先日、変更申請の免許が届いたので、ローカルのSSTVを楽しんでるOMさん、JA4IIB/1秋信さんにお願いして、MSSTV送受信のテストを430MHzFMで行いました。
 
当局がFT-736とノートPCで受信のスタンバイが出来たので、秋信さんからSSTVの画像を送信していただきました。・・・ところが、Sメータは振り切っていて、微かなクリック音のようなノイズが聞こえるが、MSSTVには受信画像が出てきません。
 
これは、リグのセッティングが悪いのでは・・・とRFゲインを絞ったり、AGCを切換えたりしたが、まったく変わらない。ヒョッとするとFMではなく、SSBで送っているのか?と切換えて見ると、SSTVの信号のようには聞こえますが、復調はできません。
 
その内、画像は終わってしまい、秋信さんに伺うとFMモードで出しているとのことで、他に一緒に受信していたOMさんたちは受信できている・・とのこと。そこで、もう一度送って頂くことにしました。
 
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<JA4IIB/1のナローでの受信><7N4PGBの途中からワイドで受信><JA4IIB/1のワイドでの受信> 
 
やはりSSTVにアクティブなOMさんで、7N4PGB田中さんの画像送信が始まって数秒後に、当局が誤ってリグのモードスイッチを「FM-NARROW」から「FM-WIDE」に切り替えた途端に、独特の「ピロピロ」が聞こえて、MSSTVで見事な画像が復調されたのです。
 
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<JA4IIB/1 ご旅行の写真>   <JA1UTB ゴッホのハネ橋>    <JF1BEP 公園の木々> 
 
その後、同じ周波数に集まってくださった、OMさんから次々と画像を送って頂きました。プロヴァンスにあるゴッホで有名なハネ橋は、中西さんの撮り立てホヤホヤ・・とか。JF1BEPさんの画像はセントラル・パークにも見えますが・・・皆さん、ビューティフル!
 
話を戻して、普段のFMはナローバンド(6KHz/-6dB)に設定していますが、ワイドバンド(12KHz/-6dB)でないと、SSTV信号の復調ができませんでした。
 
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<ナローバンドの場合=一部がスライスされる>    <ワイドバンドの場合=全体が通過する>  
 
これは、マイク入力の場合は、IDC回路で音声レベルが制限されるのに対して、パケット信号やデータ信号などの直接変調をかける信号端子は振幅制限がないためか、変調信号レベルによっては周波数偏移幅(デビエーション)が拡大するためではないだろうか?・・・と思った。
ワイドバンドで受信すると、見事な画像が受信できました。つまりナローだと、受信機の通過帯域外に信号がはみ出してしまうために、SSTV信号の一部の情報がスライスされてしまうようだ。
 
現在のFM機の多くは、受信帯域がナローバンドになっていて、ワイドバンドに切り替えられない機種が多い。従って、デビエーションを拡大し過ぎないように、変調信号レベルを下げてレベル調整する必要があるでしょう。
 
この点について、JA1UTB中西OMは、「IC-9100はDSPでIF段のキレが良いために同じ現象が起こった」ようで、「オーバー・デビエーションが原因だと」言っておられました。
中西OMは「SSBなどの場合は、ALCで過変調=オーバーモジュレーションを監視できるが、FMでは過変調=オーバー・デビエーションの監視方法が困難なので、FMにおけるSSTV通信は案外難しい」と言っておられた。
 
ナローバンド受信が可能なハンディー機などで、自局のSSTV信号を受信して、まともに「ピロピロ」が聞こえるようにに変調レベルを絞る程度の対策しかできませんか?
 
何方か、SDRラジオなど使って、オーバーデビエーションを検出、またはデビエーションを監視する回路を考えては?
 

その後、JA1UTB中西OMから、デジタル通信に付いて貴重なアドバイスを頂きましたので追記します。
  • FMでは、マイク入力などIDC回路を通過する回路は使わない方が良い。
  • FMでコンプレッサーを使うとオーバーデビエーションになる。
  • PSK31などの他のデータ通信でも、信号のピークを考えると平均レベルを1/3程度に設定しないと、直線性が失われて、サイドバンドが広がってしまう。
中西OM、有難うございました。