父の医療事故から最終和解まで
1年かかりませんでした。
異例の速さと言えるのではないで 
しょうか。
不幸な事故の後に続いた
幸運の連鎖のおかげです。

敏腕弁護士T先生の働きにより
和解金は5000万円に増額され
病院加入の損害賠償保険の会社から
普通口座ではなく
信託口座に一括で振り込まれました。 

振り込まれた和解金の管理は
父の成年後見人である
T先生が行います。
いや、管理は家庭裁判所が行うと
言うべきかもしれません。

振り込まれた示談金は
たとえ家族でも触れることはできません。
あくまで父個人に対して支払われた
慰謝料だからです。

もし弁護士を使わないで
保険基準の3000万円で署名していたら
当方指定の普通口座に振り込まれ、
家族であれば自由に動かせる、
というある意味危険な状態に
なっていたのですが、
成年後見人制度を使った関係上、
家庭裁判所にガチガチに管理された
信託口座への振込みになりました。

このオカネを動かすには、
成年後見人であるT先生が
家庭裁判所に使用用途を申告し、
父の利益にかなうと判断されることが
必要になります。

父は4年以上ずっと眠ってます。

私は月に2度、実家に帰り、
父を見舞い、父の事故以来
独り暮らしになり、
急激に老いた母を元気付けます。

父の主治医は当時と同じ
ミスった病院長です。

T弁護士はその後、事務所を移転して
複数の弁護士を抱え業容拡大されています。
また、T先生から
「家庭裁判所には、お父様の
    信託口座から毎月お母様の口座へ
    お母様の生活費として10万円を
    自動振込するようにしてもらいました。 
    お母様の年金も多少ありますし、
    あなたも近くにいますから
    普通に暮らしていれば 
    お父様の信託口座に触れることは
    まずないでしょう。
    もはや、わざわざ高い手数料を
    いただくほどの仕事ではありません。
    私からお母様に成年後見人を
    変更するよう、家庭裁判所に
    申請してみましょう」
と、ご親切なご提案があり、
今は母が父の成年後見人になっています。

最大の恩人であるO医師は
父の件からほどなく、
勤務されていた病院を退職し、
開業医となり、
ますますご活躍されています。

O先生はまだお若いですが
いずれ鼠径ヘルニア腹腔鏡手術の
日本一の権威になられる方だと確信
しています。
業界内では既に一流の誉れ高い医師
であることは間違いありません。
辞めた病院も自分からの売り込みで
はなく、ポストを用意され乞われて
勤務されていたようです。

さて、最後の最後になりますが、
もう一つだけ 
面白いエピソードを明かします。

我が家の大恩人O先生、実は、
ミスった病院と同じ経営母体の
別の病院に勤務されていました。
あまりに大きな病院グループなので、
私、不覚にも途中まで全く気づきま
せんでした。
つまり、馬鹿げたことに私は、
ミスった医師と同じ医療グループの医師に
助けを求めていたことになります。 

今から思えば、O先生が
「あそこにはM先生という
    優秀な先生がいるんですけどね。
    M先生なら絶対にミスってません」
とおっしゃったことがあり、
やけにお詳しいな、と感じたことが
ありましたが、
それ以上気に留めませんでした。

ある段階で、 
「え?ミスった医師とO医師は
    会社で言えば同僚みたいなもの?」
と気づいて、
あわててO先生にご指摘しましたところ、
「気づきましたか。問題ないですよ。
   今の病院辞めて近く開業しますから」
と言っておられました。

そして実際にお辞めになり開業したのです。
私は開業日に真新しいクリニックを訪問し、
開業祝いとしてほんのわずかですが、
気持ちを包んでお渡ししました。

O先生の顧問弁護士であるT弁護士に、
O先生への謝礼は
どうしたらいいか相談したところ
「普通に渡したら絶対に
    受け取らない人なので、
    開業祝いということで
    お渡しするのがいいと思います」
とのアドバイスをいただいていたのです。

O先生は看護師さんや受付の女性に
「みなさん、友人から今夜の飲み代を
   いただきましたよ」
と私を紹介してくれました。
嬉しかったです。

この場を借りて
人としての良心に満ち溢れた
皆々様方に心から感謝申し上げます。 
凡ミスした医事課の女性にも
感謝しなければいけませんね。
ある意味彼女こそMVPですから。

みなさん本当にありがとうございました。

以上で当ブログはお終いです。
事実は小説より奇なり、と申します。
しつこいようですが、
当ブログに書いたことは全て事実です。


不運にも
ご自身やご家族が医療事故に遭い
病院と戦っている皆さんの
ご幸運とご武運を祈念いたします。

幸いにも医療事故とは縁がなく
このブログを単に読み物として
読んでいただいた皆様には
ただ一つのことを
覚えていただければ、と思います。
O先生がおっしゃっていた通り、

「どんな簡単な手術だとしても
   その手術を100回以上こなしている
   外科医を選択してください」

回数は普通公表されていません。
しかし回数を聞くことは
失礼でも何でもありません。
手術をされる側にはそれを知る
十分な権利があります。

父の執刀医の術数は一桁でした。

お読みいただきありがとうございました。