ブックレビュー 第7回目は
「選ぶ力 五木寛之 文春新書 800円+税」
現代は毎日たくさんの選択に迫られていると著者は語り始める。なるほどでコンビニ、書店、病院、道順、食事など選択の場面ばかりだ。
著者は、人生に大きな影響を与える事柄(学問、就職、結婚)の選択は覚悟を持って行い、受け止める心持ちが必要だと言う。
そして、心を落ち着かせて受け止める度量を備えるには東洋思想、すなわち仏教の精神がヒントになるのではないかと投げ掛けている。
長年、親鸞や法然を研究してきた著者ならではの見解だが、そこには難しい念仏やら説法の堅苦しい解釈論は引用されていない。
息苦しい現代でいきいきと生きる秘訣は著者の言う、ポジティブな東洋思想であり。物やお金やサービスを求める西洋的欲望ではないと改めて感じた。
ただ、人生修行の足りない私は日がたつとそのことを忘れてしまいそうである。