タツジの親から夕食を食べていくように勧められたが、とてもそんな気分にはなれなかった。

タツジに綺麗事をいった自分に対し嫌悪感を抱いていたからだ。

ずいぶん立派なことを口にしたものだと、我ながら恥ずかしくなった。

自宅に向かいながら、自分に質問を投げかけた。

タツジには偉そうなことを言ったが、

教師である自分は、どうんなだ?

クラスの生徒たちに「愛情」を提供しているのか?

いつも目の前の生徒たちに警戒心を抱いていないか?

自分こそ生徒を信頼せず、疑いの目で見てはいないか?

カミソリの刃が届いたのは、自分が鋭利な言葉や態度を投げかけているからではないか?

なぜ、こんないい加減な自分が、あんな偉そうなことを言えたのだろう?

心がどんよりと曇った状態のまま床に入った。

眠れぬまま朝を迎えた。

教室に行くと、タツジがいた。

周りをみんなが取り囲んでなにやら話をしていた。

私が、教壇の前に立つと、普段ざわついている生徒たちが、一斉に静かになり私の方に体を向けた。

一瞬ひるんだ。

このクラスの担任になって初めての雰囲気だ。

そして、委員長のヨウコが席を立った。

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