昨今では、湯沸かし器、電気釜から自動車、住宅まで、普通にマイコンが使われているが、アマチュア無線の世界では、マイコンが使われ始めたのは比較的の先駆け的存在なのだろう。
 
測定器、パソコン周辺機器などと共に、SCSI、セントロニクス、GP-IBなどパラレル通信からRS-232C、RS-422などのシリアル通信が増加していった。
 

 
この時代に、ケンウッド、ヤエス、アイコムなどは、RS-232Cのシリアル端子を設けて、主にパソコンとのやり取りが増えていった。
 
FTDX9000
FTDX9000
TS-990
TS-990
IC-7700
IC-7700
FT-991
FT-991
TS-590G
TS-590G
IC-7300
IC-7300
ここ数年はパソコン自体にRS-232C端子を見かけなくなって、USB万能の時代になった。これには少々遅れた帰来はあるが、リグ各社ともUSB接続が可能なようになった。
 
まあPICなどのマイコン・ディバイスに、USB通信機能が加えられたことも大きいのかもしれない。
 

 
いずれにしてもパソコンにとってUSBは大変便利で、マイクロソフトにUSB機器の仕様とドライバ(パソコンのOSと接続する機器固有の通信をするためのファームウェア)を提供しておくと、使う側はただ差し込むだけでつながってしまう。
 
但し、アマチュア無線機器は、現段階でそこまで追い付いていないのか、パソコンとつなぐためのドライバーを自分でダウンロードして、各種アマチュア用のソフトウェアに合わせて設定する必要が生まれる。
 
元々RS-232Cのシリアル通信のプロトコル(通信手順)を使っているので、ヤエスのCAT、アイコムのCI-Vなどの発展上に、各社マチマチなUSB通信が作られている。
 
RS-232C時代は、CATやCI-Vでは無線機そのものの操作やモニターが基本で、CWやRTTYのキーイング(ON/OFF信号)、PHONE、SSTV、PSKなどの音声信号などのデータソースは、シリアル端子とは別にデータ端子(アクセサリ端子)が設けられていた。
 

 
USBでは、この「操作のための通信」と「データソースのための通信」が一体化したことで、一層複雑に見えるようになった。
 
USB接続をした方ならご存じの、パソコンのディバイスマネージャーの「ポート(COMとLPT)」部分です。これはヤエスの「仮想COMポートドライバー」をパソコンにインストールした後で、FT-991をUSB接続した結果です。
 
USB入力
 
注目すべきは普通のUSB機器では一行だけが多いのに、「Silicon Labs Dual CP210x・・・」2行になっている。
 
良く見ると「Standard COM Port(COM3)」「Enhanced COM Poat(COM4)」とある。
 
そのまま訳せば、「標準通信ポ-ト」と「高機能通信ポート」となる。アイコムの場合も、同じもの様だった。
 
ここでStandard COM Portは、前述の「データ端子」にあたり、Enhanced COM Portは「シリアル端子」にあたる。
 
言い換えれば、PTT(送受信)切替、CWとRTTYキーイング信号などはStandard COM Portで、周波数を読み取ったりするのは、Enhanced COM Portと言うことになる。
 
今さら申し上げるまでもないだろうが、COM番号はPCに差して使い始めた順番で決まるので、それぞれ異なる。一度使えば固有の番号として残るので、その後抜き差ししても基本的には変わらない。
 
更に、先ほどのディバイスマネージャーの中にある「オーディオの入力および出力」を見ると、主にアナログの音を取り扱うRealtecのシステム以外に、USB Audio CODECが入力と出力が別々ある。
 
USB出力
 
USBでは、PCへの入力はマイク(USB Audio CODEC、PCからの出力にはスピーカー(USB Audio CODECを直接接続できる。
 

 
例えばTurboHamlogのように、周波数を読み取る場合はEnhanced COM Portのポート番号を選び、Ctestwinなどのキーイング出力だけつなぐ場合はStandard COM Portのポート番号だけ使えば良いことになる。
 
DSCWを使う場合は、受信信号を、マイク(USB Audio CODECでPCに音声入力し、キーイング出力をStandard COM Portのポート番号を選べば、音声ケーブルも必要なくなる。
 
もはやデジタル・インターフェースは、「要らなくなった」感が強い上、実際に口にする人もいるが、次回はその点を考えてみます。
 
 
 
 
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