イメージ 1

あの世へ持って行くアルバム 3 ロリー・ギャラガー 「タトゥー」     1973

『ロリーのギターが炸裂する。
スタジオ録音だがライヴ録音のような生々しいプレイが聞ける。』

 ロリー・ギャラガーの作品に初めて出逢ったのは72年の「LIVE IN EUROPE」でした。
高校生の頃、一学年後輩のS君がレコードを抱えてよく家に遊びにきたものでした。
彼が持ってきたのはロリー・ギャラガー 「ライヴ・イン・ヨーロッパ」をはじめ、
「ウッドストック , 供廚筌ャンド・ヒート、イッツ・ア・ビューティフル・デイ、
グレアム・ナッシュ、キャット・スティーヴンス、ジェイムズ・テイラー、キャロル・キング、
ヘッズ・ハンズ&フィート、オールマン・ブラザーズ・バンド、ジム・クロウチ、
ジャニス・ジョプリン、マナサス、ジェファースン・エアプレイン
などでした。

 高校を卒業して進学のため上京したワタシは、S君とも疎遠になり、
やがて大学も卒業し、田舎にUターン就職し何年か経った頃の地元紙に
S君が中古のレコードを扱うお店を開店する、という記事が載ってました。
街中の白いビルの2階を改装し、オープンしました。
何度か足を運びました。店舗数も増やして他店舗展開となりました。
これから、という時に(3年ほど前ですが)病気で亡くなってしまいました。
そんな彼に聴かせてもらった「ライヴ・イン・ヨーロッパ」がきっかけで
「BLUE PRINT」~「TATTOO」へとLPを買ってくうちに、
いつのまにか買い揃えてしまったロリー・ギャラガー、
あの世へ持って行くのは「BLUE PRINT」か「TATTOO」か、と悩んじゃいますが、
やっぱり「TATTOO」で。

 とにかく直球勝負なんですよ、このヒトは。
とかくロック・ギタリストてぇのはギターとアンプの間にいろんなイフェクターを
繋いでたもんですが(といっても当時はワウ・ペダルやファズなど種類は少なかった)
ロリーはいつでもシールドをアンプにダイレクト・インなんですよ。
レコーディングでは「Livin' Like A Trucker」のようにごく稀にワウ・ペダルを
使うこともあったようですが、ほとんどは「素の音」で
おまけにスタジオ・ライヴみたいなレコーディングの仕方なので、
聴き手も思わず手に汗を握るほどハイ・テンションなんですよ。
そのうえ、アコ、エレ両刀使いで、ブルーズとトラッドが自身のルーツというから
ブルーズもトラッドも好きなワタシにはピッタリだったのかも...。
ギターやハーモニカ以外にサックスやマンドリンもプレイします。
ピーター・グリーンには「世界一乱暴なマンドリン・プレイヤー」と評されました。(笑)

 さてA-1「Tattoo'd Lady」で始まる本作、ノー・イントロにも聴こえますが、
小さな音のオルガンのイントロに導かれたこの曲、
どうです!このヴォーカルといいギターといい、既成のスタジオ録音とはまったく違う
緊張感が生み出す生々しさみたいなものを感じ取れるでしょう。

 スライド・プレイで暴れまくるA-2「Cradle Rock」、
ラグタイム風のアコ・ブルーズA-3「20:20 Vision」、
ちょっぴりジャジーなスィング感が楽しめるA-4「They Don't Make Them Like You Anymore」、
圧巻はB面で、イントロのドブロがフェイドアウトしてエレキの同じフレーズに続く
B-2「Who's That Coming」~ドラマティックなB-3「A Million Miles Away」~
メロディアスなB-3とはうって変わってヘヴィーなB-4「Admit It」となだれ込みます。

 とにかくこのテンションはヤミツキになること間違いなし!

 さて次回の「あの世へ持って行くアルバム」はディヴィッド・クロスビーの
「IF I COULD ONLY REMEMBER MY NAME」を予定しています。