ドアを開け外へ出る。彼の職場はゆっくり歩いても20分ちょっとで着く距離だ。立春を過ぎた2月の朝は、今日もまだ氷点下だろう。
朝早いこの時間はまだ通勤の人の数もまばらだ。
彼の通勤するルートはいくつもある。その日の気分や信号機の変わりかたでルートも変わる。底冷えする中、両手をポケットに突っ込み街並みを眺めながらゆっくりと歩く。意外と毎日歩いている道でも発見することは多い。新しい喫茶店が出来ていたり、見上げると今まで気付かなかった建物の見えかたもある。
彼は通勤の途中で必ず缶コーヒーを買う。通勤前にも自宅でコーヒーは飲んで来るのだが、なぜだか缶コーヒーが良い。前夜の酒とこの時期の乾燥した空気で喉が潤いも求める。その日のルートで、しかも会社までの良いタイミングの自販機でコーヒーを買うのだ。寒い今時期はコンビニのコーヒーより自販機の缶コーヒーの方が温かく、温もりを与える。プルタブを開け、少し熱いめのコーヒーを口に運ぶ。途中のコンビニの前で彼は煙草に火をつける。明け初めて明るくなりきれていない空を見上げて、彼は煙草もの煙を吐いた。
そして、彼は大通りに出る。そこを渡れば会社はやすぐそこだ。
最終の到着地点に向けて、この場所は基本的に通る。ルートを変えても、この場所にたどり着く。そして、いつものように一旦空を見上げ、大通りの先を見てから彼は会社へと足を進める。
