憂歌団 「BLUE'S」     1988
 
 よく「無人島へ持って行くアルバム」とかっていう例えがありますが、
「電気も通ってない無人島で、どうやってレコード聴くんだよぉ!」的な
非現実的な発想ではなく、誰もがいづれ訪れる死期に際して
「棺おけに入れて欲しいアルバム」・・・これも棺おけと共に燃やされてしまう、
「あの世に持って行くアルバム」・・・持って行くというだけの満足感でしかなく、
実際、あの世で聴けるわけでなし。
それでは「葬儀で流して欲しいアルバム」とか
「死期が近づいた時に枕元で聴きたいアルバム」とか、
いろんなこじつけを考えますが、
ここは素直に「あの世へ持って行くアルバム」ということで...。(笑)
 なお、アルバム・タイトルの前の番号は好きな順番とか、優先順位とかは関係なく、
ランダムに載せて行きたいと思います。
 

 『音楽に与えられた数多い名前の中で、色の名前で呼ばれているのは、
ブルースだけだ。』
 
 
 
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 昔の憂歌団のステージを初めて観たのは70年代中頃、
某大学の学園祭のステージでした。
ルージュとかいう女装バンド?、パンタ、仲井戸が加わったRCなどが
出てました。(RCは違う学園祭だったかな?ちょっと記憶が不明)
憂歌団のアンコールが続き、バンドが引っ込んだ後も憂歌団コールが止まず、
次に出てきたパンタがすごくやりにくそうだったのを覚えています。
すかさずパンタが「オレ達ゃ憂歌団じゃないぜ! 春歌団だぜ!」と
強がってたのが印象的でした。
当時は「ちょっとコミカル、それでいてしっかりブルーズを表現する
アコースティック・バンド」という印象を持ってたのですが、
本作が発表された時、懐かしさのあまりついつい買ってしまい、
聴くと昔の面影はなく、一曲目の「大阪ビッグ・リバー・ブルース」で
ノックアウトされてしまいました。

 米国の黒人が綿花を摘みながら唄った労働歌がブルーズの一つなら、
憂歌団の唄にも「働く男の唄」を感じます。
本作にはブルーズの形態ををとった曲はありませんが、
康珍化さんが詞を担当したことにより、
より親しみやすい作品になったのは間違いないでしょう。

 「大阪ビッグ・リバー・ブルース」「数えきれない雨」
そして勘太郎さんのアコギとアコーディオンの伴奏の「二人でいようよ」が
好きなトラックです。
 
 さて次回の「あの世アルバム」は、アート・ペッパーの 「THE TRIP」を
予定しています。