椎名誠さんが「週刊文春」の連載コラム「風まかせ赤マント」の中で書かれた
「人妻ゆうこ・・・との確執」が一番好きなスーパー・エッセイです。
「ワニのあくびだ なめんなよ」という単行本に収録されています。
「人妻ゆうこ」と言っても ”エロ・ムーヴィー”じゃぁないぜ!!
氏のクルマのカーナビ、行き先を設定すると常に最適なコースで案内してくれ、
いい声で適切に支持してくれるのです。歳の頃なら30代後半?
氏はそのカーナビの声の主を「ゆうこ」と名付けたのでありました。
その「ゆうこ」が最近、わざと遠回りをさせたり、とヘンな指示をするのです。
30代後半と言うと女ざかり...心変わりとか倦怠期?
そういえば、ゆうこの隣に最近ETCを取り付けたのだった...。
ゆうこにしてみれば「ワタシというものがありながらなんであんなオンナを入れるのよ」
ETCも「ETCカードを確認しました」とか「カードが残ってます」とか
女の声で喋り出す...。
そうか、ゆうこはこの若い女(ETC)の存在が気に入らないんだ。
氏は必死に弁解する。
「だからさぁ、あの女は高速道路の入り口と出口でしか用はないんだよ。
あいつはまだ小娘だしさぁ、まだ名前だって知らないんだから...。」と。
そうゆうこに言って聞かせたんだけど、ゆうこは何事もなかったように
右だ左だとわざと冷静さを装っている。このように感情を押し殺してこられると
かえって怖いものがある...。
「だからね、悪いのは道路公団なんだよ。オレは今まで通りの生活で良かったんだけど、
あっちが急に方針を変えてきたんだからさぁ...。」
沢野ひとしさんの挿絵にも「イノセさん何とかして!」(笑)