35期生を送り出して、一旦家に帰りひと寝入り。気がつくと日が暮れている。PM7時から三国ヶ丘駅近くの「はや」で卒団生家族主催の謝恩会に出席。この集まりで35期生達との共同生活は本当のお別れになる。最後の団らんは在部時代の話で花が咲いたが、この子達とパパママ達とは明後日の夜間練習から会えなくなると思えばいろんな会話も上の空。
プリンターの調子がおかしくて最後の数ページを印刷できていないし、この最終章を書いて手渡さないと『小さな戦士達との1年間の物語』は完結しないのにどうしようと変に困っている。別に監督の日記だからどっちでもいいことなんだけど、このままでは納まりがつかない。
さて、この35期小さな戦士達の1年間の物語は38話が最終章。最後の話は思い出話と卒団式の様子が中心になるだろう。彼らとの活動の中で一番印象に残っているのは4年生時代の12月初旬、近畿交流戦の昼休み中に朋哉、泰成、幸輝、舜平、光の5人(この時に優太がいたのか覚えていない)に容赦ないノックを浴びせたこと。
33期生が6年生で終盤の大活躍をし始める頃で、34期生が近畿交流戦で野洲キッドさんと対戦し勝者同士の一騎打ちで五個荘さんと対戦する前のことだった。先輩達がJFここにありと意地を見せているのに、このままでは後に続けないという焦りが指揮官にあったのは確か。鉄は熱いうちに打てという諺があるが、35期生を何とかせねばという思いが地獄のようなノックを延々と続けたことが懐かしい。
懐かしいのは監督だけで、この時強烈なノックを受けた彼等は今どう思っているのだろう。もう1つは34期生について行って助任ホークスさんと修行戦を行い、完膚無きまで叩きのめされた末の乱闘劇?!は忘れられない出来事だった。淡コーチが不甲斐ない教え子達を叱咤激励していたのを我慢できなくなって5年生全員を相手に回し押し倒し、押し倒され、挙句の果てに優太ママが過呼吸になり緊急搬送されたのは今となってはいい思い出。
これが1つになれるきっかけとなったと思っている。嬉しかったのは全国への道の第1関門となった堺春季大会準々決勝のNS戦。1対1でレギュラーイニングが終わり無死満塁でのサドンデス勝負となった。打席には泰成が入る。事前の打ち合わせ通り泰成が転がし匠が還る。幸輝にはサインプレー。幸輝も転がし舜平が躊躇なく還る。これで2点目。練習して来たことが大事な1戦で生きたのだ。文亮が1球目を空振りする。2死なのに朋哉が飛び出す。この辺が朋哉なる所以。
しかしこれが相手のミスを誘い3塁へ投げる。大きく上に逸れてラッキーな3点目がJFに入る。朋哉-文亮-朋哉のリレーでこのまま8回の裏に入る。案の定朋哉が四球を与えまた文亮にスイッチする。前進守備に切り替える。文亮がピッチャーゴロに打ち取り1-2-3で2死2、3塁と状況が変わる。みんなが固唾を飲んで見守る中、BBSFと続いた5球目。真っ芯に捉えた打球が文亮目掛けて飛んで行く。反射的に出したグラブにその打球が吸い込まれる。
一瞬時間も音が止まった後、大歓声が巻き上がる。終わった。勝った。先に大人同士で抱き合い最後に子供達とハイタッチで勝利を祝った。やはりこの試合が一番印象に残っている。朋哉が序盤の試合を作ってくれた。文亮が中盤から終盤を頑張ってくれた。古参兵4人が試合を決めてくれた。一番最後の仲間がウイニングボールをゲットしてくれたのが嬉しかった。
こうして戦いながら手ごたえを感じ始めさせてくれたが、全国への道はそんなに甘くなかった。やはり投手陣の柱が必要だった。育たなかった。中盤の優太と後半の舜平がこの時にいてくれたらと「たられば」が口をついて出て来る。この子達ともう少し一緒にやりたかった。あともう1人、2人競争相手がいたらと無い物ねだりが出て来る。
卒団式では楽しそうな35期生がいた。仲間と過ごした数年があの笑顔にしているのだろう。そんな笑顔も最後のお別れシートノックではみんな涙顔に変わっていた。一番最初に帰って来た壮一郎はバックホームをした時には泣いていた。それを見ていた慶太郎も最初から泣いている。幸輝も顔が引きつっている。泰成は無理した笑顔で帰って来る。文亮はシャイだがホームベースに帰って来た時には辛抱できなくなった様子。優太は1週間前から泣いている。光は鉄火面の顔で泣いている。舜平は泣き顔を見せないで頑張っている。朋哉もいつ頃か泣いていた。匠もとうとう泣きだした。
背番号返還は嫌な儀式だ。授与する時には何もかもまっさらだが、返してもらう時はいろんなものが染みついている。これでみんな揃ってこのユニホームを着ることはないだろう。そういう意味も含まれているのだ。だけど避けられない。あ~、終わったとこの瞬間思う。一緒に夢を見、一緒に頑張った日は過去のものとなり一緒に過ごすこともなくなってしまった。1年前は一緒に未来を向いて一緒に夢を見たのに。
これからは次のステージで別々に夢を見、頑張って欲しい。西陶器JFはおまえ達の原点。野球の原点。JFで学んだ基礎技術を忘れずに、応用技術という引き出しを沢山作って、おまえ達が成長した姿を見せに帰って来てくれ。それを後輩達に見せてあげてくれ。パワーがついたらこれだけ出来るぞという姿を見せてあげてくれ、35期小さな戦士達。元気でな。もうこれでおまえ達を教えてあげることは叶わないけれど頑張るんやぞ。
完
