首都高バトル | 共同合宿所

首都高バトル

「しまった!!」

旦那が叫んだ。
早朝、ぼーっとしながら、私が「今何時ぃ?」と聞いた時の答えだ。
外はまだ真っ暗だが、

「5時だ!ま・・間に合わない」

ガバッ!飛び起きる。

そう、今日は久米島にたつ日。指折り数えて待っていた日。
なんてこったい!
旦那は、4時にセットした目覚まし時計を勝手に止めていたのだ。
しかも、止めても止めても5分後にまた鳴る目覚めし時計を。 6時半の飛行機なので、家を4時半に車で出発する予定だった。
すでに、ご・・ご・・5・・・5時ィ? 嗚呼!信じられない!(悲痛な叫び)
うちから羽田まで普通に走ったって1時間半はかかるぞ。
以前も、大事な会社の仕事で早く行かねばならぬ日もあの旦那は、目覚まし時計を止めやがった。

なんておろかなのだ!
嗚呼、嗚呼、大事な時、いつもは、「♪おいちにさんしッ、朝だよッ、ピッツッピッ」と大音量で鳴る、目覚まし時計も同時にセットするのだが、うっかり旦那を信用しきってしまったワタシに、、カ~ツ(喝)!

しかし、それからは、消防隊員のように準備をし、家を飛び出す!。
「最悪、ノーマルチケットを買って行けばいい・・・」

旦那の運転で、すごい勢いで車はかっとんで行く。

ひぇぇぇぇ~。怖いよ~。

しかし、首都高で渋滞といったトラブルさえ、しなければ、何とか着くかもしれない!

ところが~だッ。

首都高の途中で、急に、うちの車の前に横入りする車が出現!

「ブーーーーー、ブーブーブーブー、ブーーーーーーーーー!」

旦那がしつこくクラクションを鳴らす。

ごるぁぁぁぁ!アブねぇじゃないか。入んな!!

ところが・・・前の車はウィンドウを開けて、このクラクションに怒りに震える顔を出し、文句を言っている。
何いってっか、聞こえない。
ふと、以前、チンピラの車と衝突し(正確には衝突され)、旦那がチンピラに殴られたことを思い出す。

「うっわ、やべ。殴られるぞ」

しかし、ここは首都高。
つかつか出てきて殴り合いのケンカになることはないだろう。

が、前の車、追い越し車線で、急に減速!
ウィンドウからは相変わらず、顔が出たままだ。

旦那もアドレナリン急~上昇中!。
急加速して追突スレスレまで走ってる。首都高バトルだ。

うっわー。このままじゃ、くっくっ久米島が~・・・

「やめてやめてやめて!やめて~」

私は必死で叫ぶ。
アフォだ!アフォとしか思えない。うちの旦那。
こんなことに沸騰している場合か!落ちつけ。

敵は今度は追い越し車線でのろのろ運転による嫌がらせを始めた。
事故になったらどうするんだ。相手は発狂してるぞ。 かかわるな!
うちの車は子供が乗っているんだぞ!
心臓のバクバクが止まらない。

「と・に・か・く、やめて~お願い」
旦那は少し落ち着いた。
車間をあけてゆっくり走り出した。
しばらくして、分岐でその車は右方向へと向かいだした。
うちの車もそっちに行くとみせかけて、寸前で左に行った。 (意外に気が小さい)

ほっ・・・・。
つまらん争いするなよ。本当にくだらない。

まもなくすると車は6:10過ぎに羽田に着いた。

パーキングは予約していたOKパーキングではなく、空港のパーキングに車を入れることにして、何とか間に合わせることが出来た。

ほっ・・・再度胸をなでおろす。
私が起きなかったら、今頃まだ夢の中だったのだろうか。 とにもかくにも、久米島にいける。久米島ダイビングだぁぁ!トンバラ沖だぁ。ようやく嬉しさがこみあげてきた。

「おとうチャン、ダメだよ」

息子は、旦那をたしなめていた。