4月は試練の戦いが続く。以前から指摘していたXdayは案外早く訪れ、1日(日)のNS戦(準々決勝)が不揃いなリンゴ達の今後の浮沈をかけた戦いとなったが、何とかクリアして大阪府春季大会へと駒を進めることができた。翌週の7日(土)はスポーツ少年団の堺、泉北地区の代表を決める戦いが始まり、初戦でいきなり試練の試合が訪れた。
何故?試練なのかと言えば、昨年暮れに行ったBリーグで大敗を喫したチームが初戦の対戦相手ということもあるが、夜間練習に参加している仲間を打ち崩さないと3回戦に進めないという、初戦から厳しい戦いが待っていたからである。
前週、宿敵を倒した小さな戦士達は、今週その勢いを持って試練の試合を迎えていた、筈である。でも、友好チームとの試合は決戦というムードにはなりにくい。お互い試合前はほどほどに挨拶を交わし、勝負に徹っしようと変なピリピリ感が漂っていた。
ジャンケンはまた負け。先攻で試合が始まった。新金東Vさんのエース・ゆうたは初回から全開のナイスピッチングを繰り広げる。2回朋弥に与えた死球が唯一の出塁で6回表が終わる迄誰ひとり出塁できない、つまりノーヒットノーランを演じている。
一方、先発舜平は初回のみ3者凡退に打ち取ったが、コントロールが悪く拙攻に助けられている感じ。4回裏連打され先制されるとここが代え時と文亮にスイッチし守り抜く。5、6回を3人で打ち取り守りからリズムを作って行く。しかし最終回までノーヒットが続く。
あっという間に7回表の攻撃に入って行く。先頭打者は光。1球目を積極的に打って行くがピッチャーゴロで早くも1アウト。やばいなぁと匠を送り出す。今日は慶太郎と匠を入れ替え、匠をチャンスメーカーに、慶太郎をポイントゲッターにと願いを込めている。
匠は2球目を引っ張り、弱いゴロがサード前に転がる。いつもなら鋭い当たりに「よし」と身を乗り出すが、今回はこれまで寄ってたかって全員がノーヒット。打ち取られているが匠の足なら「いける」と立ち上がる。全力で走って頭から1塁ベースに飛びつく。砂煙が立つ。コールは「セーフ」。
この全力プレーにベンチは活気づく。試合に勝ちたいからみんな乗り出す。誰もノーヒットノーランを阻止したからと喜んでいない。この回しか攻撃チャンスはない。一気に同点、逆転を狙う。1死1塁で4番慶太郎。2人とも長打力があるし、足が速い。1球目は様子見にして2球目に勝負を掛ける。
ストライクなら慶太郎は打つ。ボールなら見逃す。匠はエンドランで走る。1死2塁で同点機を向かえるか、1死2、3塁で逆転機を生みだす。筈であったが、何と死球。これで1死1、2塁とし舜平に回す。舜平は案外、緊張を顔に出さないで笑顔でこちらを見ながら打席に入る。ここは押せ押せだ。
1球目から行けと舜平に託す。やや外のストライク球を振り抜くと三遊間に打球が飛んで行く。内野の間を抜けレフトが打球を処理する。しかし前につめていたので還れない。1死満塁とチャンスは拡がった。チャンスは拡がったが、まだ1点も入っていない。0:1のままだ。ノーヒットではなくなったが追い付いていない。
この試合、最大のチャンスに朋弥に打席が回って来た。ここはセットプレーあるのみ。サッカーではフリーキックやコーナーキックでよく使われるフレーズだが、JFではキッカーが打者でアシスト役。ゴール目指して走り込む選手が主役。今回は朋弥が助演で主演は匠と慶太郎。
朋弥は匠がスタートを切るのと同時に転がし、自分は1塁へ走る。朋弥の背中の方でバックホームを諦めたゆうた君の姿は見えていなかっただろうが同点を確信してようだ。1塁ベースを蹴る寸前でゆうた君の送球が朋弥に当たる。当然朋弥はセーフとなりチャンスが続く。
その間、2塁走者の慶太郎が3塁を蹴ってホームを狙う。この1塁送球が明暗を分けた。慶太郎が逆転のランナーとなって還って来た。1回から6回が終わって、つけ入る隙がなかったゆうた君からついに最終回追いつき追い越した。1死1、2塁でアシスト役に徹して来た泰成と幸輝に打席が回って来たが、最後の力を振り絞って投げ込むゆうた君に両者ともピッチャーゴロに打ち取られて2:1で最終回裏に入って行った。
6番君から始まる最後の攻撃はセンター前ヒットを許すが、文亮は後続を1人づつ打ち取りドラマは終わった。好投手からそう簡単に打てないが、誰かがチャンスメークすればセットプレーで点が取れる。先発投手が踏ん張れなくても、誰かが引き継ぎ守り抜けば最少失点で切り抜けられる。
ヒーローは1人じゃない。全力疾走でチャンスを作った匠と、繋いだ慶太郎と、チャンスを拡げた舜平と、そのチャンスに練習通りの打撃が出来た朋弥。誰でもが朋弥のようにタイムリーヒットでなくともチャンスを活かすプレーが出来る小さな戦士達全員がヒーローなのだ。
舜平はこの日、自分のピッチングが出来なかったが、翌日のリリーフではいとも簡単に自分をコントロールして投げ込む球をもコントロールしていた。走攻守、表のヒーローがいれば必ず影のヒーローがいる。監督が影のヒーローが大好きなことを知っている小さな戦士達は絆を肌で感じ始めているのかも知れない。(匠の故障を埋めてくれるのは光だよな~みんな!)


