったことを意味している。やはりとても恐ろしい女だ。
そんな中、真田広之が徳川家康役でエミー賞を総なめにしたというニュースが入ってきた。約45年前は武田勝頼役だった若手俳優がなんとも成長したものだ。そのときの武田信玄役は「田中浩」。「わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい」のCMにおいて「腕白」という日本語の意味を変えてしまった名優である。
3.曾孫の夫と夫婦役
このドラマ、「どうする家康」だけでなく、オリジナルの「徳川家康(1983)」に登場した2人も好演している。水季の両親役の「大竹しのぶ」と「利重剛」である。大竹しのぶは、徳川家康の母親「於大の方」役、利重剛は、豊臣秀吉の一子でラスボス「豊臣秀頼」役であった。つまりこういうことだ(カッコ内は当時の年齢)。
大竹しのぶ(25)の子供が滝田栄(29)、孫が勝野洋(35)、曾孫が石原真理子(19)、そしてその夫が利重剛(21)である。
こういう無茶なキャスティングが大河ドラマの醍醐味である。
ちなみに豊臣秀頼こと利重剛の母「茶々」が夏目雅子(25)、重臣「真田幸村」が若林豪(47)。「どうする家康」ではラスボスは北川景子演じる「茶々」が明確にフィーチャーされ、豊臣秀頼も真田信繁も無名若手俳優が演じていた。一方、「徳川家康」ではなぜ大坂の陣が起きたのかよくわからない感じで展開し、利重剛、夏目雅子、若林豪とも「時代に翻弄された人々」のような扱いであった。