ウ⤴ ン…
…ゥ゛ウ→ン…
蚊取り線香の香り…
ひとまず安心…
深夜のゥ゙ンウン
耳元でウンウン…🦟
…Give me… 安眠…
今年も夏がやって来た。
季節を3つ駆け抜けて、新たな夏が、私のもとへもやって来た。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240710/10/jiheishou-supinahibi/39/f2/j/o1080081315461439383.jpg?caw=800)
あの日、 …響子5歳の夏。
『あぁッ痛たたた…』
『何だろうか、何か変な物でも食ったろうか…』
『分かんね…臭くはなかったけどな、
あーいてててててて…』
『どうしたの?父さん』
『腹が痛いんだとよ』
『そうなんだ、母さん』
『どうする?薬でも飲むか?』
『どうかな?飲んだ方がいいかな?どうしたらいいかな?…痛タタタ』
『そんなに痛いんだったら飲んだ方がいいだろー』
『じゃぁ、飲むか?…』
(あぁ…痛そうだな…父さん…
凄く痛そうな顔してる、父さんがあんなに痛そうな顔してるんだから、そうとう、痛いんだろうな…大丈夫かな?)
(私はお腹がよく痛くなるから分かるよ、その痛さ、分かる…痛いよね…だんだん、吐きそうにもなってくるし…
あー痛そう…)
(そうだよね、そのまま居るだけでも痛いよね、だもの立ってもいられない…横になっても痛い、どうしたって痛い、
立てるはずが、ないよね…痛いね、父さん)
(あー痛そう…父さん…痛そう…)
『大丈夫?』
『 ぁあ゛ーッ!?
お前が!そんな事思ってるワケねーじゃねーか!! アイテテテテ…』
(イッ⁉…え?怖い…)
(え?、どうして?)
(どうしてそんなに、怒鳴るの?)
(どうして..?)
=父さんの肩に置いた手を、響子はそっと下ろした…=
(…コワ、怖いィィ…怖いィィ…)
(どうしてあんなに、目を吊り上げて、顔を赤くして怒るの?
どうしてあんなに、睨むんだろう…
怖い…)
(怖い…怖いよー怖いよー)))
(もう、傍に居たくない、傍に居たくないよ)
(痛いだろうと思って言っただけなのに、あんなに怒鳴られるんだ…)
(…
そっか…もう二度と、二度と言わないでおこう…)
(そうだよ、言った私が、いけなかったんだ…
あぁやって痛がってる時には、その人に近寄っちゃいけない…)
(もう二度と、言わない…
自分が怖い思いを、するだけだから…
もう二度と…言わない)
(そっと遠くから、見守ってるだけで良かったんだ、近寄ったら怒鳴られるだけ、近寄ったらいけない、絶対に…)
(怖いぃ…怖いぃ…怖いぃ…)
『何こんな所で突っ立ってんだよ!』
(イィッ!
イィィィッ!…怖いぃぃぃぃ…)
『ほれ!響子!こっち来いよ!』
(あ…っ、あ…あ、あああぁ…怖いぃぃぃ
怖いぃぃぃ…)
『何もたもた歩いてんだ!さっさとこっちに来いよ!また怒鳴られんぞ!』
(あ…あ…、あ…あ…あ…怖いよ〜)
(あ〜、あ〜、動けないよ~)
(あ〜、怖いよ~)
『何やってんだー、ッたく!ほれ響子!』
『あ…ぁ、ぅ…うん』
(あ、あぁ…あー
誰かー、誰かー
だ…誰か…たすけ て…誰か…たす…け…
…いや、誰も助けては、くれない…
誰も私を、助けられない…
だって、私を助けたら、その人が父さんにコロされる
よく言ってるもん父さん
『父さんはこの辺じゃガキ大将で一番強かったんだぞ』って、
『いいか、人間のここら辺を殴ったら◯ぬから絶対に殴るな』
『父さんは半殺ゴロしの目にあわして恐怖を植え付ける、だけど◯しはしない』
『コロしたら警察に捕まっちゃうだろ』
『だから相手には、コロされそうな恐怖を植え付ける、そうしたら仕返ししようなんてバカな考えは持たなくなるからな、だから徹底して、恐怖を植え付けるんだ』
(あ、あッ…あぁ、怖いよ~
知らない人に助けてほしい
家の人じゃない人に助けてほしい…)
(あ〜、でも無理かな?
ヤダなぁヤダなぁ…家の人、ヤダなぁ)
(どこかに隠れたい、ィィぃ…)
(まだこの時間じゃ、隠れられないな…)
(ふ、布団がァァァ…)
『ほれ響子!どこで寝てんだよ!』
(…?え?私、寝ちゃってた…?)
(えっと…えっとぉ…あっ!さっき、母さんと父さんに怒鳴られたんだ…)
(そうだ、思い出した!
怖かった〜、もう、大丈夫かな?)
(そうだ、父さんに言われたんだ、お前がそんな事思ってるワケねぇ!って)
(私、よくお腹が痛くなるから、その痛さが分かるから、大丈夫?って聞いたのに、どうして父さんは、あんな言い方したんだろう…)
(どうして父さんは、あんな事言うんだろう…)
(私はその痛さが、どれ程痛いのか分かるから言っただけなのに…)
(そっか、信じてはくれないんだ…)
(どうして信じてくれないんだろう、本当にそう思ってるのに…どうして、信じてくれないんだろう…)
『よいしょっと、うん、この辺りなら、いい子に出会えそうだな、はてさて、キレイな色艶をした子は…っと💕ニヒヒだねっとぉ!?あぁっ!?あー?!』
『おっ⁉おいヤメロ!やめろって!
僕の体を勝手に掴むんじゃないよ!!』
『やめろ!』
『いや〜ぁはぁ💕キレー!かわいー💓』
『なっ!誰だ君は!!』
『あれ?人間の言葉話してる、すごーい!!こんにちは、蛙川響子です、よろしくねッ』
『えっ?あっ虹色七次です、よろしくね?』
『いつ見てもキレイよね~タマムシさんって』
『え?あ、おんうん、ありがとう…』
『きれ〜ぃ…』
(おいおい、そんなに近くでうっとりした顔しないでくれないか…)
『ゥオッホン、オンウン…』
『あら、七次くんどうしたの?風邪?』
『はい? いや、別に…』
『七次くんの身体って本当にキレイ』
『そ、そうかな?天敵避けにはもってこいだとは思うけど…』
『私の夏の、楽しみのひとつなの、タマムシさん見つけるの。見つけられると嬉しくなるの、キレイで、ずっと見ていたくなる』
『そう…?』
『この時間だけ、幸せ』
『へぇ~、そう』
『うん、さっきね嫌なことがあったの』
『そうなんだ』
『父さんと母さんに怒鳴られて…』
『そっか…そりゃ怖かったね』
『 そう!そうなの、分かってくれる?』
『んん、なんとなく、
どうして怒鳴られたの?』
『父さんがね、お腹が痛いって言うから、「大丈夫?」って言ったら「お前がそんな事思ってるワケねーだろ!!」って言われて…』
『そりゃ怖かったと思うし、何だか悲しいね』
『悲しい?』
『そう、だって心配して声を掛けたのに、それを否定されたんでしょ?』
『うん』
『そしたら、悲しいじゃない。こっちの心配した気持ちを、そんな事あるわけねぇって、そりゃないよ、人の親切心を認められないんだろうね、
悪い事は言わない、早々に親の役目を終わりにしてもらったら?』
『え?それは…私まだ5歳だし…』
『そうか、生きて行かれないんだね?』
『うん』
『人間ってゆっくり成長だもんね』
『うん…』
『僕たちは寿命が短いから、大人になって1ヶ月位でこの世とさよなら、
だから、やる事は躊躇せずにやらないとね。響子ちゃんは、父さんに疑われたままでいいの?』
『え…それは嫌だけど、私が言ったとしても、何も変わらないと思う』
『うん、だったら何も変わらないと思うよ』
『え…』
『今のままでいいの?嫌なの?』
『え…嫌よ、だけど怖いもん…』
『どうする?やる?らない?』
『え?何を?』
『父さんに言うのさ、自分の思いを告げるのさ、何もしなかったら、一生このままだよ』
『えー!?やだー!!でもこわーい!』
『変える?変えない?』
『えぇ…』
『僕は味方になってあげてもいいよ、仲間もたくさんいる、どうする?』
『でも…どうやって?』
『たぶん父さんも、すぐには変わらないと思う、だけど、何かが変わるはずって思って動けば、奇跡が起こるかもしれない。きっと、何かは変わってくると思う』
『こんなのはどうかな…?』
…
…
🌈🪲 🌈🪲
🌈🪲 🌈🪲 🌈🪲
🌈🪲 🌈🪲
『う!うわーっ!素敵!!すぐに父さんを呼びましょ』
『…ぉいおいおいおい、何だ、な…
おぉーッ!見事だなおいッ!こりゃキレイだわー!何でタマムシがこんな大量発生してんだ?!こりゃすげーな!!』
『実は父さん、動物とか昆虫もそうなんだけど、果物や野菜も育てるのが好きでね、
このタマムシを見たら、喜ぶだろうなって思ったの』
『ありがとう、七次くん
久しぶりに父さんの笑ってる顔を、見た気がする』
『ありがとう、七次くん』
登場生き物
人間…蛙川響子、蛙川サスケ(父)、蛙川
ひな子(母)
タマムシ…虹色七次(にじいろななじ、男
子)
肌に触れる空気は真夏模様、そんな時にはサザンオールスターズさんの
🎶真夏の果実を聞いて、しっとり気分を楽しんでいます🎧
5/108話
2024.7.10(水)
本日もお読みくださいまして、ありがとうございました😊
お休みなさぁい🪩