YES 「CLOSE TO THE EDGE」      1972
 
 よく「無人島へ持って行くアルバム」とかっていう例えがありますが、
「電気も通ってない無人島で、どうやってレコード聴くんだよぉ!」的な
非現実的な発想ではなく、誰もがいづれ訪れる死期に際して
「棺おけに入れて欲しいアルバム」・・・これも棺おけと共に燃やされてしまう、
「あの世に持って行くアルバム」・・・持って行くというだけの満足感でしかなく、
実際、あの世で聴けるわけでなし。
それでは「葬儀で流して欲しいアルバム」とか
「死期が近づいた時に枕元で聴きたいアルバム」とか、
いろんなこじつけを考えますが、
ここは素直に「あの世へ持って行くアルバム」ということで...。(笑)
 
 なお、アルバム・タイトルの前の番号は好きな順番とか、優先順位とかは関係なく、
ランダムに載せて行きたいと思います。 
 
 『イエスの衝撃! それは史上初のサウンド・メッセージの確立! 
傑作「こわれもの」をはるかに上回る超傑作。』
 
 
イメージ 1


 発売当時、初めて聴いた時、「プログレ」という概念は自分の中にはまだなく、
「緻密な演奏とハーモニー・ワークの風変わりなバンド」という印象でした。

 ビル・ブラッフォードのドラミングといい、
スティーヴ・ハウの緻密なギター・プレイといい、
ジョン・アンダースンの透明感のあるヴォーカルも素晴らしいし、
そしてなによりも、このアルバムの曲をライヴで見事に再現してるのを
後に映像で観て、驚きの連続でした。
 
 A-1の「危機」の第1楽章「着実な変革」までの小鳥のさえずりに始まる
長いイントロに接しただけで、すでに鳥肌モノでした。
当時ワタシはスティーヴ・ハウのギターの硬質でシャープな音色が好きでしたが、
その頃のロック・ギタリストの多くはレス・ポールや
フェンダーなどのソリッドなボディを好んでいたので、
写真で彼のギターを見たらギブスンのES-175とかいう
分厚いフルアコだったので
ちょっと驚きでした。
若い頃のスティーヴのアイドルがデュアン・エディやチャーリー・バード、
チェット・アトキンスなどのブルーズやジャズ系のギタリストだと知って
妙に納得。ブルーズ色はほとんど感じないものの、ジャズやクラシックの
素養が備わってるんでしょうね。
彼のギター・サウンドやバンドのハーモニー・ワークがもたらす緊張感は
まさに "芸術" ですよ。
 アナログ見開きジャケの内側のアート・ワークや、
手書きの歌詞なども気に入ってます。
本作以前の作品や以降の作品に、本作を越えるものがないのもまた事実です。
 
 さて次回の「あの世アルバム」はクルセイダーズの「スクラッチ」を
予定しています。