6/7 昼、夜 6/8 朝 の三回を池袋サンシャイン劇場で観劇してきました。
※ 脈絡なくネタバレが出てきます。未見の方は読まない方が良いです。
※ 同じ世界観の舞台「TRUMP」は未見です。
キャストや概要などはこんな感じ。
http://gekipro.com/Gekipro/stage/2014/03/lilium---.html
「ステーシーズ-少女再殺歌劇-」や「我らジャンヌ-少女聖戦歌劇-」でタッグを組んでいた
脚本・演出の末満健一さん、音楽の和田俊輔さんとハロープロジェクトの三度目の舞台。
アイドル論やキャストの素晴らしさを広めるのは他の方にお任せして、雑感や妄想を思いつくままに。
・客席は開演前から薄暗く、BGMが低く流れていて雰囲気に呑まれそう。影アナもキャストを使わず重々しい感じ。そのせいかいつもより客席も静か。
・風雨の音が強くなり、鐘の音が聞こえて…リリーのモノローグからスタート。
・リリー。全方位外交で知らぬ間に人に愛され人を傷つける。正に主人公。
・シルベチカ。永遠なんていらない刹那系少女。秘薬無しではクランから抜け出すこともできず、幾度と無く繰り返される永遠の繭期。見た目は華やかな庭園が既に枯れ果てている事に気づき自ら命を断った。キャメリアの愛だけでは絶望を乗り越えられなかったのか、それとも身勝手に人生を操ったファルスへの報復でもあったのか。
・「Forget-me-not ~私を忘れないで~」 塔から落ちた直後と思われるシルベチカ。今回の事件の発端であるシルベチカの、「私を忘れないで」が後々まるで呪いの言葉のように響いてくるとは。
・止まない雨の中、シルベチカを探してクランから出てきたリリー。ここで紫蘭と竜胆の監督生コンビがリリーを追ってきたけれど、核心に触れる事を覚えていたならリリーを独断で処分する展開まであったのかもしれない。
・紫蘭と竜胆。この二人だけ名前が漢字表記なのは出身国が違うのかも。三百年もあれば国なんて興亡いくらでもありそうだし。気が強く短気に見える武闘派の紫蘭に対して、常に冷静沈着に見える知性派の竜胆。しかし紫蘭は竜胆に、竜胆はファルスに依存することで生きているように見える。自立性が大事な監督生なのに。
・「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」 圧巻。いきなり世界に引きずり込まれた感。単なるアイドルのお芝居でしょと思って観に来た人もビックリするはず。
・チェリー。武闘派で臭い人1号。身体能力は人間と変わらないはずなのに弾丸をヒョイヒョイ避ける恐ろしい子。シルベチカ事件にも関わっていたようで倒れたリリーを抱きかかえていた。退屈を持て余したカトレアに連れ去られる際に叫ぶ「リリー!助けて!」が妙に真に迫っていて怖い。特に演出されてないけれど
過去にも同じ台詞が違う場面であったのかもしれないなどと妄想。
・キャメリア。シルベチカへの愛だけでイニシアチブによる記憶操作を突破した漢。殺るときゃ殺る系男子。もしもシルベチカ亡き後のキャメリアの悲しみを埋めるためチェリーと仲が良くなるようファルスが記憶操作したのならほんの少し優しさを感じる。
・カトレア、ローズ、ナスターシャム。脳天気三人衆。この子達の底抜けの明るさが悲壮感を増す。
・「シルベチカなんて知らない!」 サントラで聴くとそうでもないんですが、劇場で聴いたこの曲は江戸川乱歩の世界なんかにありそうな”裏で人攫いをやってるサーカス団”みたいな怪しくも楽しい雰囲気が強くて大好きです。振り付けも可愛いし。
・マリーゴールド。思い込んだら一直線、臭い人2号。わりと気さくなチェリーまで「まだ生きてるぞー!!」と石を投げるレベルで嫌われてる。常に躁モードならもっと楽に生きていけたのに。リリーの幸せは私の幸せ。同じく孤立しているスノウがリリーと仲良くなるのは許せない嫉妬と独占欲の塊。
・スノウ。常にシリアス。全てを諦め、ただ生きるためだけに生きようとしている。楽しい思い出が増えれば増えるほど記憶をリセットされない苦しみ。ファルスと同じくらい楽観的に生きられれば良かったのに。不器用な生き方はマリーゴールドに通じるものが。”その他の少女”に見をやつした時だけ笑顔が見られる。
・みんなが秘薬を飲むシーン。サナトリウムというより修道院か教会のようなイメージ。ここで飲まなければ全ては変わっていたのかな。ファルスの血液から作られた薬を定期的に飲むことで吸血衝動を抑え、イニシアチブの取り合いを防ぎさらに不老を維持する。一石二鳥。
・「繭期のティーチング」 曲中にパネルの出し入れをしていたシルベチカこと少女A。チェリーはこれをあくまでも”設定”だと声を張り上げ、僕は笑った。その後「キャメリアとファルスの二人しかいないように見えるけれど実な何十人もいるという”設定”の男子寮」というファルスの言葉も同じく笑って聞き流したけれど、観劇2回目以降は男子寮はファルスの”設定”で本当は存在しないんじゃないかという疑念が湧き出てきて背筋がゾワゾワ。疑い出すと血盟議会って本当にあるの?とかきりがなくなっちゃうけれど。
・ファルス。貧血王子こと臭い人3号。名前だけ発表されたときは Phallus じゃないかと騒がれましたが、 False bindweed (ヒルガオ)でしたね。 False だけならば”偽”の意味もあるし、地下茎で全てつながって咲くヒルガオは正に”TRUE OF VAMP ファルス”にふさわしい素晴らしいネーミング。「どうせ永遠を生きるなら自分好みの世界で生きていたいよね?美少女に囲まれて。」を実現した真正の変態。
・お屋形様からの手紙って、実は竜胆からファルスへの恋文だったりしたら面白い。直後に捨てられちゃったけれど。
・「幻想幻惑イノセンス」 この曲がスノウの全てなのだろうか。リリーの幸せを永遠に見守る事が存在意義。
・もしマリーゴールドがストレートにリリーを好きって告白しても…手酷く振られて可愛さ余って憎さ百倍、リリーを殺して自分のモノに…希望が見えないな。
・「プリンセス・マーガレット」 場内が一瞬で春の花畑に。作中では慕われる理由が特に出てこないので似非貴族感が強いマーガレットだけど、姫としてのカリスマ性はあるんだろうね。
・マーガレット。鼻が良すぎた自称”姫”。親衛隊とともに嵐のように現れ嵐のように去る。「ご機嫌麗しゅう~」に返事するべきなのかと周囲を伺ったけど誰も返事してなかったので一安心したのは秘密。イニシアチブで操られていながら感情表現できたあたりが親衛隊よりも上。
・ジャスミン、クレマチス、ミモザ。親衛隊。か弱いお嬢様集団だったので簡単にマリーゴールドの手先に。狙われたのが脳天気三人衆なら返り討ちにできただろうに。後半は姫と共に四人衆で動くことになろうとは。クレマチスの絶叫はやたら怖い。
・永遠の繭期を守る決意をする竜胆。だけど実際に動くのは紫蘭。シルベチカ事件の際には竜胆も短剣を持ってスノウを抑えていたので、後半ファルスへの依存が信仰に近いレベルになったのはシルベチカ事件が心の傷になったからなのか。そんな弱気の竜胆を支え、守るため手を汚す覚悟をする紫蘭。
・「或る庭師の物語」 永遠に枯れない花を目指し続け手が届かなかった庭師の一生。ワスレナグサが咲いていた時の幸せを忘れることができず、もがき続けた庭師の亡骸に咲いたのもワスレナグサだったのだろうか。シルベチカが母から聴いた物語。クランから出たとしても母はもういない。初めは名前しか思い出せなかったシルベチカの記憶がリリーを変えていく。
・「ひとりぼっちのスノウ」 誰もが気になる少女スノウ。自ら望んで孤立している事が周囲の目を通して明らかに。
・スノウはリリーに庭師の物語を覚えているか?という意味で永遠に枯れずに咲く花を見てどう思う?と聞きリリーの答えで自分と同じくイニシアチブによる記憶操作が解けてきていると確信し覚悟を決めてリリーに全てを話す。また記憶を消されてしまうだろうリリーに。希望を込めて。
・「TRUE OF VAMP」 真実を求める赤い炎、真実を語る青い炎、真実を否定する黒い炎の饗宴。
・スノウと踊るファルス。セクシャルな匂いすら漂う言葉のやりとり。この時点でスノウはファルスが殺意を持っていることに気づいたのだろうか。
・「共同幻想ユートピア」 己の願望を高らかに歌い踊るファルス。 ”時よ止まれ 君に永久の美しさを” ファウスト博士のように叫ぶファルス。だが、天使は救済に現れず悪魔が魂を奪いに来ることすら無い。 ”だから同じ夢を見よう”。
・お化けがいるなら死んでも続きがあるって事でしょ?と言うカトレア。死んでも退屈が続くとしたら彼女はどんな反応をするのだろうか。
・迫害の日々に差し込む一筋の光明。 それではお聴き下さい。美勇伝で「ひとりじめ」。
・「もう泣かないと決めた」 リリーに欲望をぶちまけ盛大に振られたにも関わらず朗々と歌いあげる決意の歌。壮絶な死亡フラグ。スノウのイニシアチブを奪うだけでは済まさず、殺すという所にマリーゴールドのストーカーじみた狂気が見えて怖い。
・「秘密の花が綻ぶ」 サントラ未収録。曲名はパンフレットから。偶然から出た真実。リリーが普段から変な子じゃなければもっと展開が早かったのに。案の定ファルスの名前はリストに無い。クラン結成の時に記念写真撮ってるところがちょっとお茶目。
・チェリーが紫蘭に繰り出す追い打ちキックが凄い迫力。さすが武闘派。
・葬送終曲「聖痕《スティグマ》」 サントラ未収録。永遠の繭期を守護する紫蘭とリリーの守護するマリーゴールド。紫蘭の体に刻みこまれるのが聖痕としてのスティグマならば、マリーゴールドがスノウに罪の烙印として刻みこむのもまたスティグマ。
・やろうと思えばイニシアチブで簡単に退けられるマーガレット+親衛隊からスノウを連れて逃げたり、短剣で戦いを挑むファルスの徹底した美意識。スノウの前でいいとこ見せたかっただけかもしれないけど。
・紫蘭からチェリーを守るために発動したリリーのイニシアチブ。自分の生命の危機を回避するためではない所がリリーの業の深さか、それともファルスとしての無意識が介入していたのか。
・「あなたを愛した記憶」 解き放たれたキャメリアの記憶。悪夢から醒めたシルベチカは去ってしまった。 「私を忘れないで」
・わざと刺され死んだフリをして一度退場するファルス。スノウがイニシアチブを発動できれば問題無し。発動できなければ自分の手ではできなかった不死の確認ができると計算しての行動。スノウが最終的に死を選んだスイッチはここだったんじゃないかと思う。
・狂気のモノローグ。自ら殺した少女達以外にもリストから消えていった子達がいたのでは。例えば事故で、例えば病で。愛する者がいなくなるたびにファルスはゆっくりと狂っていったのか。
・再び繰り返される記憶操作。全てを忘れ永遠の輪に戻っていく少女達。今まではファルスとスノウだけが見送る立場だったが今回は違う。リリーだけは巻き込みたくなかったスノウの心はついに壊れてしまった。イニシアチブでマリーゴールドの記憶を操り自分を殺させる。マリーゴールドをファルスは許さないだろう。孤立と諦めしか残っていなかった自分。マリーゴールドに対して永遠に続く迫害の日々。スノウはマリーゴールドを哀れんでいたのだろうか。私がいた事を忘れないでとリリーに願いスノウは死んでいった。
・スノウが死にマリーゴールドが目の前で燃え尽きた事でリリーの感情が暴走した。永遠の輪に戻ったはずの少女達全員をイニシアチブで操作し自らの胸に短剣を。一撃で死にきれなかった少女達は互いに殺しあい、やがて誰も動かなくなった。そしてリリーも短剣を持ち死を選ぶ。自らの孤独を埋めるため命を弄んだファルスにクラン全員とリリーの命を持って放たれた呪詛。 「永遠の孤独の中で泣いていろ」
・愛する者、自分と共に歩んでくれる者を全て失ったファルスの絶叫。終わりは訪れず歩み去るファルス。
・「永遠の繭期の終わり」 リリーは死によって全てを終わらせたと思い悪夢からの覚醒を求める。
・でも、そうはならなかった。 リリーが目覚めたのは死に絶えたクラン。ファルスの姿は無く、少女達は倒れ伏したまま。恐るべき想像に戦慄するリリー。自分の胸には確かに短剣を刺した跡があった。恐怖を振り払い、夢ならば覚めろと何度も何度も胸に短剣を突き立てるリリー。呪詛は自らに返った。 「永遠の孤独の中で泣いていろ」 絶望したリリーの絶叫がいつまでも響く。
・「少女純潔」 終わらない夢。美しい悪夢が、再び。
・少女達の祈りをこめたカーテンコール。ただただ美しい。願わくば永遠の果てが訪れ、彼女達に幸せがあらんことを。
.長々と駄文を書き連ねて来ましたが、結論は一つ。「出会えて本当に良かった。」