リストラと格差 | 共同合宿所

リストラと格差

自動車メーカーや、大手家電のリストラニュースが続く。
景気が悪くなって物が売れなくなれば、まずは、生産部門からレイオフってことになる。末恐ろしい。

そんなときに森永卓郎の年収防衛を読む。
人件費コストを削減して製品価格を下げないと競争に生き残れない、という体制派の見方はうそで、2001年から2005年の日本全体の雇用者報酬は減っているのにもかかわらず、営業余剰は増えているという。
このことは、企業は、人件費カット分を製品価格の引きさげには振り向けず、利益の上積みに振り向けた、ということを意味する。企業は競争するために、非正規雇用を増やしたわけではなく、利益を得るために非正規雇用を増やした、ということ。同年に、企業が株主に払った配当金も2・8倍に増え、そして、特に大企業では役員報酬が2倍以上になっていているという。一方、中小企業の役員報酬は減っていて、何があったかというと、大企業が中小を叩いてコストダウンを図っていることが、中小企業の役員報酬ダウンに如実に表れてるということだ。
まとめると、大手企業は非正規雇用を増やすこと、中小企業への発注単価を下げること、で利益を増やし、その利益で、配当金や役員報酬を増やした、というからくりだということ。

そんな非正規雇用者たちは、商品が売れなくなれば、いつだってポイだ。

いまの大量首切りってのは、一部の高所得者の報酬を維持するがために、弱者が犠牲になっている。USAなんてさらに格差が恐ろしく顕著だ。
夫いわく、「昔は、景気が悪くなると、貴族が自ら負担したのだ」。
それって、いつの、どこの、昔だ~、と笑いつつ、
「自分の所得の90%を寄付するぐらいでないとね。90%ではないが、ビルゲイツは偉い」
「やはり高所得者の累進課税を強くして、彼らの納税を景気対策に投資しないと」という結論になる。
消費税アップは一見平等に見えて、実に不平等なシステムになるだけだ。

さて、自分の所属する会社で考えてみると、ちょっと違った理不尽さがある。
今自分のいる部門は、非正規雇用どころか、5年前の半分の人数で同じ仕事をこなしている。忙殺というより、混沌としてめちゃくちゃといったほうがいい。もちろん会社の業績があがらない。そういうヒーヒー言ってるときに限って、会社は、管理職以上の上の人間ばかりヘッドハンティングしてくる。
もちろん、部門の種類によっては即戦力になるのだろうが、自分の部門においては、ヘッドハンターにどんなに優秀と判断されようと、まず「使えない」。自社製品とサービスと顧客の嗜好、これを理解するだけで、2年はかかる。
しかも、ワーキングレベルの仕事ができない、電話も出ない(出れない)じゃお話にならない。
こんな小さい組織にそんなに管理職がいるのか。
でも役員にとって、英語とプレゼンテーションに堪能な部下(=管理職)を入れて、楽したいのだと思う。
管理職一人いれるなら、平社員二人入れてください。という状況。どんなに生産的な仕事ができるだろうにと思う。
しかも、利益が出ない!と、マージンのことばかり厳しく言われる。結局、下請けをたたく。

自分のいる会社には、日本の社会が凝縮されてる。
財務諸表を見せてくれ。