氏にたい。自分で立てた企画とはいえ、かなり恥ずかしい。上海では普通にやってたのに、福岡でやると恥の意識が湧き出てくるのはなぜなのか。

 

 

「いや、私何もしてないし」

そういう問題じゃないんだ、迷惑なのかもしれんが、 公 平 性 の問題からとりあえず受け取ってもらわんと困るんだ。帰りにゴミ箱に捨てても構わんから。

「俺が勝手にやってることだ、気にするな」

あえて 常 態 語 で話す。

「あ、ありがとうございます」

彼女は戸惑いながらも花束を受け取り、そそくさと帰り支度を始めた。

 

作 戦 成 功 !

全てのお返しは渡し終えた。15,000円かかるお返しが3,000円で済んだ。コストカットとハイパフォーマンスの戦いならば俺は負けない。福岡のカルロス・ゴーンと呼んでくれ。 

胸を撫で下ろしてタイムカードを押す。カルロスゴーンはクールに去るぜ。

 

「ちょっとー、わたし、花束もらっちゃったんですけど!」

 

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

田舎娘が ス タ ン ・ ハ ン セ ン の如く、花束を片手に、事務所を走り回ってる!笑顔ではしゃいでいるところから見て恐らく喜んではもらえているようだが、

それを見せびらかされちゃマズイんだよ!

案の定動きが止まる同僚のみなさん。これはヤバイ。俺は聞きたくもないスモールトークを耳にしながら、そそくさとオフィスを後にした。

 

 

その後どんなやり取りが繰り広げられたかは知らない…し、知りたくもない。

が、俺は女性を甘く見ていた。

周りからやいのやいの言われた田舎娘は態度を豹変、

俺とはひとことも口を利かなくなった。

 

田舎娘からはせいぜいネコのアマガミ程度のリアクションが帰って来て終わりだろうと思っていたが、

ネコどころじゃなかった。

サーバルちゃんだった。

思いっきり噛まれた。

なみだがでてくるよ。

ていうか彼氏のいる女性なら普通彼花束くらいもらうだろ!?

先に花束あげた同僚みたいなリアクションするのが普通じゃないのか?

と一瞬思ったが、結局自業自得なんだよなあ…

 

こうして職場でけだものフレンズと認定された俺は、

日々の仕事で信頼を取り戻すべく、

今日もオフィスの隅っこで地味に仕事へ打ち込むのであった…

 

 

…と、こんな感じで日々仕事はやってるものの、

今の仕事中国と何の関係も無いんだよなあ。

中国語が死にスキルになってる現状はどげんかせんといかん。

また秋頃になったら上海でネタ集めでもしてこようとおもう。

 

とにかく何が言いたいのかというと、

俺 は 死 ん で も 失 踪 し ね え

ということだ。

そんなわけで、また来週…

「お返しですか、ありがとうございます」

「セルさんって以外とキザなところがあるのね。ありがとう」

 

 

おお、概ね好評だ。

前から不思議だったんだ。上海では花束を贈るなんて普通にやってるのに、日本ではあまり見ない。これほど 費 用 対 効 果 が高いプレゼントを、男はなぜやらないのか。

かつて上海で中国娘を巡ってイギリス人と戦ったときは、

ドレスやキャビア、挙句 セ ブ 島 への一ヶ月間のバカンスなどを惜しみなく彼女に捧げるマーティンに対し、

俺は花束と折り鶴、そしてミリンダ(知ってるかな?)で対抗したものだ。

彼女が本当に欲しいものを、欲しいタイミングであげるのがプレゼントの妙

ただ資本を投下すれば良いというものではないのだ。

ちなみにこのとき、彼女が欲しがっていたのは ミ リ ン ダ の方だ。

花束や折り鶴はただのフェイクに過ぎない。

 

15本中13本は配り終えた…

残るは2束のバラの花のみ。

 

「ありがとうございます、さっそく部屋に飾っておきますね!」

 

ベ ネ !(良し!)

 

快く受け取ってくれた。性格が良くてさっぱりしている彼女ならば、純粋にプレゼントとして受け取ってくれると信じていたぜ!彼女はそっとバラの花を仕舞った。さすが、よく分かっていらっしゃる。きっと重役まで出世するだろう。

別に彼女をプロファイリングした訳ではないが、普段の仕事ぶりを見ていれば信用に値するかどうかはだいたい分かる。想像以上に喜んでくれた。遅刻しそうになりながら真っ昼間に駆けずり回った甲斐があったというものだ。

俺の上海メソッドに誤りは無い!

 

残るはラスト1本…

あの田舎娘だ。

 

想定するに、

恐らく彼女は、「あ、ありがとうございます」と戸惑いながらも受け取り、

そのままそそくさと帰るであろう。

そうなれば成功、俺との友好度はアップし、

今後の仕事にも弾みがつくと言うもの。

 

バラの花束を持って彼女の背後から迫り来る俺はまごうことなき 変 態

早くこのイベント終わらせたい…そして一足お先にタイムカードを押したい…

勇気をもって仕事道具を片付ける彼女の前に、バラの花束を差し出す!

 

「今日は特別な日です。バレンタインデーのお返しです、受け取ってください!」

 

時間が、止まった。

 

つづく

俺はいつも思うんだが、

なぜ日本の男性は花束をプレゼントしないのか。

 

 

 

 

女性と軽くランチしても3,000円近くかかるし、

彼女をディナーに誘って贈り物した日にゃ、

不相応なデカイ車の ガ ソ リ ン 代 も含めて10,000円以上の出費を覚悟せねばならぬ。

その点、花束ならどんな高くてもせいぜい1,000円ちょっと

しかも喜び効果はとても高い

 

近所の花屋さんや道の駅、平 田 ナ ー セ リ ー などを回ること一時間、

「大特価」と書かれたバケツに入った花束を発見!

本当は全員分15本あればベストなのだが、13本しかない。

確か当日は出勤予定13人しかいなかったしヘーキヘーキ、と花束を大人買いする。

 

買った花束を 農 業 新 聞 で包み、切り口に湿らせた綿を巻いて家に持ち帰り、

明日を待つことに。

 

そして迎えた決行当日。

 

 

 

「今日は休みの予定でしたけど、予定が空いたので来ました〜」

 

1 5 人 い る !?

 

やべえよやべえよ…花束の数が足んねえよ…

なんで今日に限って全員来るんだよ…

いつも大抵人が足んねえじゃねえかよ…

事情を話して2人だけ別の日に送るか?いや、そんな「あなたが来るとは思ってませんでした」的なことをする訳には行かない。

なんとかして今日中に花束を揃えなければならない。

 

昼休み。

花屋はどこだああああああああああ!とばかりに大通りを疾走、

かろうじて見つけた花屋さんできれいなバラの花が売られているのを発見した俺は、

息を切らして2束購入した。

値段は張ったが、信用には替えられない。必要出費だ。

 

こうして無事プレゼントが揃ったのは良かったが、

普通の花が13本ある中でバラが2本混ざっているのは、どう見ても異質だ。

なんであいつのだけ豪華なんだ、なんて話になったら、

職場の中で物議を醸し出し、やはり俺の席が テ ン コ ー イ リ ュ ー ジ ョ ン の如く消え去ってしまう。

そうだこうしよう。

 

一人ひとりに手渡しで渡そう。

誰に何を渡したかわからなければ問題あるまい。

 

しかしバラはどうしよう。

一本は割と親しく話せる彼女にあげるとして、もう一本は…?

既婚のおばちゃんに渡すと色々問題になりそうだ。バラの花束は未婚かつ 恋 愛 脳 から離れていそうな同僚に渡さなければならない。

となれば選択肢はただ一つ。

あの田舎娘だ。

 

こうして当日 午後5時、作戦は決行された。

 

つづく

「バラの花束」の画像検索結果 

 

 

話はホワイトデーの前に遡る。

 

日本にはホワイトデーという、年金の離婚分割制度と並んで世界にもまれな(と言うか日本にしかない)制度があり、

チョコレートを受け取った男性は、女性へその何倍もの価値を返さねばならぬという

鉄の掟が存在する。

上海から帰って今に至るまで、彼女がいなかったり上海に居たり 無 職 だったりと

こうしたあまあまイベントは何ら関係なく過ぎて行っていたが、

今回、諸事情あってそうも行かなくなった。

まあ、上海のバレンタインデーは男性側が女性に至れり尽くせりせないかんので、

チョコレートがもらえるだけ日本のほうがマシか…

なお、本命は一切ない。

 

と考えつつ、お返しの品物を探す。

 

今回もらったチョコレート類はいずれも ド ン キ ホ ー テ で賄えるものだたが、

さりとて に わ か せ ん ぺ い など返した日には

翌日から俺の机が消え去っていること請け合いである。

せめてケーキくらいにしよう、そう考えた俺は、

車を飛ばして福岡市内のとあるスイーツ屋さんを訪れた…。

 

「15,000円です」

 

いや無理だから…

俺がもらったの全部合わせてもたぶん1,000円無いから…

ちなみに、一緒に働いてる田舎娘に至ってはバレンタイン ガ ン 無 視 だた。

彼氏以外に興味はありませんって事なんだろうか

この世界には義理という言葉があるということを知らんのだろうか

(そこが田舎娘の田舎娘たる所以なんだが)

 

危うく鯛でエビを釣るところだった

もっと安くて、より高い価値を生み出せるものがどこかにあるはずだ

コンサル時代を思い出すんだ…!

翻訳くらいしかやってなかったが

 

一つだけあった。

 

少ない投資で最大の効果を与える贈り物、それは…

花束だ。

 

 

つづく

ブランクを抜けると、そこは事務室だった。

筑後です。

 

俺が免税店で爆売りしたり、

3冊目の本を書いたり、

瀋陽娘シリーズ(非公開)をやっているうちに、

世の中もだいぶ様変わりしたようだ。

ガラケーは完全にスマホへ変わったし、

上海にはいつの間にかディズニーランドができていた。

免税店で何をやってたかについては、

「セルジオ筑後 アマゾン」でぐぐってみてくれ。

 

で、今は何をやっているかと言うと、

「何か特技はありますか?」

「はい、中国語が話せます!中国人対応なら任せて下さい!」

と言って、再び事務員へジョブチェンジしたのは良かったが、

中 国 人 一 人 も 来 ね え

すなわちただの事務員ッ!何の変哲もないおっさんッッ!!

もの書きは失敗してなんぼ、失恋してなんぼの世界

少し守りに入りすぎたのかも知れない。

 

さりとて面白い話があるかと言えば…

物書きという裏の顔を持つ事務員、と言えばかっこいいが、

それは本があほみたいに売れてて社会的にステータスがある人の話であり、

確かにしんゆんとのあれこれを書いた前作は

ダウンロード数がなぜか10,000近くになってたけど、

ぶっちゃけ収入は…

そんなわけで、今の自分は

ただの中国語がちょっと喋れる事務員に過ぎぬ。

売れない上にネタが無い、もうカタギには戻れないという、

芸術家としては最もダメなパターンにはまっています。

 

今の俺に何が書けるかわからんが、とりあえず景気づけに、

次回は最近職場で起こった「柳川娘に花束を事件」についてでも書こうかとおもう。

揚州娘といい柳川娘といい、水の都に縁があること。

それでは次回の講釈で…