アタシの友達のラニちゃんが、
疑惑のオンナだってこと、覚えているだろうか?
疑惑のオンナは、どこからどー見ても、深窓の令嬢にしかみえない。
ハナママが、忙しくリビングで掃除機と格闘していたとき、
ふと見ると、リビングを出て、自分のウンコ場に行くラニチャンが見えた。
気にせず、掃除機を動かしていたハナママは、
ハッと気が付いたんだった。
(そうだ! ラニは疑惑のオンナ!)
ラニチャンが、疑惑のオンナ・・・? アタイには信じられない・・・ 信じられないけど・・・
あわてて、リビングから首を伸ばして見ると、
美しい茶色の毛並みの近くに、
1かけらの黒い物体。
あ~~!!!
時すでに遅し!
残りは、再び口の中か?!
そーよ! アタイはお嬢なのよっ! 疑惑のオンナだなんて、名誉毀損で訴えるだわよ!
(ゴラァ~~!!! ラニッ!! ダメェ!!)
あせったハナママは、掃除機を止める暇もなく、
振り上げて走る。
その瞬間、隕石の破片のようなものが、
スローモーションで飛んできたんだった。
でもね・・・いろいろ、状況証拠はそろってるみたいよ・・・・・
ラニチャンは、ものすごいビビリーだ。
ハナちゃんや、アタシみたいな、見るからにビビリーなんじゃなくって、
鼻っ柱が強いくせに、ビビリーで、逆切れする。
もちろん、掃除機なんて、大嫌いだ。
その、掃除機がハナママの怒声とともに、振ってきたんだもの、
カモシカのような、すばらしい脚で、スピンジャンプしちゃったんだ。
お尻から、でかかったまま。
柔らかな隕石は、空中で分解しながら飛び散ったんだった。
私は、ハナ家の名誉のために、ノーコメントよ。 ああ・・・でもっ!言いたい!!けど、言えない!
(もうさっ! 拾い集めた後そこらじゅう拭いたわよっ!
服や髪についてないか、チェックしたわよっ!
大変だったんだからぁ~)
教訓。
『疑わしきは、罰せず。』
(あ、そうそう、壁もチェックした方がいいよ。)
むか~し、むか~し、
まだ、にいちゃまが、う~~~~~~~んとちっちゃかったころ、
ベッドの横の壁に、ちっちゃな虫のさなぎのような、鳥のウンコみたいなものが、
ポチッとついてることがあったから。
どーも、鼻くそつけたみたいなんだけど、
かんそうしてたから、きれいに、ポロってとれたって。
(もし、壁についてたら、いじらず乾燥させるってのも、
手かもしれないよぉ~~。)
あやしい・・・・・ やっぱ、あやしい・・・・ あやしすぎる・・・
人事だと思って、無責任に涙が出るほど大笑いしたかあさまは、
ひきかけていた風邪がふっとんだんだった。
笑いは免疫力を高めるんだね。
でも、友達としては、サイテーかも~(笑)