回路を考えるときは、ブロック図を書いてから、各回路の整合性などをマジメに考えずに、取りあえずエイヤ!で回路を起こすようにしています。

前々回のこんなキーヤーを作りたいで大まかな構想(ブロック図)はまとまったが、具体的な回路を書き出してみた。設計といっても、ほぼ定番的な回路ばかりで、特に悩むこともないです。

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まずPIC周辺では、入力回路のインピーダンスを極力下げることで、リモートボックスからの電路で誘導を最小限にしたい。
メモリーコールやパドル入力などデジタル入力は、信号部分だけでも切り離したかったので、能はないがフォトカプラ―を延々と並べた。
インピーダンスを変えるのが難しいアナログ入力は、LCフィルターで雑音の混入を防いでいる。
LCの順番を逆にしたのは、素人の浅知恵かもしれないが、駄目だったら普通のフィルター回路に戻します。

手動電鍵、PCからの自動送出CW信号など、様々なキーングをミックスする回路は、ゲート回路で組む方法もあるが、今回は余分な贅肉でインターフェアなどのトラブルを招かないために、主にディスクリート部品で構成した。

一方、送信機へのキーイング出力は、デジタル・インターフェース同様にアイソレーションのためにフォトカプラ―を使った。

サイドトーンの発振は、オペアンプを使ったウィーンブリッジで、CWサイドトーン用(600Hz前後)とテストトーン用(1KHz前後)の2つの周波数を、抵抗値を切換えて発振させる。オペアンプは汎用のLM538などを念頭に入れてた。
ウィーン・ブリッジ回路では、オペアンプのゲインコントロールの方法が色々あり、こだわる人も多いようだ。今回はシンプルに帰還抵抗の一部にFETを使い、ゲートに出力を半波整流、平滑化して加えて振幅調整を行うことにした。

何と言っても重要なのが、発振周波数を決定するブリッジ部分で、ここに使う抵抗値と容量は、部品レベルでバラつきのないモノを選別する必要があるだろう。
周波数を切換えるのに、当初はアナログスイッチを考えたが、回路が複雑になるここと、スイッチング・ディバイスのバラつきを考えて、手堅くリレーを使うことにした。
リレーの接点は経年変化が心配だが、ハーメチックリレーなどの信号系リレーを使えば、そう問題になることもないだろう。

次にキーングに併せて入り切を繰り返すアナログスイッチだが、オペアンプに±15V電源を使うので、扱いやすい接合型FETを使うことにした。
FETによるスイッチングは、ダイナミックレンジとクロストークを考えるとゲートの電圧が重要だが、発振出力電圧を5Vp-pと考えると、ゲート電圧は±5V以上の変化が必要になる。

アナログ・スイッチで有名処の4066を使うことも考えたが、ここもディスクリートにこだわった訳です。

2回路パケージのオペアンプを使う予定なので、アナログスイッチのロスをカバーするのと、充分な電流を得るためにバッファを設けた。

バッファ出力を分岐して、音声用ミキサー、コンプリミッタ経由で送信機の変調入力にするか、直接送信機の音声入力につなぐ。

分岐の一方は、受信機からの音声信号とミックスしてパソコンのオーディオ端子に送る。これもデジタル・インターフェース同様に、それぞれの音声入出力はトランスでアイソレーションしている。

この程度なら単電源でも作れそうだが、折角±15Vと+5Vを出力するスイッチング電源があるので、これを使うことにした。

操作面では、「Mode Set」ジャックに外部からの接点入力による制御が出来るようにした。また「Mode Select」スイッチで手元で「Test」か「CW」を選べるようにした。
モードを「CW」にしておくと、アナログスイッチでCWをON/OFFする訳だが、外部からの接点がONになると、TEST Modeになるようにした。

「TX Enabled」スイッチをONにするとエレキー、または外部のキーイングが出力され、OFFにするとサイドトーンだけで、送信機には信号が出力されないようにした。「Key PC」にパソコンからのCW信号を入れて、送信しない状態でサイドトーンだけで、キーイングを確認できる。

オペアンプからの「OSC. Level」は最初だけだから半固定として、複数の選択を考えて、受信機からの信号を「RX Level」のボリュームで調整できるようにする。

エレキーのキーイング調整ボリュームは、INTで本体のボリュームを使い、EXTでリモコンボックスに付いたボリュームを使うようにする。
これは一見無駄にも思えるが、リモコンをつながない本体だけでの運用、またはリモコンを使う時でも2つのスピードを瞬時に切換えて使う時に便利だと考えました。

これで今回作ろうとしているエレキーヤーのイメージがだいぶまとまってきました。

実際には回路間のマッチングが大事なので、次回は厄介な回路定数部分を「LTspice」を使ってシミュレーションを試したいと思います。