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BILL EVANS with JEREMY STEIG 「WHAT'S NEW」     1969

『自己のトリオに鬼才スタイグのフルートを加えた、ビル異色の傑作。
「枯葉」や「ソー・ホワット」などが、
ダイレクト・デジタル・マスタリングでいっそうスリリング!』

 どうもジャズ・フルートって言うと、あまり好印象を持ってなかったのですが、
このジェレミー・スタイグは別格。気迫ならぬ "鬼迫" あふれるプレイには脱帽です。

 モンク作の「Straight No Chaser」、
ウィスキーをチェイサー(添え水)なしで飲むことなのですが、
この曲に限ってスタイグがフルートを吹くときはエヴァンスは弾くのをやめるんですよね。
まさにピアノというチェイサーなしに展開されるわけですが、
その分、エディ・ゴメスのベースがいつになくでしゃばるんですよ。
これがまたカッコいいんだなぁ...。
エヴァンスも右手だけで弾いてるようなところもあるし、
曲全体のバランスはたしかにヘンなんだけど、逆にメリハリがあって面白いです。

 エヴァンスの「枯葉」といえば、あのスコット・ラファロ在籍時の演奏が筆頭ですが、
ここでの「枯葉」もそれには及ばないもののなかなかの好演、
スローな「Lover Man」「What's New」、オリジナルのブルーズ「Time Out For Chris」も
素晴らしいのですが、やっぱり圧巻はラストの「So What」。
モーダルな感じのエヴァンスのソロが絶品でうっとりしていると、
スタイグのソロも徐々に昂ぶりをみせ、ハミングのような唸りも出る始末。
なぜかここでもエヴァンス弾くのをやめちゃいます。
ゴメスのソロもアグレッシヴで聴き応えあり。

 アルバムを聴き通しちゃうと、エヴァンスの露出度が思ったよりも少ないのに気付きます。
スタイグに「花をもたせた」感があるものの、要所要所でハッとするトリッキーなフレーズを
効果的に聴かせ、スタイグの魅力を上手く引き出したエヴァンスでした。