よく「無人島へ持って行くアルバム」とかっていう例えがありますが、
「電気も通ってない無人島で、どうやってレコード聴くんだよぉ!」的な
非現実的な発想ではなく、誰もがいづれ訪れる死期に際して
「棺おけに入れて欲しいアルバム」・・・これも棺おけと共に燃やされてしまう、
「あの世に持って行くアルバム」・・・持って行くというだけの満足感でしかなく、
実際、あの世で聴けるわけでなし。
それでは「葬儀で流して欲しいアルバム」とか
「死期が近づいた時に枕元で聴きたいアルバム」とか、いろんなこじつけを考えますが、
ここは素直に「あの世へ持って行くアルバム」ということで...。(笑)
なお、アルバム・タイトルの前の番号は好きな順番とか、優先順位とかは関係なく、
ランダムに載せて行きたいと思います。
さて今回はライ・クーダー。
一番好きなのはこの「チキン・スキン・ミュージック」ですね。
一般的には「PARADICE AND LUNCH」と人気を二分する作品です。
オールド・タイミーなアメリカン・ソングスをテックス・メックス風に、
またはハワイアン風に味付けをするライのチャンプルーぶりが魅力ですな。
おまけにそのようなエッセンスを加えながら、どこかゴスペルチックにも聴こえる...
これは、やはりボビー・キングらのゴスペル隊のおかげでしょうね。
A-3「Always Lift Him Up」の間奏に挿入されたハワイアン・ゴスペルの
「Kanaka Wai Wai」は美し過ぎる!!ゴスペル隊のコーラスも負けじと美しい!!
またA-4「He'll Have To Go」のような、フラーコ・ヒメネスのアコーディオンを
フィーチャーした曲では、ボビー・キングのテックス・メックス風のコーラスが
決め手のひとつでしょう。
B-2「Stand By Me」~B-3「Yellow Roses」~B-4「Chloe」~
B-5「Goodnight Irene」の流れはもう最高!!!
「ハワイ経由、メキシコへの旅」って感じですね。
特に「Yellow Roses」と「Chloe」の2曲でギャビー&アッタという
素晴らしいハワイアン・ミュージシャンを広く世に知らしめた功績は
ライの先見性と土着の音楽に対する敬意の表れだと言えるでしょう。
本作はフラーコ・ヒメネスのアコーディオンやギャビー・パヒヌイのスティール、
アッタ・アイザックスのスラック・キー・ギター、そしてボビー・キングらの
ゴスペル隊を得て、当時のロック・ファンを「ワールド・ミュージック」へと
目を向かせた最高傑作に違いありません。
さて次回の「あの世アルバム」はオーティス・ラッシュの「ブルーズ・ライヴ!」(1975)
を予定しています。