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仕事場にDEEP!? その時僕とバイトリーダー東は!?

貧乏暇なしとは僕の事だ。

やりたい事をやらせてもらってる身の僕は毎日バイトをする。

生活していくだけでも、正直しんどいと思う時が時々ある。






昼間、僕は心斎橋ではちょっと有名なカフェでバイトをしている。




南国バリを連想させるナイスなカフェ。

なんだかんだでもう丸二年勤務している。

テラスには今の時期少し寒いが開放感が充満しているロケーションということもあり、水着ギャルが寒い中撮影しているなんてこともよくある話だ。














朝一、寝坊したため電話で起こされる僕は急いでカフェに行き、とある情報を耳にする。






「今日はMTVjapanの取材でテラスにDEEPが来る」















ほうほう、これはこれは。




正直、僕のリアクションはこのくらいでした。










別に嫌いというわけではないが、特別好きなアーティストと言うわけでもない。

同い年くらいの年齢、同じようなジャンル、そんな同じ人間が片や毎日バイトに明け暮れ、片やテラスで取材される身。


毎年友人から結婚式の二次会の招待状が届き、速攻で離婚する夫婦に祝儀を包み、またバイト。

年頃の僕は正直に言うと、少しうらやましかったりした。






















話は変わり、今日の出勤メンバーに「東」と言う青年がいる。

「あずま」ではなく「ひがし」。



彼はバイトのメンバーで一番古い人間なのにまだ22歳という若さで、この度めでたく大学を卒業し不動産関係の会社に就職する、将来有望な青年である。

彼は僕が歌を歌ってる事を良く知っていて、すごく応援してくれる。






「もっさん(僕の事)の歌いいっすよ!売れるっす!DEEPにも負けてないっすよ!」

そう言って僕を誉めてくれる。

「お世辞でもうれしいで!ありがとうな!」



そんな話もたまにする。








彼は音楽の話は良くするし、彼の口から出るアーティストで普段誰の曲を聴いていて、どんなジャンルが好きなのかも大体解る。


「教えてあげねば」


直感的にそう思った。


僕は体育会系でテンションがほっとんど高くて、でもまかないを食べた後は速攻で眠そうな顔をし、めちゃくちゃよく喋るくせに早口すぎて何を言うてるか時々わからなくなる東がたまらなく可愛い後輩なのである。











僕は東に「I-pod」を持ってくるようにすすめ電話を切った。

お店で自分の曲が掛かっていて悪い印象を持つアーティストはおそらくいてないと思う。

彼のI-podにはろんもちでプーディーの曲がしりぎつであることは容易に想像がつく。



これを取材中の時に店でかければ・・・













でも取材が始まり、試みようとしたときに思わぬ情報を入手。








「インタビューやからテラスは音止めるように言われてるねん。」


















がびーん。


ちょっと古いけど、僕は心のなかでそう思った。もう一度言う。





がびーん。





















仕方ない。帰り際の一瞬に賭けるしかない。



取材が終わったタイミングで曲をかけておき、店内に流れるDEEPの曲に、キラキラした目と震える手でDEEP本人たちを見つめる東の眼。


後はテラスから店内を通って出ていくであろうDEEPとその取り巻きの人間が、店内に流れる自分たちの曲に気付いてくれれば話しかけるきっかけを作れる。

その時を待つ。































本人たちが出てくる。

ただし、事務所の人間ががっちりガード。

この罠の餌となってる曲にメンバーが食いつく。

皆は嬉しそうに「どうもありがとうございました。」と言ってくれる。

メンバー全員だ。




でも距離的に話しかけれません。

従業員である僕は、ここまで来ておいて葛藤する。








他のお客様もいますよ?





その人たちがDEEPに気づいちゃいますよ?





そしたらパニックになって「なんだよこの店」的な風に思われますよ?







もうそうなったら店とか関係なく「てめーなにいらねーこと喋りかけてくれてんだよ!!」って標準語で怒鳴られますよ?








そう思うと僕は「ファンの従業員の子がいるんですけど、写真一枚撮っていただけますか?」の一言が出てこなかった。


















時間にして10秒そこそこ。無力感に苛まれ倒した。

























































その時である。

































「あのー、この子すごいファンらしいんで写真一緒に写ってもらえるお時間ありますか?」








店ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!













DEEPが何人組かさえ知らなかった店長が、足早に出て行こうとする芸能人たちの足を止めた。





















エレベーターホール前で親指を立てるメンバーと東。





























そんな写真を後から見せてもらった。

嬉しそうに笑ってる東。

そんな写真を見せ、興奮しながら身振り手振りその時の状況を説明する(半分は聞き取れないが)

どうやらブログなどに写真は載せない約束で撮ってくれることになったらしい。その時僕は注文を取っていたので後から知ることにはなってしまったが。

正直に言うと、僕はなぜか少し涙が出そうになったからその写真はあまり見れなかった。

























この時僕は、前述で記述した有名人に対しての嫉妬感の様なもやもやした気持ちがすっかり無くなっていることに気付いた。