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裁判所をかたるニセ封書が急増 送り主を電話で直撃すると「お客様」と呼ばれたけれど!?
2019/12/10 13:29 (J-CAST モーニングショー)

『東京簡易裁判所の名をかたったニセ封書が各地に送られており、裁判所に寄せられた相談は2日(2019年12月)から6日までの5日間で372件に上っている。

   神奈川県の30代女性の元に送られてきた封筒には、赤字でものものしく「重要」「親展」と書かれた横に「東京簡易裁判所」と差出人の名が。中には「訴訟着手発付通知」と書かれた紙があり、「貴殿に対し契約会社から契約不履行による訴状が令和元年11月29日に発付されました」「貴殿を被告とした民事訴訟が開始されますことを通達いたします」などとある。
「貴殿を被告とした民事訴訟が開始されます」と脅す
 
   さらに、強調するように赤字で「異議申し立て、訴訟取り消し等に関する照会先は民事第9室までお問い合わせください」と、相談窓口の電話番号が記載されている。しかしこの番号に電話をかけると、詐欺被害にあう危険があるのでご注意を。特殊詐欺に詳しい専門家によると、電話先でニセの弁護士を紹介され、裁判の取り下げ費用や着手金を要求される可能性が高いというのだ。女性は、書類に記載された番号ではなく、ネットで調べた実際の東京簡易裁判所の電話番号にかけたので被害を免れた。
   書類にはご丁寧に「詐欺にご注意ください」という注意喚起までしてあり、すっかり信じてしまいそうなほど巧妙にできているが、専門家が見れば、おかしなことだらけだ。例えば、訴訟関係書類は「特別送達」で郵送され、普通郵便で送られてくることはない。書類の文字はすべて「黒色」で、何かを強調するために赤字にしたり赤線を引いたりすることはあり得ない。』
『「消印が霞が関じゃなく牛込だけど」と電話で食い下がると...
   実際に記載された番号に電話した男性から、電話に出た男との会話の音声を借りた。そこには、うっかり尻尾を出した詐欺グループのやり取りが録音されていた。
   男性が偽名を名乗った上、紙に書かれていた管理番号を伝えると、電話の応対をした男は「データが見つからないので、分かり次第折り返す」。男性が消印について「牛込になっとるけど。霞が関じゃなくて」と食い下がるが、男は「分かり次第ご連絡差し上げます」の一点張りだ。
   男性が強い口調で問い詰めると、うっかりしたのか電話口の男は男性を「お客様」と呼んだ。男性は「お客様?簡易裁判所が相手に対してお客様っていうとね。普通言わんよ!」と激怒。最初から信じていなかった男性は被害にあうことはなかった。
   菅野朋子(弁護士)「変なところだらけですが、一般の方が見たらニセだと分からないでしょうね。でも、弁護士を紹介するなんて親切な裁判所はありません」
   青木理(ジャーナリスト)「僕もこれ読みましたが、よくできている。なんらかの法律関係者が関わっているのではないかというほどです」』
 
この記事を読んで、思ったことがある。
 
報道内容が不正確な(紛らわしい)話だな・・・と。
どこがだろう?
 
以下の点を挙げておきたい。
 
①訴訟関係書類は「特別送達」で郵送され、普通郵便で送られてくることはない
→ 嘘です。当事者間のやり取りは、FAXや普通郵便、宅急便でもやりとりします。裁判所でも簡易なものは普通郵便やFAXです。
 特別送達を使わなければいけない場合を除き、使う必要のないものは、手渡しや普通郵便などでも送られてきます。ただし、最初の「訴状」は、ほぼ特別送達です(ただし、これも例外があります)。(こういうルールは、国会と裁判所が決めています。民事訴訟法、規則、などです。ですが、かなり一般にはわかりづらいものも多いですし、電子化も含め、あまり丁寧な規定ではありません。そのことが詐欺や経費の増大につながっているのでしょう。)
 
②書類の文字はすべて「黒色」で、何かを強調するために赤字にしたり赤線を引いたりすることはあり得ない。
→ 嘘です。実際、裁判所の書類には赤字や赤線を使うことは認められています。また、使っている書類もあります。
 慣習として使っていないケースもあるでしょうが、それを根拠に判断すると大事故につながります。
 
「牛込になっとるけど。霞が関じゃなくて」 → ありえます。 裁判所の支部の裁判で、本庁から発送された郵便物があります。なお、書記官が個別に郵便の投函を行う、という書記官の説明でした。そのため、書記官は、どこで出すかこだわる必要はありません。但し、郵便別納等でまとめて出されたものもあります。なお、書記官というより、その下の業者等が出す場合もあると思われます。
 
④電話口の男は男性を「お客様」と呼んだ → ありえます。最近は行政機関でも多いです。嫌味でいう時もそういうようです。
 
⑤赤字でものものしく「重要」「親展」と書かれた横に「東京簡易裁判所」と差出人の名が。 → 「重要」はほぼ無いと思います。裁判所の書類はどれも重要だからです。ただ、「親展」は可能性があります。これは、郵便局側(配達側)で「親展」が使われ、スタンプを押してしまう可能性もあるからです。
余談ですが、電子内容証明にて「親展」を表示する機能もあります。電子内容証明は、現状、本人限定の機能がありません。これに対し、個人的に問題だと考えています。その代行として「親展」を表示する機能があるようです。郵便局でも、内容証明を出す際、端末入力で本人限定の入力ができない、とされ、手書きの領収書を発行されたことがあります。なお、もしかしたら、騙されているのかもしれませんが・・・。
 
⑥「訴訟着手発付通知」と書かれた紙、民事第9室。 → 法律上の定めがあれば発行されます。ただ、現在は「~部」という表示となっており、「~室」ではないようです。なお、こういうのも、法令(規則を含む)が細かすぎる、分かりにくいことにも問題があります。
 
⑦(法律上の根拠条文が書かれていない) → 原則ありませんが、例外は数多く存在します。裁判所書記官のタイプによります。
 
 9室が、憲法9条などのイメージも考えられ、「闇の裁判所の闇からの通知」なのかな?とも思いましたが、法令上、あり得ない文言もあり、嫌味(い「やみ」)を書いてみました。
 
 ただ、不審な場合、実際に記載された番号に電話に電話しない、は正解です
 しかし、どうしてもかけたくなってしまう、ということもあるかもしれません。一番良いのは裁判所に来所して対面で確認することですが、それができない場合は、電話帳で電話番号を調べて電話をしてみてくださいおそらくそれで無事なら、無事だと思います
 
 これでは不安な場合や、裁判所が信用できない場合は、裁判所を相手に裁判を起こす方法もあるでしょうが、それはやりすぎかもしれません。ただ、寝られないほど不安になったら、裁判をしてもよいかもしれません。お金はかなりかかりますが・・・判決で「そういう裁判等はありません」と確実に証明できると思います。弁護士や司法書士に相談してみてください。ほかにも、各種証明、という方法もあります。
 また、裁判所で口頭で「そういうものはありません」と言われて、その証明書類が欲しいが出してもらえなかった、という場合は、あなたを不安に陥れた氏名不詳の人物を検察や警察に告訴する手もあります。この場合は、紙代で済みます。ただ、検察によっては、実質、提出を拒むケースもあるかもしれませんし、第一体力を使うと思います。ただ、あなたが不安で仕方ないなら、やったほうが良いでしょう。
 
 なぜこう書くのか?警察官が家族殺しする世の中だからです。無論、こういうことがないことを願うばかりです。