「パターン行動」とは何か?
その名の通り、1パターンな行動のことだ。
Aと言う目的の為に、Bと言うプロセス、Cと言うプロセスが要るとすれば、
C→B→A
と言う行動の順番がパターンとしてあるとする。
おしっこをする(A)のに、トイレに行って(C)、チャックを開けて(B)、おしっこをする(A)。
と言うようなことで、健常者の人でも誰でもとにかく最初はパターンで行動を覚えて行く。
自閉症者の場合、それが顕著であり、基本的に覚えたパターン行動にない行動は嫌がる傾向がとても強い。
何かをする時、その順番などにこだわりを持ち、他者によってその順番を変えられたりすると、反発を食らうことが多いのだ。
例えば、洋服を上手にたたむことが出来る自閉症のA君。
洋服をたたむことに関しては右に出る者はいない程だが、
右そでをたたみ、左そでをたたみ、全体を半分に折るパターンで動作を覚えており、とても丁寧でスムーズで良いのだが、
他者が左そでからたたんだものを途中からやってもらうと、全部最初からやり直してしまう。
衣服の着脱など身辺の自立が一番できているので、食堂に並ぶのも一番。これもパターン。
しかし、何かの拍子で一番に並ぶことが出来ないことがあり、パターンが崩された為に、既に並んでいる人を押しのけて無理矢理一番に並んでしまう。
このように、自力で出来るからといって放任する事が、他者の介入を許さないパターンを完成させてしまうことがある。
自閉症児・者の特徴として、
「マイペース」、「こだわり」
と言うものがある。
「マイペース」は、自分のペースで自分の思い通りにしたいと言う欲求。
「こだわり」は、ある特定の物や行為や順番などに執着し、他者の介入を許さない状態。
「マイペース」は健常者でも誰でもある欲求だが、人間社会で生きる以上、人間はどこかしら「ユアペース」にしていかなければならない。
朝8時30分に出勤して残業して帰るのは22時なのも社会に生きる上ではある程度仕方ないことだし、自分が不幸だからと言って、他人も刺して不幸にして良いなんてことはない。
人間社会で生きる以上、「マイペース」は常にどこかで限度があり、それを超えると、著しく周囲・他者を困惑させる。その限度の調整を健常者は自然にやってのけるが、自閉症児・者にとってはそれが困難であり、それが障害なのである。
見た目は同じ、ある一つの行動が、
とある行動→パターン行動→マイペース行動→こだわり
と言う感じで、、自閉症者本人の中で変化していく。
ある動作が自立して出来るようになることは、本人にとっても周囲にとっても喜ばしいことであるのだが、
この「マイペース」「こだわり」がある為に、思わぬ場面で周囲を困惑させてしまう。
このこだわり化するパターン行動を防ぐにはどうしたら良いのか?
最終的に、こだわり化する前に、「パターン行動→マイペース行動」と言うプロセスがある。ここで手を打つ。
あるひとつの目的の為に、一つのパターンだけで覚えるのではなく、2種類か3種類のやり方を教え、それぞれ覚える。2つか3つのパターンを作っておく。パターン行動の種類を増やす。とにかく1パターンを崩す事が必要だ。
そして、「今日はこのやり方でしましょう」と言う指示に応じて、Aと言うパターン、Bと言うパターンで行動することを、普段の生活に取り入れる。それも一つのパターンと言えばパターンだが、
重要なのは、「今日はこのやり方でしましょう」と言う指示に応じて、行動している為、
「マイペース行動」ではない。
複数のやり方を覚えることで、行動のパターン化を防ぎ、
他者の指示に応じてやり方を変えることで、マイペース行動を軽減、
結果として、こだわり化を防ぐ
と言う流れである。
※ ちなみに、既にこだわり化した行動が激しく、全く他者の介入を許さず、始終マイペースで誰も手を付けられなくなった状態に関しては、また別にコメントしたいと思う。
「マイペース」で行動したいのは人間であれば、誰もが持つ欲求であるが、その限度の調整を本人自身ですることが難しい障害である以上、こだわり化して誰も手を付けることが出来ないような不幸な状態に陥らせないようにケアすることが、本人にとっても周囲にとっても良いと私は思う。
しかし、このマイペースの限度の調整と言うような、抽象的な概念を習得出来るような段階にまで学習された自閉症児・者の方はこの限りではない。
takahiro