前回まで、アマチュア無線の現状がニューカマーの参加を難しくしていることを話した。それが総務省、アマチュア無線業界、JARLの互恵関係?の既得権益にしがみついていることではないか・・・と申し上げた。
 
そこでトリオ(現、JVCケンウッド)を除いて、多くのアマチュア無線関連メーカー、販売店は、アマチュア無線家自身が始めたことを思い出して頂きたい。
たまたま当局が生まれた大田区は、トリオやヤエスの本社や工場があったので、メディア経由以外の情報も入ってきました。
 
また当局が所属していた地域クラブ「ファイトマンクラブ」の会長を務めていたのが、JA1FMK磯川さん(2011年逝去)で、エレキーの商標を持つカツミ電機を起した方です。カツミ電機を設立後、ファイトマンクラブの会長をバトンタッチしましたが、毎月のミーティングには、ほぼ欠かさず出席していました。
 
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磯川さんは会社を始める遥か前から、近隣の少年たちを集めてフォックスハンティングをやったり、電話級の講習会を開いたり、我々にもCWの講習会を何度も開いて頂いて、アマチュア無線の面白さを伝えることに尽力していました。
 
EK-9Mというエレキーのキットを売り出すときに、磯川さんは、「みんなが買える値段にすると赤字だが、CWが普及すればいい」・・・と言っていました。確かキットの定価3,000円、完成品は定価3,800円でした。
それでも高校生の当局には高嶺の花でしたから自作しようとすると、磯川さんが細かくアドバイスをして下さいました。
 
これはカツミ電機だけに限ったことではありません。
ハムが始めた会社は、ほぼ例外なく似たような対応で、メーカーはアマチュア無線のサポートに徹していたのです。
 
ところが中にはメーカーに無心する心得違いのハムも表われ、このバランスが次第に変化していった。日本アマチュア無線工業会(JAIA)が生まれ、ハムとメーカーの距離が大きく開いてしまいました。それでも、各メーカーの技術部門とは、わりと自由な交流が可能だった。
 
その内、アメリカでやヨーロッパでのシェアが拡大するにつれグローバル化?の意識が高まり、アマチュア無線で築いたブランドを業務無線や簡易無線に拡大して、まさに世界市場に広がっていった。
 
ハムが原点のはずの各メーカーは、アマチュア無線機器は不採算性部門として縮小していった。しかし世界の一流メーカーがシノギを削る業務無線部門が、円高の影響でで急激に業績悪化していった。
 
夢を再びと、団塊の世代がリタイヤ組のフトコロを当て込んで、「フラグシップ機」などと称して、高額機器の販売に躍起になっているのが現状でしょう。もちろん実売では、ワンランク下をメイン・ターゲットにしているのでしょうが、数十万円のリグには違いありません。
 
総務省は技適マークで無線機の画一化を推し進め、メーカーは採算性確保でこれに乗っかり、思考回路が停止状態のJARLも右へ倣え!・・・ハムの存在など、立ち入るスキもない。
こんな状況で、アマチュア無線が「理科離れ」の特効薬になることは、絶望的にも思えます。
 
JARLは1日も早く、アマチュア無線の原点に立ち返って、「無線技術の興味によって行なう自己訓練、通信及び技術的研究」・・・がしやす環境を整備すべきだろう。
 
大人の押し付けでは、新しい芽は生まれ育たない。想像力と好奇心をエネルギーにして、青少年が自ら道を選んで開かなければ、「理科離れ」は止まらない・・・と思います。
 
アマチュア無線が「キング・オブ・ホビー」と言われる由縁は、艱難辛苦を乗り越えてこそ手に入れることができるライセンス。更にライセンスを手にしてから、DX、アワード、コンテスト、交信局数、音質追求、種々の通信方式、機器やアンテナの自作、ソフトウェア開発・・・各々の目標を目指すには、更なる研鑽が必要になるだろう。これを支えてくれる原動力こそ、誰にも束縛されない好奇心と想像力ですよね。
 
長い間、ハムライフを楽しんでいるOMさんは、確実にこの道を歩んできたことでしょう。
 
アマチュア無線業界は高いモノを売って帳尻合わせをするのではなく、原点を思い起こしてハムの向上心サポートに目を向け、誠意ある販売店は断腸の思いで違法局を締め出す決意をして、JARLは善良なハムの代弁者に立ち戻って頂きたい。
 
アマチュア無線を、「過去の趣味」にしないためにも、「科学へのイントロダクションの役割」を取り戻すためにも、何よりOM諸氏のサポートが一番だと思います。
 
当局の参加している蒲KURA会では、世界のDX’erと交流のあるOMさん、DXCCオーナーロールのOMさん、UHFでAJDを達成したOMさん、アワードハンターのOMさん、デジタル通信を極めるOMさん、日夜自作機の製作に汗を流すOMさん、真空管を愛するOMさん、電鍵製作など機械加工を楽しむOMさん・・・様々な分野のエキスパートが、懇切丁寧に相談に乗ってくれます。
一部のOMさんは、昔のハムの交流のように,、当局が気軽にシャックを訪問して伺った四方山話が、となりの芝生探訪記 にあります。