引き続き、福島正則の居室にて。加藤清正と豊臣秀次、3人で昼間から酒を飲んでいる。
正則 「孫七郎、何かあったのか?困ったことがあればわしらに話してみよ」
やや、間があって秀次が話し始める。
秀次 「・・・私は、もう側室は要らぬ。それを叔父上に取り直してもらうために、
治部に話しかけたのだが・・・」
清正 「殿下に直接、話をすればよいだけのことではないか!」
正則 「そうだ。やはり、孫七郎は気が優しすぎるぞ」
清正 「ふん、臆病者なだけよ。おぬしは昔からまったく変わっとらんわ」
秀次、言葉もなくうつむいてしまう。
正則 「まあ虎之助、そう言うな。孫七郎の立場にもなってみよ」
清正 「ふん、わしは羨ましいだけじゃがの」
3人の間に気まずい空気が流れる。
正則 「まずは御文庫に行ってみてはどうじゃ。佐吉はそこにずっとおるのだろう?」
秀次 「・・・昨日、来るなと言われたばかりじゃ」
正則 「諦めるのが早すぎるぞ。孫七郎」
秀次 「だが、また追い返されたらどうしよう・・・」
清正 「なんじゃ、うじうじと!そなたはそれでも男か!」
正則 「一人で行きにくいのならば、わしが付いていってやろう」
正則が立ち上がり、秀次もしぶしぶ続く。清正は寝転がったまま。
(続く)