ウ⤴ ン…

     …ゥ゛ウ→ン…




蚊取り線香の香り…

ひとまず安心…



深夜のゥ゙ンウン

耳元でウンウン…🦟



…Give me…   安眠…





今年も夏がやって来た。

季節を3つ駆け抜けて、新たな夏が、私のもとへもやって来た。






あの日、 …響子5歳の夏。







『あぁッ痛たたた…』



『何だろうか、何か変な物でも食ったろうか…』



『分かんね…臭くはなかったけどな、

あーいてててててて…』



『どうしたの?父さん』



『腹が痛いんだとよ』



『そうなんだ、母さん』



『どうする?薬でも飲むか?』



『どうかな?飲んだ方がいいかな?どうしたらいいかな?…痛タタタ』



『そんなに痛いんだったら飲んだ方がいいだろー』



『じゃぁ、飲むか?…』



(あぁ…痛そうだな…父さん…

凄く痛そうな顔してる、父さんがあんなに痛そうな顔してるんだから、そうとう、痛いんだろうな…大丈夫かな?)



(私はお腹がよく痛くなるから分かるよ、その痛さ、分かる…痛いよね…だんだん、吐きそうにもなってくるし…

あー痛そう…)



(そうだよね、そのまま居るだけでも痛いよね、だもの立ってもいられない…横になっても痛い、どうしたって痛い、

立てるはずが、ないよね…痛いね、父さん)



(あー痛そう…父さん…痛そう…)




『大丈夫?』



『 ぁあ゛ーッ!?

お前が!そんな事思ってるワケねーじゃねーか!! アイテテテテ…』



(イッ⁉…え?怖い…)



(え?、どうして?)



(どうしてそんなに、怒鳴るの?)



(どうして..?)



=父さんの肩に置いた手を、響子はそっと下ろした…=



(…コワ、怖いィィ…怖いィィ…)



(どうしてあんなに、目を吊り上げて、顔を赤くして怒るの?

どうしてあんなに、睨むんだろう…

怖い…)



(怖い…怖いよー怖いよー)))




(もう、傍に居たくない、傍に居たくないよ)




(痛いだろうと思って言っただけなのに、あんなに怒鳴られるんだ…)




(…

そっか…もう二度と、二度と言わないでおこう…)



(そうだよ、言った私が、いけなかったんだ…

あぁやって痛がってる時には、その人に近寄っちゃいけない…)



(もう二度と、言わない…

自分が怖い思いを、するだけだから…

もう二度と…言わない)



(そっと遠くから、見守ってるだけで良かったんだ、近寄ったら怒鳴られるだけ、近寄ったらいけない、絶対に…)



(怖いぃ…怖いぃ…怖いぃ…)



『何こんな所で突っ立ってんだよ!』



(イィッ!

  イィィィッ!…怖いぃぃぃぃ…)



『ほれ!響子!こっち来いよ!』



(あ…っ、あ…あ、あああぁ…怖いぃぃぃ

  怖いぃぃぃ…)



『何もたもた歩いてんだ!さっさとこっちに来いよ!また怒鳴られんぞ!』



(あ…あ…、あ…あ…あ…怖いよ〜)




(あ〜、あ〜、動けないよ~)



(あ〜、怖いよ~)



『何やってんだー、ッたく!ほれ響子!』



『あ…ぁ、ぅ…うん』



(あ、あぁ…あー

誰かー、誰かー

だ…誰か…たすけ  て…誰か…たす…け…



…いや、誰も助けては、くれない…



誰も私を、助けられない…



だって、私を助けたら、その人が父さんにコロされる



よく言ってるもん父さん



『父さんはこの辺じゃガキ大将で一番強かったんだぞ』って、



『いいか、人間のここら辺を殴ったら◯ぬから絶対に殴るな』



『父さんは半殺ゴロしの目にあわして恐怖を植え付ける、だけど◯しはしない』



『コロしたら警察に捕まっちゃうだろ』




『だから相手には、コロされそうな恐怖を植え付ける、そうしたら仕返ししようなんてバカな考えは持たなくなるからな、だから徹底して、恐怖を植え付けるんだ』




(あ、あッ…あぁ、怖いよ~

知らない人に助けてほしい

家の人じゃない人に助けてほしい…)



(あ〜、でも無理かな?

ヤダなぁヤダなぁ…家の人、ヤダなぁ)



(どこかに隠れたい、ィィぃ…)



(まだこの時間じゃ、隠れられないな…)



(ふ、布団がァァァ…)






『ほれ響子!どこで寝てんだよ!』



(…?え?私、寝ちゃってた…?)



(えっと…えっとぉ…あっ!さっき、母さんと父さんに怒鳴られたんだ…)



(そうだ、思い出した!

怖かった〜、もう、大丈夫かな?)



(そうだ、父さんに言われたんだ、お前がそんな事思ってるワケねぇ!って)



(私、よくお腹が痛くなるから、その痛さが分かるから、大丈夫?って聞いたのに、どうして父さんは、あんな言い方したんだろう…)



(どうして父さんは、あんな事言うんだろう…)



(私はその痛さが、どれ程痛いのか分かるから言っただけなのに…)



(そっか、信じてはくれないんだ…)



(どうして信じてくれないんだろう、本当にそう思ってるのに…どうして、信じてくれないんだろう…)







『よいしょっと、うん、この辺りなら、いい子に出会えそうだな、はてさて、キレイな色艶をした子は…っと💕ニヒヒだねっとぉ!?あぁっ!?あー?!』



『おっ⁉おいヤメロ!やめろって!

僕の体を勝手に掴むんじゃないよ!!』



『やめろ!』



『いや〜ぁはぁ💕キレー!かわいー💓』



『なっ!誰だ君は!!』



『あれ?人間の言葉話してる、すごーい!!こんにちは、蛙川響子です、よろしくねッ』



『えっ?あっ虹色七次です、よろしくね?』



『いつ見てもキレイよね~タマムシさんって』



『え?あ、おんうん、ありがとう…』



『きれ〜ぃ…』



(おいおい、そんなに近くでうっとりした顔しないでくれないか…)



『ゥオッホン、オンウン…』



『あら、七次くんどうしたの?風邪?』



『はい? いや、別に…』



『七次くんの身体って本当にキレイ』



『そ、そうかな?天敵避けにはもってこいだとは思うけど…』



『私の夏の、楽しみのひとつなの、タマムシさん見つけるの。見つけられると嬉しくなるの、キレイで、ずっと見ていたくなる』



『そう…?』



『この時間だけ、幸せ』



『へぇ~、そう』



『うん、さっきね嫌なことがあったの』



『そうなんだ』



『父さんと母さんに怒鳴られて…』



『そっか…そりゃ怖かったね』



『 そう!そうなの、分かってくれる?』



『んん、なんとなく、

どうして怒鳴られたの?』



『父さんがね、お腹が痛いって言うから、「大丈夫?」って言ったら「お前がそんな事思ってるワケねーだろ!!」って言われて…』



『そりゃ怖かったと思うし、何だか悲しいね』



『悲しい?』



『そう、だって心配して声を掛けたのに、それを否定されたんでしょ?』



『うん』



『そしたら、悲しいじゃない。こっちの心配した気持ちを、そんな事あるわけねぇって、そりゃないよ、人の親切心を認められないんだろうね、


悪い事は言わない、早々に親の役目を終わりにしてもらったら?』



『え?それは…私まだ5歳だし…』



『そうか、生きて行かれないんだね?』



『うん』



『人間ってゆっくり成長だもんね』



『うん…』



『僕たちは寿命が短いから、大人になって1ヶ月位でこの世とさよなら、



だから、やる事は躊躇せずにやらないとね。響子ちゃんは、父さんに疑われたままでいいの?』



『え…それは嫌だけど、私が言ったとしても、何も変わらないと思う』



『うん、だったら何も変わらないと思うよ』



『え…』



『今のままでいいの?嫌なの?』



『え…嫌よ、だけど怖いもん…』



『どうする?やる?らない?』



『え?何を?』



『父さんに言うのさ、自分の思いを告げるのさ、何もしなかったら、一生このままだよ』



『えー!?やだー!!でもこわーい!』



『変える?変えない?』



『えぇ…』



『僕は味方になってあげてもいいよ、仲間もたくさんいる、どうする?』



『でも…どうやって?』



『たぶん父さんも、すぐには変わらないと思う、だけど、何かが変わるはずって思って動けば、奇跡が起こるかもしれない。きっと、何かは変わってくると思う』



『こんなのはどうかな…?』





🌈🪲     🌈🪲

   

 🌈🪲   🌈🪲  🌈🪲


 🌈🪲    🌈🪲 


『う!うわーっ!素敵!!すぐに父さんを呼びましょ』



『…ぉいおいおいおい、何だ、な…


おぉーッ!見事だなおいッ!こりゃキレイだわー!何でタマムシがこんな大量発生してんだ?!こりゃすげーな!!』



『実は父さん、動物とか昆虫もそうなんだけど、果物や野菜も育てるのが好きでね、



このタマムシを見たら、喜ぶだろうなって思ったの』



『ありがとう、七次くん

久しぶりに父さんの笑ってる顔を、見た気がする』



『ありがとう、七次くん』






登場生き物

人間…蛙川響子、蛙川サスケ(父)、蛙川 

   ひな子(母)


タマムシ…虹色七次(にじいろななじ、男

     子)




肌に触れる空気は真夏模様、そんな時にはサザンオールスターズさんの

🎶真夏の果実を聞いて、しっとり気分を楽しんでいます🎧乙女のトキメキ



5/108話

2024.7.10(水)



本日もお読みくださいまして、ありがとうございました😊


お休みなさぁい🪩