時間に余裕のある夏を楽しまないと!ということで、

High Lineに写真でも撮りに行こうかなぁと思い、

ウェブサイトをチェックしていましたら、無料のガイド付き

ツアーがあると書いてある。これは行くしかない~。

毎週火曜日の午後6時半からと、土曜日の午前10時からです。

 

 

Gansevoort Streetの入口からスタートです。無料で事前の申し込み

は必要ありませんが、当日に名前を登録する形。

どうも20人くらいで締め切るようなので、早めに行った方がいいかも

しれません。所要時間は1時間くらい。

 

 

私が参加した火曜日の夕方は、私のような地元民の他、

アメリカ国内からの旅行者、ドイツやオランダからの旅行者も

いらっしゃいました。

ガイドは、長年ミートパッキングエリアに住んでいるという70代くらい

のおばあさん。

 

 

ハイラインは、高架上にあった鉄道の跡地です。

ガイドのBさんの説明によりますと、1900年代は高架ではなくて、

地上を走っていたそうなのですが、街中を突っ切る形の鉄道だった

ため人身事故が絶えず、1930年代に高架式になったのだそうです。

その鉄道も、道路と冷蔵冷凍機能付きトラックの開発により廃れ、

1980年代には使われなくなってしまいました。

それ以来、ずっと野放しにされていたようですが、荒れて治安にも

悪いということで、ジュリアーニNY市長の時に取り壊し計画が

あがった際、近隣住民の有志が保存を呼びかけ、10年かけて

寄付を募り(鞄メーカーのCoachや、婦人服のDVF、ハリウッド俳優

などが寄付してくれたそう)、今の形になったのだとか。

 

 

なるべく元の形を残そうと、一旦タイルなどを剥がした後に補強作業

を行い、18インチの土を入れた上に、元のタイルを敷き直している

ので、このタイルは当時のものなのだそうです。

線路も所々残っていて、それに平行して敷かれたタイルや流線形の

デザインが印象的なのですが、これは今は無き南北に走る線路と、

それに平行に流れているハドソン川とモチーフにしているのだそうです。

 

ハイラインの再開発には、前ブルームバーグ市長も積極的だった

らしく、私費の寄付も多額にしてくださったようでした。

公園のランドスケープデザインは、オランダの方が担当されたらしい

のですが、コンセプトは

Keep it simple

Keep it slow

Keep it wild

Keep it quiet

なのだそうです。

 

確かに、ここに来ると時間がゆっくり流れている気がしますし、

自然な感じがするのですが、人気スポットで人が多いので、

Quietかどうかは・・・疑問、笑。

スケートボードやってる人がいたり・・というのは無いので、

そういう意味では静かなのかな?

 

 

そして、なるべく自然に近い形を目指して、植物も基本的に

外来種は植えず、NY近辺に自然に生えているものが植えられて

いて、殺虫剤などは極力使わず、環境に順応せず枯れるものは

枯れさせるというコンセプト。

街灯も、いかにもという形で設置するのではなく、上の写真のように

手すりの下に付いている形(なので夜は結構暗いです)。

 

冬の間も草花は枯れっぱなしにしておくらしく、春の発芽時期に

向けて、2~3月あたりにSpring Cutbackと呼ばれる伐採期間が

あるらしく、伐採されたものは全てコンポスト行らしいです。

Gansvoolt Streetから34丁目まで続くハイライン。その全長は

1.5マイル、2.5キロ近くあるので、Spring Cutbackはとにかく

人の手が必要らしく、毎年ボランティアも募っている(ちゃんと

トレーニングに事前参加しなくてはならないらしい)そうなので、

来年時間を見つけて行ってみようかな。

 

 

公園内のあちこちにあるベンチも、タイルに沿って設置されていて、

幅もきっちり合わせてあります。NYCはいろいろ規制が厳しくて

街に設置するベンチの幅も決まっているのだそう。本当はこの

ベンチの幅は細すぎるのだそうですが、どうしてもタイルに

合わせたデザインにしたいということで、特別に許可をもらっている

のだそうです。

 

 

ツアーの始まる地点は、ミートパッキングエリアと呼ばれる地区で

今は残っていませんが、昔は食肉加工場がたくさんあった所。

その名残で、上の写真のようなOverhangと呼ばれる張り出した

軒先のついたビルが多いのですが、これは歴史的な建築物として

保存しなければならないそう。昔はこの軒先に、食肉がぶら下っていた

んですって!

 

 

これはハイラインからの引き込み線が隣のビルに通じている

部分(立ち入りはできません)なのですが、

ガイドさんが、「これ何だと思う?」

誰も答えられなかったのですが、これは昔は鉄道が隣のビル

の中まで引き込まれていて、荷物を直接おろせるようになって

いたのだそう。今は穴が開いていた壁が塞がれています。

 

ハイラインは思い思いに散歩する人、ベンチで談笑したり

勉強したり、みんなのんびりした時を過ごしていますが、

朝は太極拳をやっていたり、夜もイベントがあったり、

アート展示があったり、いろいろ楽しめます。

 

2017年の3月までは、Wanderlustというタイトルで、複数の

アーティストの作品が、あちこちに展示されているので、

それを見つけながら散歩するのも面白いかも。

 

Wanderlustというのは、「あちこち旅行したいという気持ち」

のことを言うらしい。初めて聞く英単語でした、苦笑。

 

その作品の一部をご紹介。

 

↑「ここより先に行くと、裸で日光浴している人に会うかもしれない」

と書いてありますが、そんなことはありません、笑。

 

 

↑ちょっと気持ち悪くて、みんな引いてます、笑。

とても精巧なアート作品で、本物の人間ではありません。

 

 

 

 

 

↑これはゴミの不法投棄だ!と思ったら、アート作品でした、笑。寝袋です。

 

↑私の写真の写し方が悪くてボケボケですが、タイヤで作られた車です!

 

 

そして、もう終わってしまいましたが、この週は

Carte Blanche Performance Ox Prowl

というパフォーマンスが行われていました。

いろんな形のランタンを身に着けたダンサーが公園の

あちこちで踊っていました。

 

 

 

こんな感じ(笑)。

 

 

夜が更けてきて、NYの夜景を見るのも、また楽し。

近くには有名な建築家のデザインした建物もあります。

 

 

こちら(↓)はまだ建築中の建売コンドミニアム。

 

 

今年の初めにお亡くなりになった著名な女性建築家、

ザハ・ハジット女史デザイン。

新国立競技場のデザインコンペで最初に選ばれて、

後の建築費高騰問題で取りやめになったアレです。

(彼女のオフィスはデザインを出しただけで、建築見積を

出したのは日本の別の業者のようですが・・)

 

このマンション、現在売り出し中なのでチェックしてみたのですが、

内装も映画に出てくる宇宙船のようなデザインで斬新。

そしてすごいお値段。ペントハウスは・・・・30億円以上します。

高額の宝くじに当たったら買おうかと思います、笑。

 

工事現場の下を通る人の頭上に何か落ちたりすることを防ぐために、

頭上を守る櫓のようなものが立てられるのですが、普通は単純に

鉄や木のポールて作ったデザイン性のかけらもないもの。

このマンションの脇に設置されているものは、彼女の美的センスが

それを許さなかったらしく、こんなハイセンス。

 

 

すごいこだわりだ!

 

普通の場所にあるやつは、こんな感じです(↑右の人が通っているところ)笑。

 

 

毎週火曜日の夜は、天体望遠鏡観測もできるらしく、たくさんの人

が集まってました。

 

ハドソン川の向こうに沈んでいく夕日も綺麗。

 

 

自分のペースで散歩するのも良いですが、ガイドさんにいろんな話を

聞きながらも、全く知らないことに触れることができて面白いですね。

 

ハイラインのホームページは、こちら