「わ…分かった。言う…言うから。あ…あの日は確かにあの場に居た…」


「やっぱり居たんだ。最初から言ったらいいのに。で…他には誰がいたの?」


「他には………」
その言葉の後に男は口を噤んで黙ってしまった。


僕は笑顔のまま問い掛けた。
「他には誰が?」


「他には…他に…他…うぅ…」
男は同じ言葉を繰り返し、次第に声が小さくなる。そのまま膝に顔を乗せてうずくまってしまった。


僕は男を見て、軽くため息をついた。まるで小学生の駄々っ子の様な反応だ。話にならない。


この男の名前?知りたいって?
いらないでしょ。会話も出来ない様な男に名前は。


僕はうずくまった男の首筋に、ナイフをしっかりあてて、力強く引き裂いた。


パックリした首筋から小さく血の噴水が出た。



「あぁああああ...アあ……あ……ああア…!」

あーあエイプのシャツに返り血がついちゃった…。ああ汚いなぁ…



男は絶叫を上げパッタリとその場に倒れ込んだ。同時に一斉に悲鳴が響く。
 
泣く…
喚めく…
叫ぶ……
阿鼻叫喚の合唱。
 
 
指揮者は僕です。楽器が勝手に演奏されては僕は困ると思いました。 
 

うるさい。
ウルサイ。
五月蠅い…。
うるさい……。
ウルサイ………
五月蠅い………!!!
 

「うるせぇええ!」


僕は声を荒げました。でも顔は笑顔を崩しません。
僕はみんなが体育座りで輪になっている外側を、イス取りゲームの様にゆっくり歩く。そして目的の男の前で立ち止まった。


「坂下君」


坂下も先程の男と同じ様な反応だ。
「何…頼むよ…殺さないでくれよ」


「じゃあ僕の言いたい事は分かるよね」


「言う…言うから…三崎と川田と百合…それから織田と麻理と井口。俺は言ったんだから見逃してくれ…」


「そっかありがとう」

僕は相変わらず笑顔で答えた。坂下はホッとしたのか胸をなで下ろした。


「でも死んでね」



坂下の表情が氷の様に引きつった。その瞳は大きく見開かれていた。
 

ナイフは坂下の心臓を目掛けて刃渡りの半分ほどが、グサリと体に突き刺さる。


生暖かい感触が、金属の冷たいナイフから伝わる。
しかしその体はすぐに冷たくなるだろう。


ただの肉塊として
皆は嫌いなものって必ずあると思うんだ。


コーラだったり。
ワイロだったり。
セカイだったり。
バイトだったり。
イチゴだったり。
イクラとかあるよね。


ボクの嫌いなモノは………



僕達は、学校で高校の同級生と約1年ぶりに同窓会をしています。
 

学校で、同窓会をする事が出来たのは、前の担任が校長に頼んでくれたから特別にできたのです。 
 
 
寿司を取ったり、フライドチキンを出前で頼んだだり皆で仲良く食べました。


かつての学び舎で昔に戻った様に、仲良くおしゃべりをしました。
皆は、仲良く輪になって体育座りで座っています。


楽しいですね。
幹事はボクだったから楽しんでもらえると嬉しいです。


今回、同窓会を学校でしてくれた先生には感謝してます。
 
だから 
 
そんな怯えた目で 
 
見ないでほしい。



…目…目…目… 
 
この場所にいる26人の目。 
 
26×2=52個の目線。
それらはほとんど恐怖で下に向けられているか、僕を怯えた目で洞察しているかの目線だ。 
 
 
僕はフライドチキンを一口食べて、コーラを一口喉に流し込んだ。
ああ…美味しい。



皆も、もう少しで家に帰れるからね。だから少しは我慢してほしい。 
うつむいて絶望的な顔をした男に上から問い掛ける。
 
 
「で…他は誰なの?」



か細く震える声で男は喋った。 
 
「知らない…!本ッ当に知らない!」


首を激しく振って、目の前の現実を否定するかの様に男は言った。


ナイフを男の頬にあてる 
 
スライドした頬から 
 
うっすら血が滲んだ。


「ひっ…ヤ…ヤメ」
 
男はひ弱で間抜けな声を出した。


「質問の意味が理解出来ないのかな?あの日ね、見たんだよ君達を」
 

男が萎縮してる様なので、なるったけ笑顔で僕は言った。



モバで小説書いてます。よければ見てください。
ムラサメ
タイトル・エゴイスト


元探偵の男は復讐の為に殺人鬼となった。
それを止める為に、元クラスメイトの探偵は男を追う。
警察も動いたがIQ170の彼を捕まる事は出来なかった。


追う者と追われる者の奇妙な縁は、やがて交差する。


人のうごめく欲望は全ての予想を裏切る…。


ノックス十戒に沿ってストーリーは進む。


ノックス十戒
【使える中で】


▼探偵が犯人である事を禁ず


▼犯人は物語の当初に出てなければいけない


▼秘密の通路・書くし扉の使用を禁ず


▼物語(語り手)は読者に伝わる様に公平にしなければならない


▼超能力または第六感を使っての解決を禁ず


▼掲示されてない物語の解決を禁ず


▼双子や一人二人役は予め読み手に掲示しなければならない


▼科学上未知の薬品や装置を使ってはならない