「殺人事件の民事損害賠償判決に対する代執行制度」の声明 | 報道関係のブログ

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「殺人事件の民事損害賠償判決に対する代執行制度」の声明
平成23年2月27日
 
平成22年4月27日公訴時効制度廃止法案(「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成22年法律第26号)」)が、同日公布・施行され、「公訴の時効が完成していないものについても適用する(附則3条2項)」という画期的法案が成立致しました。法案成立の背景には、他の犯罪被害者団体等の活動も大きな力を果たしたと存じます。とりわけ、私たち『宙の会』の殺人事件被害者遺族の結成及び訴えは、報道各社が大きく取り上げて頂き、国民の共感を広く喚起し、世論を盛り上げるという流れがありました。振り返って、一気呵成の力そして国会の場に導いてくれた原動力は、無念にも「宙」の世界に旅立った、被害者面々の後押しが強く働いた、と断言して憚るものはないと確信しております。
ここに至り、刑事法分野における、犯罪者に対する罪の「償い」を求める制度は確立致しました。

ところで、犯罪に対する「償い」を求める制度は、民事法分野においても賠償すべき制度が確立してこそ、法理念の両輪が保たれ究極的に秩序の安定が図られるものと言えます。しかし、民事法分野においては。殺人事件に対する「償いの制度」が未だ確立していない現況にあります。「償い」とは、あくまでも犯罪者自身が最も負うべき応報的観念かつ教育的観念と言えるのではないでしょうか。
現況を例示するならば、『宙の会』会員に、犯人が特定されていながら公訴時効に至り、せめて民事法においてでも犯人を特定して頂きたい一心から、民事訴訟を起こし、結果犯人として認定し、約7,500万円の賠償判決が示されている事例があります。今後、仮に犯人だった人が現れても、支払い能力の問題そして履行を求めての新たな訴訟手続きと二次的・三次的苦難は継続することとなります。現行の民事法においては、殺人事件の犯人として判決を下しても、「償いの賠償」判決は、当初から実効性は限りなく乏しい国家判断です。
他方、被害者支援の観点から、被害者遺族等に対する給付金制度等の法案整備は行われているところですが、国家による見舞金的制度をもって、犯罪者自身の負うべき「償い」の責任が軽減されるものではありません。あくまでも、生命の尊厳を奪った犯罪者に対しては、生命の尊厳に代わり得る賠償を求めてこそ法理は保たれると確信致します。

以上を勘案し、公訴時効制度廃止後の『宙の会』活動方針として、究極の目的とする生命の尊厳を基盤とする安全・安心社会を目指して引き続き活動を展開して参りたいと存じます。